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今、カナダの永住権を狙うのは、正直厳しいかもしれない
なんかもうセンシティブなネタしか書けない体になってしまったのか、と我ながら思う(さっきも一つ、note 書いたんだけど、ビビッて下書き保存にしてしまった)のですが、これまた微妙に怯えながら書きます。だったら書かなきゃいいんだけどね…
多分、人によってはムッとする内容かもしれません…
結論から先に書いてしまうと、カナダの永住権を考えている皆さん、今は良いタイミングじゃないかもよ、という話です。
というかもうぶっちゃけさせて頂くと、Twitterとか見てても、ここ最近のカナダのポリシー変更とか、潮目の変化を全く把握できてない人が多くて、まったく余計なお世話ながら、ちょっとまずいんじゃないか?と思うことが多々ありまして…
そういう人たちの目に留まるといいな… なんておこがましいことを思ったり… 思わなかったり…
もちろん毎度おなじみ、ド素人のたわごとなので、事実誤認などが含まれているかもしれません。くれぐれも鵜呑みにはなさらず、一次情報をご確認ください。
そして一部の職種に就いている方たちにとっては全く関係のない話なので、そのへんご承知置きの上、さらーっと読んで頂ければと思います。
潮目が完全に変わってしまった
今まではカナダって、与党であるリベラルのポリシーもあって、「移民ウェルカム!」ってスタンスだったんですよね。出生率が下がってるとか、アメリカに人が流出してしまうとか、あとはもちろん人道的な見地からも、移民や難民をわりと寛容に受け入れてきたと。
特にコロナによるパンデミックの際には、非常事態ということで入国規制を敷いた結果、国内の労働者がダダ減りしてしまい、こりゃマズイということで、すでに国内にいた留学生の卒業生(…)や、temporary worker(ワークビザを得て働いている人たち、一時的な滞在者であって永住者ではないという位置付け)に優先的に永住権を付与したんですよね。
そういった印象から、「カナダは永住権が取りやすい」というイメージがあったかと思うのですが、ここ数ヶ月~1年?くらいで、急激に状況が変わってきまして。
一言でいうと、まあ、永住権が取りにくい状況になりつつあります。
↓ ここでも、他のところでも書いたんですが、総選挙を来年に控えているというのが、結構大きな理由ですね。
いろんな要因があって、カナダでの生活が苦しくなっていると感じる人たちが増えていて、その不満が移民や留学生に向かっていると。事実ではないことも多い(と個人的には思う)んですが、政権を死守したいリベラルも、さすがにこれ以上、移民ウェルカムの姿勢を維持することが難しくなってきたわけです。
それでも当初は、「temporary worker と留学生は減らすけど、永住権を与える予定人数に変更はない」というスタンスだったんですね。なので私も、そのへんは楽観視していて、「永住権が取りにくくなっている」という言い方はしてなかったんです。
しかし、国内の失業率は上がる一方だし、住宅不足などの問題もそんな簡単に解決するはずもなく、トルドーへの批判はどんどん増すばかり。政権奪還を狙う保守党も、ここぞとばかりに攻撃しまくるので、ついには、すでに発表済みだった数年ごしの移民の受け入れ計画をスローダウンする可能性まで示唆。(これは今月中に正式なアナウンスがある模様です)
あとは、永住権申請への王道だったポスグラ(post graduation work permit) についても、ついに制度変更の発表がありました。
↓ カナダ政府のサイトにも出てます。こういう一次情報をしっかり確認することが大事!
今までの王道が使えなくなった
正直、個人的には思ってたよりかなり緩い措置だったな… という印象ではありますが、それでも永住権申請の王道であったポスグラ制度に変更があったのはかなり大きな出来事かなと。
ざっくり言いますと、来月以降に学生ビザを申請する人たちは、カレッジの場合、一定のプログラムを卒業しない限り、ポスグラは申請できなくなりますよという衝撃的な内容です。(もちろんほとんどの私立カレッジは従来通り、ポスグラ申請の対象外)
つまり、今までのように公立カレッジへ行って3年のポスグラをゲット、職歴を積んで永住権を申請する… という方法が、ごく一部のプログラム卒業者しか使えなくなるわけです。
というか今回、「カナダのカレッジ、大学へ行く理由が、永住権取得のため、というのがそもそもおかしいのだ」「あなたたちの目的は、あくまで留学そのもののはずでしょ」と、突然カナダ政府が手のひら返しをしたんですよね…
まあ、実際に Study permit には、「〇年〇月〇日までにカナダを退去する」という文言がある通り、そもそもは「留学期間を終えたら国に帰ります」というのが前提なんですよね… それが長らく、カナダに滞在して働いたり、永住権へつなげるためのツールとして使われていたし、それを労働市場もカナダ政府も黙認というか、むしろ歓迎していたわけで。
ところが選挙権を持つ「カナダ人」たちから、失業率の悪化などをやり玉にあげられて、「留学生とか temporary worker じゃなくて、カナダ人に働いてもらわねば!」ということで、今回の方針転換が起きたと。
というわけで、当然、LMIA に関しても変更がありました。これはもう先月に発表されて、すでに施行が始まっております。
めっちゃ雑にいうと、一部の業種を除いて、失業率が高い大都市圏では、LMIA の申請自体ができなくなり、それ以外のエリアでも、職場のマックス10%の人員しか申請できなくなりました。更に、今まではマックス2年の期限で働けていたところが、1年に短縮。申請料は従業員一人あたり、$1,000。これは従来通り雇用主が払います。
当然これも、「わざわざ外国人を雇わずに、できるだけカナダ市民を雇いなさいよ」という政府の思惑に基づいた措置なんですね。なんだよー!と思う人も多いかもしれませんが、ワークビザや永住権をサポートすることで、従業員を搾取してきた悪徳事業主を一掃したい、という思惑もあるようです。
そんなわけで、ポスグラからの永住権申請、LMIA からの closed work permit で職歴を積んで永住権申請、という従来の王道プロセスが、かなり制限される状況になっています。
余談ですが、わたくしはもともと、いわゆる私立カレッジのCOOP留学やワーホリから永住権を狙うのはかなり難易度が高いと思っており、それも何度か書いてきた(と思う)ですが、未だにこの方法を想定してカナダに来る人がいるみたいで、本当に申し訳ないが、どんだけ周回遅れなんだよ!と叫びたくなってしまいます。(いや、本当にすみません。余計なお世話ですね。)
ついでにこれもぶっちゃけてしまうけど、地方の PNP とか AIP(Atlantic immigration program)とかの僻地系を今更狙うのも、めちゃくちゃ周回遅れですから!!!マジで。もうそんなの、1年以上前から人が殺到して、現地では仕事がない家が足りない学校がキャパオーバーとか騒いでますから!そして実際にあちこちの州やエリアで、次々と申請ストップになってますから!
お願いだから、ニュース見て!引っ越す前に、その地域のローカルニュース見て!どこの州でも、普通にニュースになってますから!
しかもこの傾向はこれからしばらく続きそう
何度も書いてきた通り、ここまで急激な政策転換が行われたのは、来年の総選挙に向けて、どうにか国民の支持を取り戻さないとならないというトルドー政権の焦りが大きな理由の一つです。
じゃあどうしたら国民の批判の声が止んで、再びリベラル政権が支持を得られるか… と考えると、かなり茨の道ではあって、失業率が下がる(つまりは景気が上向きになること)、住宅不足、医療リソース崩壊の改善、物価高のスローダウン… と、必ずしも政権が今すぐどうこうできる問題ばかりではないんですよね…
しかし、トルドー政権への不満が高まっているのを好機に、保守党のPP(Pierre Poilievre 何度見ても苗字が覚えられない)が、政権奪取するのではないかという見方が結構優勢… っぽい。知らんけど!
当然、保守党が政権を握ったからといって、上記の問題がたちまち解決するわけでもないし、国民もそれはよく分かっているとは思います。しかし、今までリベラルのやり方を散々批判してきた手前、当然、PPは、移民政策に対してより強硬な手段をとる可能性が高い。となると、もし保守党が勝利した場合、更に永住権申請が難しくなるかもしれない…
では、かろうじてリベラルが勝ったとしたらどうか?その場合でも、すぐには規制を緩める方向にはいかないんじゃないかなあ~という気がしますね。このへんは私はまったく分からないですが…
そんなわけで、とにかく、カナダの永住権を狙うのは、残念ながら少なくとも来年末くらいまではかなり厳しいと言わざるを得ないかと。
保守党が勝った場合は、もしかしたら更に1年2年、それが延びるかもしれない。
いずれにしても、先行きが不透明すぎるから戦略が立てにくい。
じゃあどうしたらいいのさ!ってなると思うんですが… まあ、私だったら…
もし今、まだ日本にいるんだったら、カナダ行きはいったん保留にしますね… もちろん、医療職とかそういう人は別ですよ。むしろ今が旬(?)なので、意気揚々と乗り込んでほしい。というか、個人的にもホントに来てほしい。
けど、そうじゃないんだったら、日本で金貯めて、英語力伸ばして(ただ勉強するだけじゃなくて、定期的にIELTS とか受けて、CLB を極力アップさせる)、できればしかるべき職種で職歴を積む。
もうカナダに来ちゃってます… という人は… ごめん、それはもうプロに相談した方がいいかもしれない。でも、気を付けてほしいのは、一部の永住権コンサルとか永住権弁護士も、かなりひどいのがいるっぽいということ。
彼らは申請さえさせればおカネになるので、実際には無理筋なプランでも提案してくるかもしれない。(このへんのこともそのうち書きたいが…)
これもTwitter見てて本当に愕然とするんだけど、コンサルとかに丸投げして、ほんっとに何も調べてない人が多い。もうホントに見ててやりきれない…
高いお金を払ってカナダに滞在して、時間もかけて… けど、ハタから見ていると、「いや、その方法で今から永住権申請はほぼ無理やろ…」というケースがちょこちょこある!(でももちろん、私ごときがノコノコ出ていって、「それは~」とか言うのもおかしいと思うので、黙ってみているしかない…)
だから、プロに相談するのも大事なんだけど、どうか自分でもどんどん一時情報を調べて、矛盾点とか気になる点をズバズバ質問できるくらいになってほしい。
(てか、マジでやべーコンサルが想像以上に多い… 全然知識のないコンサルの話を結構耳にします… みんな自分の身を守るためにも、マジでしっかり調べような!)
あと上にも書いたけど、カナダのニュース、ローカルニュースを追って!私ももちろんそんな偉そうなことが言えるほど、しっかり情報を追えているわけではないけど、特に選挙戦の中での世論の変遷とか、与党のスタンスを抑えるのは、今は特にかなり重要なことだと思います。マジで。
ホントに、激動のタイミングなので、今は。
(言うて、コロナの頃とかもかなりドタバタではありましたが…)
なんか、すごく長くなってしまいました。
多分、今実際にカナダの永住権を狙っている人たちにとったら、ものすごく腹の立つ内容だったかと思います。
ただ、実際に永住権申請をして、どうにかこうにか取れた人間が、昨今のカナダ情勢、そして永住権取得を考えている人たちを見ていて考えたこと、感じたことを、かなり正直に書かせて頂きました…
もちろん、間違った情報、私もよく分かっていないこともたくさんありますので、こういう考え方もあるということで参考程度に読んで頂けたなら幸いです。おしまい!