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古本市 一期一会の出会いの場

3月の最終週、新橋のSL広場前で開催された古本市へ行ってきた。毎年4回、3月、5月、9月、11月に行われ、15、6軒のテントが出店する。いつも楽しみにして、大きなエコバッグを持って片っ端から見て回るのだ。

古本市で出会う本は一期一会だ。絶版や廃版になった本も数多く出品され「ここで会ったが100年目」という出会いがある。買おうかどうしようか悩んでいる選択肢はない。とにかく「あ!」と思ったら「買うべし」なのだ。

というわけで、古本市に行くと予定以上に買ってしまい、ヨイショヨイショと重いエコバッグを抱えて帰ることになる。配送してもらうことも可能だが、うちに帰ってすぐに読みたい!という欲求が原動力になって不思議なパワーがみなぎるようだ。

ところが、だ。うちの本棚はすでに飽和状態となっており、床や机も本に占領されている。読み終えると古本屋に引き取ってもらうが、買うスピードの方が上回るし、読み終えてもずっと手元にとっておき、棺桶に入れてあの世に持っていきたい本もあるのだ。あの世でヒマをもて余さないように。

電子書籍よりもやはり紙の本。
紙には神が宿るのだ。
目に優しいのが何よりの証拠。

今ある本を、死ぬまでに読み終えるかどうか。計算してみた。本の内容にもよるが、1冊10万文字(およそ文庫本1冊分)の本を読むのに日本人が要する平均は3時間らしい。私は読むのが遅く、しかも登場人物の名前などを忘れてページを遡ってあっちこっち読むのでさらに時間がかかる。だから1冊5時間。

平日と休日を平均して1日2時間読書できるとして、1年で730時間を確保。それを1冊5時間で割ると、1年で146冊。10年で1460冊。100歳まで生きるとすればかなりの冊数を読破できるかもしれない。が、老眼や脳の老化を思うと今のスピードで読めなくなるかもしれない。

もっとも、そんなことを気にするヒマがあったら、まずは読むべし。もしも死ぬまでに読み終えていない本があれば、その時にはまたヨイショヨイショとあの世へ運ぶことにしよう。そしてあの世で古本業を営んで、亡くなった人々に一期一会を提供しよう。

おまけ
今回購入した本

・「アールヌーボー・アールデコ」ティファニーやルネラリックなど、アールヌーボーの作品の数々がカラー写真で掲載されていて、うっとりする。500円
・「和漢五名家千字文集成」中国の書の大家、文徴明や趙子昂の千字文を堪能できる貴重な本。蔵書印あり。かつての持ち主に思いを馳る。1,000円
・アリス・スミスの「冬」と、アリス・マンローの「林檎の木の下で」。新潮クレスト・ブックスはどれも良い作品ばかり。読み終えても手放さないようにしている。各200円
・「カタロニア賛歌」ジョージ・オーウエルはどれも好き。1970年初版。茶色いシミシミ、ちょっとカビ臭い。それがまた味わい深い。200円
・「叡智の断片」池澤夏樹。むくどり通信のころから好きな作家。知の宝庫のような人だ。200円
・「わたしを離さないで」カズオ・イシグロ。以前映画を見て、ぜひとも原作を読みたいと思っていたので。100円
・「紫禁城の黄昏」ラストエンペラー愛新覚羅溥儀の家庭教師だったレジナルド・ジョンストンの著書。100円
・「般若心経」たまに写経をやるが、きちんと書いている内容も学びたかったので。100円

これだけ買って2,600円。


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