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2020.11/28-12/11 令和慶祝カラー展@AAA GALLERY

初めまして。藍原淡海と申します。

この度、AAA GALLERY様の素敵なグループ展に参加させていただくこととなりました。貴重な機会をありがとうございます。

令和 慶祝カラー展。

令和、という時代を想うと、楽しいことや嬉しいことよりも、悲しいことや苦しいことばかりが頭に浮かんでしまい、どんな心で何を描こうか、すぐに決められませんでした。

この時代を生きる一人の人間として、この時代の、先の見通せない不安や身動きの取れない息苦しさに包まれた、まるで蛹の中に閉じ込められているような今、だからこそ描ける、描きたい、祈りたい「幸せ」について、自分なりに考えてみました。

拙いながらも、ご覧になって頂いた方の心に少しでも、春のひだまりにいるような温かさと、冬の名残の涼しい風が吹き抜けるような寂しさが残る、そんな作品になれていたら幸いです。

皆で優しい春を迎えられますように。




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それぞれの作品に込めた物語や世界を、少しだけ文章にしてみました。作品とあわせて楽しんでいただけると幸いです。そして言うまでもなく、これはあくまで私の解釈であり、一つの正解はありません。ご覧になった方それぞれの価値観と言葉で物語を紡いでいただけたら、描き手としてとってもとっても幸せです。

よろしければ、最後までごらんください。




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『静心なく花の散る』

2020年 / SMサイズ / ストラスモア水彩紙

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「喧騒から外れた世界の片隅から、私だけが居ない春を楽しみたいの」

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「私が私であるということを一度忘れて、私は春と一つになりたいの」

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「静心なく散りゆく花と一緒に踊って、私は儚き春の夢を弔いたいの」




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『幸せは、春の色』

2020年 / SMサイズ / ストラスモア水彩紙


私たち、きっと、幸せになれるにきまってる。

優しい春を迎えよう。

一緒に。




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『春色の走馬灯』

2020年 / SMサイズ / ストラスモア水彩紙


季節は巨大な獣のように僕を踏み荒らして荒れ地に置き去りにして、そしてまた、この街に春が来る。

(腐臭が立ち込める炎天の夏を、じりじりと身体の内から焼け焦げていくような秋を、無音の中で独り取り残されるような冬を、越えなければあなたに会えないのなら、僕は今ここで、自分の手で、全ての幕を引いてしまいたいと思う。誰もが皆強く美しく生きられるわけではないのだと、知らないままのあなただけは、永遠に、春のあたたかな光の中で笑っていてほしい)

ごめんね、さよなら。




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『菫の願い』

2020年 / ポストカードサイズ /ワトソン紙


「会いたいよ、本当はなりふり構わず会いに行ってしまいたいのに」




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『桜の祈り』

2020年 / ポストカードサイズ / ワトソン紙


「あなたに会いたいな、と思いながら今日も寂しく生き延びました」




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『「美しく散る春に」』

2020年 / A4サイズ / 画用紙


──私は、この先には行けない。

   大好きな小説家様の大切な作品に、絵をつけさせて頂きました。

***

    私は彼の顔を見つめた。記憶に焼き付けるように。決して忘れないように。
「分かりました」
    彼はそう言って微笑んだ。遠い記憶の中で、縁側の風鈴が音を立てたように感じた。
    嗚呼。
    心のどこかで予感していた。彼と出逢った時から。

    私と彼は、決して交わることは出来ないのだと。

***

(夕空心月『そしてまた、淡雪が』より)




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『『葉桜と魔笛』に寄せて』

2020年 / ポストカードサイズ / ワトソン紙

私の大好きな、太宰治の作品です。

***

  待ち待ちて  ことし咲きけり  桃の花  白と聞きつつ  花は紅なり

  僕は勉強しています。すべては、うまくいっています。では、また、明日。M・T。

***

(太宰治『葉桜と魔笛』青空文庫より引用)





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カードサイズのちびちび水彩原画たち。

4つ。タイトルだけ。どんな絵かは現地に行ってのおたのしみということで…😌







でもね

春、は、必ずしも明るくて晴れやかな希望の象徴じゃないよね。

耐え忍ぶように、息を潜めるように、春に見つからないように生きているような、あなたへ。

小さなひだまりの中でかくれんぼしながら、声をたてずに笑い合えるような、そんな未来を、私は祈っています。


2020年11月28日

藍原淡海

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