ソムリエ・ワインエキスパート試験【#6 過去問の解き方】ちょっと特殊です
はじめに
こんにちは。ワインエキスパートのワインチャンです。
本日は、ソムリエ・ワインエキスパート試験、特に問題演習について、過去問・類問の解き方、向き合い方についてお話します。今回の配信を聞くことで、誰しもが避けて通れない過去問演習について、効率よく、かつ効果的に行うことができるようになります。
今回は効果的な問題演習方法とそこで必要になるとても重要な考え方・マインドについてお話します。テストで点数を取ることだけには実績がある私が、ちょっと特殊な、でも本質をついた勉強方法をご紹介します。ソムリエ・ワインエキスパート試験に限らず、他の学習や資格の取得、日常のタスクマネジメントなどにも生かすことができるような内容になっています。
問題演習をする意味とは(例 英語のテスト)
そもそも、問題演習をする意味とは何なのでしょうか。テスト勉強から離れて久しいですし、なかなか考えることはないかもしれません。問題演習、あるいは過去問演習をする意味、私は3つあると考えています。
これは、ソムリエ試験に限った話ではありません。ソムリエ試験を考える前に、たとえば、英語の試験を考えてみましょう。
英語の試験では、1つの試験の中にリスニングやリーディング、ライティングなどがあり、おそらく①問われ方と②時間配分に焦点を当てる必要があります。例えば、①リスニングの中でも絵を見て答えるものや、会話に応答する形で答えるものなど、その種類はたくさんあります。これは、問題演習を行うことで、その質問形態を体にしみこませる必要があります。②時間配分についても、ボリュームを把握したうえで解きやすい問題から始める、文法から始める、長文読解から始める、など個人に合わせた戦略を立てる上でも問題演習は不可欠です。
しかし、③知識を定着させるということに関しては、英語の勉強については、過去問を解くことよりも効果的な方法は他に存在するということです。もちろん問題演習をする中で新しい単語に出会えば勉強にはなりますが、英語の知識、英単語や文法を効果的に効率よく学びたいのであれば、問題演習ではなく別の方法を優先しましょうということです。
問題演習の方法とは(本題 ソムリエ試験)
それでは、ソムリエWE試験にあてはめて考えてみましょう。
①問われ方、質問形態について、4択問題一択です。これは問題をとくまでもありませんが、教本の内容がどのようにして設問になるのか、問題の傾向を把握しておく必要があります。
②時間配分について、同一形態の問題(4択問題)が120問、70分と決められているので、見直しの時間を含めて1問30秒以内に解きたいところであるということも問題演習をせずともわかります。30秒というと短いようですが、意外と即答可能な問題もあり非現実的な時間ではありませんのでご安心ください!これも問題演習を行うことにより慣れるという優先順位は低いというわけです。
③知識を定着させることについて、これが一番重要です。ソムリエ試験では、その膨大な試験範囲を網羅する必要があります。記憶を思い出すことで記憶を固定化する、点と点をつなげるように覚えていくことが必要です。自分の覚え方に加えて、問題演習を通じてベクトルの異なる問われ方をされると、そういう見方もあるのかと理解が深まります。
Connecting the Dots
少し話はそれますが、ここで好きな言葉をひとつお伝えします。スティーブジョブズのconnecting the dotsという言葉です。一見関連のないようにみえた過去の経験や知識が新しい知見を生み出す、点と点がつながることで自分の中で新しい感覚をつかむことができるということです。ジョブズ曰く、未来を予測して点を打つ、点をつなぐことはできませんが、過去に打った点と点はつながるといいます。先が見えない試験勉強ですが、必ず自分なりにつながる知識が出てきます。国も、土壌も、気候も、人も、歴史も、連続的です。最初は独立した点と点だったものがつながって、そういうことだったのかと理解できることもあります。点の数が少なければ、繋がる線も見えません。いろいろな角度から点を増やしていきましょう!
ここまでのことをまとめると、ソムリエ試験の過去問演習の目的は、先に述べた英語の試験とは対照的で、知識の定着に重きを置く必要があります。つまりとにかく問題量をこなすことよりも、一問一問とじっくり向き合い、その問われ方に慣れるとともに、自分では気づかなかった方向から多面的に理解を深めていくことのほうが、とても重要だということです。
それでは、どのように勉強していけばよいのでしょうか。この効果的な勉強方法の一例をお伝えしていきます。
【ワインチャン式勉強方法】
そこで使用するのが前回ご紹介した富田葉子先生のブログ「とみわいん」の「過去問・類問集のページ」です。
この一見、問題演習を行うためのページ、おそらく本当に問題演習を行うためのページなんだと思いますが、私の使い方としては、問題演習を行うのではなく、勉強する箇所を選ぶトリガーにするために利用しました。ある単元を勉強し終えてから問題演習をするのではなく、はじめから問題演習ページを使いながら、勉強したということです。
たとえば、今日は「ワイン概論」を勉強しよう、と大まかなジャンルを選びます。問題をクリックすると、例えば以下のような設問が出たとします。
これはワインが正解です。他にもシードルがあればシードル(リンゴの醸造酒)も正解になりますが、もちろんいまはまだパッと思いつかなくても全然大丈夫ですし、焦ったり、不安になる必要はないので大丈夫です!
ただここで一番重要なのは、なぜ他の選択肢ではだめなのか考えるということです。これは果実原料の醸造酒がワインだとわかってただ喜ぶことよりも重要で本質的です。ブランデーは何なのか、ウイスキーは何なのか、ビールは何なのか、はたまた、ここでは選択肢に出てこなかったけれども、日本酒や焼酎、ジンやウォッカやテキーラだったらどうだったのか、もしそれらが選択肢に入ってきていたら、間違えていた可能性はないだろうか、そのような思考をもって参考書や教本を開き、勉強をすすめていきます。そして関連する内容を読み進めたり、そもそも醸造酒って何だろう、果実「以外の」原料とはどういうことなのだろうか、と自分で説明できないな、わからないなところは調べたりと、納得いくまで理解を進めてから、やっと次の設問をクリックするという流れです。
次の設問はランダムなので、おそらく1問目とは関係のない問題が出てくると思います。問題を解くのではなく、次はその内容や関連箇所を勉強する、というトリガーにするという流れで進めていきます。
【ワインチャン式勉強方法】のロジック
ここでは問題演習を行っているわけではありませんし、正直時間がかかります。スピード感に欠けるなと感じる方もいらっしゃるかもしれません。しかし、ここでワインをクリックして正解して喜んで次に進む人は、別の角度からの問われ方に答えることができません。たとえば「ビールは何原料のどのような酒類か」というような設問です。答えは「穀物原料の醸造酒」ですがもちろんいまはわからなくて全然大丈夫です。ただし、そのような思考をもつことが大事だということです。
分野全体を勉強してから問題を解いて、答え合わせをすることと、本質は変わりません。しかし、まとめて問題演習をする懸念点は2点あります。
▶1.
まず、正解した問題は振り返らない・復習をしないことが多いです。4択なので1/4の確率では確実に正解してしまいます。正解する喜びに浸ることよりも、その設問の内容を理解しているかどうかが大切です。いまたまたま正解したからといって、本番で正解するとは限りませんし、他の選択肢が正解になるパターンや、質問の出題のされ方が変わったことでわからなくなってしまうということは往往にして起こりえます。
▶2.
また懸念点2点目、良くも悪くも何問中何問正解した!というあまり本質的ではない箇所で一喜一憂してしまうことです。一般的に、感情の変化は人間の体力を消耗します。それがいい変化でも、悪い変化でも、体力は消耗します。人間は外部環境の変化にも、内部環境の変化にも弱い生き物です。ただでさえ忙しく、時間がない、疲れている中で勉強されていると思います。勉強している間に、無意識にでも、無駄な感情に揺さぶられる時間こそ、効率的でも効果的でもないと考えています。
おわりに
以上、過去問・類問集の設問を「勉強内容を選ぶトリガーにした」ということは、例えば、たまたま「果実が原料」の「醸造酒」というキーワードが出てきたので、その関連する箇所を勉強することにしたということです。
勉強でもわからないポイントをつぶしながら、周りの知識もとりあえず拾っておきましょう。ジョブズのConnecting the dotsの点を増やしていく、効果的で本質的な寄り道をしながら、後につながる点を増やしていくような勉強をしていきましょう!
今回は、ソムリエ・ワインエキスパート試験における過去問・問題演習への向き合い方と、その効果的な勉強方法を紹介しました。
この第6回まで、前置きが長くなってしまい恐縮ですが、試験の全体像や向き合い方を最初に知っておくことは本当に大切だと思うので、ぜひ頭の片隅にいれておいていただければと思います。今回の内容もなかなか理解しづらい箇所もあったかと思いますが、この本質と考え方が理解できるだけで、合格へ近づくことは間違いないです。ぜひ自分なりに腹落ちする、参考になる箇所だけでもいいので取り入れながら勉強を進めてほしいと思います。
次回、ワイン概論からついに試験の内容です。
ワイン概論は、最初にしてなかなか難しいかと思いますが、最初はだれでも知識ゼロからのスタートですし、理解しきれなくて大丈夫です。自分を責めたり焦ったりすることなく、肩の力を抜いて前向きにスタートを切りましょう!
それではこれからも、こつこつ一緒に頑張っていきましょう。
おつかれさまでした!
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