【寄り道その2】ミュージカル「この世界の片隅に」歌唱指導CHIBIさんのnoteより
かたすミュの素晴らしさは3つある
1つはもちろん作品の力。2つ目は楽曲の力。3つめは作品と楽曲の魅力を最大限観客に伝えることが出来るキャストの力。
(本当は舞台美術も入れたいのですが全ツでは日生劇場と同じ美術が使えなかった点もあるのでいったん外しておきます)
紹介させていただくCHIBIさんの記事は連載になっているので(1)の後の(2)を心待ちにしていました。
歌唱指導としてCHIBIさんがアンジェラ・アキさんから託されたこと
1つ目のキーワードは”ナチュラル”な歌
アンジェラさんが作りたかったのは”新しいスタイルの日本のミュージカル”だったのだと改めてワクワクしました。
この作品のキャストに選ばれた舞台人のみなさんは、この新しいスタイルの日本のミュージカルを体現した先駆者たち。尊い・・・・
日本の中高年の長年大規模劇場でミュージカルを観ていて所謂”ミュージカル好き”のマジョリティ観客からよくこういう声を聞きます。
「私は音大出なんです。絶対音感があるんです。だから歌の上手い下手を見分けるプロです。」
(私は正直そおかなあ?と思います苦笑。だってプロの批評家だったらなぜその能力で報酬を得る仕事をしていないのかなと)
こういう方々は、かたすミュの楽曲に関してはあまりお好みでは無かったようです。
「あの歌はミュージカルではありません。アンジェラさんにはもっとミュージカルを勉強してもらわないとね」とか。
「〇〇さんはやっぱり有名ミュージカル作品に出演しているから(レミゼとか)歌が素晴らしい。でも〇〇さんは歌えてない」とか。
確かに「レ・ミゼラブル」「エリザベート」「ミス・サイゴン」などの作られてから何十年も経っているミュージカルが基準です!の人たちにとっては
かたすミュのアンジェラさんの楽曲はそう思えてしまうのでしょう。
ゼロ番に立ってスポットライトを一身に浴びて朗々と歌いあげて歌い終わった後に拍手を入れる間がちゃんとあってそして袖に捌けていく・・・・
このスタイルが基準の人たちの感想でした。
でもファクトベースで最近のBWで賞を取るようなミュージカルは上記の古いタイプのミュージカルでは無く、アンジーは新しいことに挑戦したかった。だから新しいミュージカルの基準ではアンジーがやりたかったことが見事に体現されていました。
目指す姿を明確に置いてそれに必要な要素(人・モノ)を妥協無く揃えていく作品創りに心から頭が下がります。
2つ目のキーワードは「リズムの解像度を上げる」
このお話、つい先日成河さんのミュージカル『ライオン』TALK&SINGイベントでまさに聞いた話です。
そして私が知らなかった言葉【シンコペーション】
調べてしまいました。
私は音大も出て無いし絶対音感も多分無いしミュージシャンでも無いので難しいことは分からないのですが、要するにアンジーのかたすミュの歌を歌うのはとても難しい!→それをかたすミュキャストは体現出来た方々!ということですよね。
つまり今の日本で一番技術的にも難易度が高いミュージカルに出演したのがかたすミュキャスト。ますます素晴らしい。
改めてアンジェラ・アキさんの目的志向に賛同
頭が本当に良い方なんだなと思いました。
自分がやりたいことを芸術的に体現するだけでは無く、まず実現したいことのビジョンを明確に置く。
【日本の舞台にとってはまだ新しいスタイルのミュージカルを作りたい】
そのために必要な要素をファクトベースで検証しつつ妥協せずに集める。
”個(キャストやスタッフ)の強みを解放し”→”チームの集合知に引き上げる”
その中心でリーダーシップを発揮したのがアンジェラ・アキさんだったのだ、と改めて思いました。
つまり、なんとしてでもビジョンを実現するための大胆かつ緻密な戦略と戦術の上にかたすミュが創られているということ。
まさに成功するビジネスプロセスです。
CHIBIさんの記事の第三弾もとても楽しみです!