100年前のグッズ
彼の100年前のグッズを持っている。
これは比喩でもなんでもなく、本当に100年前に販売されていたグッズだ。
大正時代のポストカード。
デザインは彼の写真と花のイラストが組み合わさったカラフルなもの。
若い頃のあどけない表情がとても可愛い。この頃はまだ目に光がある。
このポストカードは修学旅行に行った際、京都の古本屋で手に入れた。
商店街沿いにある、内装がモダンな2階建ての本屋だった。
本当は千円したのだが、古雑誌を一万円分まとめ買いしたのでタダにまけてもらった。私が店の品揃えを誉めたとき、故郷の古本屋には戦前のものが殆どない、とぼやいたので、店主が哀れに思ったのかもしれない。とにかく千円得したので助かった。古本屋のおじさんありがとう。
さて、このポストカードが作られた100年前。
当時、彼は世間からアイドル扱いされていた。映画は大ヒットし、ポストカードやブロマイドが飛ぶように売れたらしい。当時の女学生たちがブロマイドを学校に持ちこんで、キャーキャーしてる所を教師に没収されたという話もある。
わかる、わかるよその気持ち。私も混ざってキャーキャーしたい。萌えポイントを語り明かそうぜ。
このポストカードの前の持ち主も、彼をアイドル的に推すオタクだったりするのだろうか?100年前のアイドルがいるなら、100年前のオタクだって存在する筈だ。
当時のオタクは、若い頃に憧れたアイドルの目から徐々に光が消えていくのをどういう思いで見ていたんだろう。私ならきっと耐えられない。
当時のオタクと話してみたいけど、もう生きている人は少ないんだろうな。
こうやって前の持ち主に思いを馳せられるのも、古本のいい所。
本じゃなくてポストカードだけど。