小耳症の話①
小耳症との出会い
小耳症について調べてみると、大体整形の画像が出てくる。症例も様々だ。
自分の耳の奇形に「小耳症」という名前がついていることを、私は二十歳くらいになるまで知らなかった。母がぽろりと口にしなければ、未だに知らなかったかもしれない。
とにかくそれにより、只の偶然と思っていた耳の奇形に、実は仲間がいることがわかった、
はじめてグーグルで「小耳症」と検索したとき、それまで耳について孤独を感じたことすらなかったのに、例えるなら生き別れた家族がいると知った時のような、妙な感覚があった。
私の場合
症状は右耳にあり、上半分の軟骨形成がうまくいかなかった印象だ。耳たぶはきれいに形成されているし、ピアスホールも開けた。
聴力は左しかなく、生後間もない頃に受けた大学病院での診察によれば、内耳器官は備わっているという。聴力はない。
聴力に関しては日常生活に支障は無い。雑踏の中や、飲食店での会話、音の方向、良質なイヤホンなどに恵まれず、不満に思うことはあるが、毎日絶えず苛まれることでもないし、慣れて無頓着になった点も多い。
そもそも両耳が聞こえた試しがないので基準値がわからない。立体音響も、ASMRも、わからないので、後天的に片耳難聴になった方々に比べれば、いくらか平和に捉えられていると感じている。
生後間もなく、両親は主治医に「お子さんは片耳が聞こえないかもしれない」というようなことを言われ悩んだそうだが、片耳ならまあ良いかと楽観的に受け取ったという。
両親の対応
両親は耳の形について特に何も言わず私を育てた。
4歳の頃、父に「私の右耳も大人になったら大きくなるの?」と聞いたことはある。父がどう答えてくれたか覚えていない。
補聴器をつけた同級生
その後保育園に入園し、同学年の園児たちの耳が両耳とも同じ大きさであることを知り、そこではじめて自分の右耳が極端に小さいことを知ったが、別段何とも思わなかった。
同学年に補聴器を付けた園児がいたのだが、今思えばそのことで自分はひとりでは無いと思えたのかもしれない。
追記
小耳症は当人よりも周囲の保護者たちの方がヤキモキしている印象を受ける。
形に関する感覚は個人で違うだろうが、片耳難聴に関してはそもそもの基準値を知らないので、さほど悲観的になる必要もないと感じている。
これから数回に分けて小耳症、片耳難聴に関して不便な点、便利な点、個人的な所感などまとめていけたらと思う。