白いごはんのような日常を。
いつもの町に帰ってきた。僕の家がある町。都会過ぎず、田舎過ぎず、銭湯とパン屋がある町。
非日常は好きだった。知らない駅と、知らない銭湯と、知らない街並み。そこで過ごした数日間はいつもと違っていて、映画の中みたいだった。
なのに、自宅に帰ってくるとホッとする。
最初はあまり気に入ってなかったこの町が、すっかりマイホームになっていることに気づいた。
そしてマイホームのあったかさを感じられた理由について少し考えてみた。ずっとここにいたら感じられなかった気持ちだ。
非日常というスパイス?
スパイスというと、なんだか刺激的な遊びのようなニュアンスがある。だから少し違う。これよりも例えるなら、
ご飯のお供。
…かも。
濃い味付けの甘辛い煮付けが美味しく感じるのは、炊きたての白ごはんあってこそだ。どちらが欠けてもダメなんだ。これがしっくりくる。
それの美味しさを感じるためには、こうやってたまに外の世界に出てみること。そして、すっかり概念と化した「ていねいな暮らし」なんて言葉が安っぽく思えるくらいに、今の日常を丁寧に生きること。
日常に刺激なんていらない。たまに帰ってきた時、安心できる場所があればいい。
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