移民が移民を差別する
ちょっと刺激の強いタイトルですが、別に今回もただの与太話です。
といっても政治的な話が少し入ってきますが、あんまりコメント欄で議論とかしたくないので、そのへんご配慮お願いします。私は私の思ったことをつらつら書きたいだけなので… (でも、事実誤認とかあったらご指摘お願いします)
昨日またタダ券もらってホッケー見に行ってきたんですが、みんなで地元チームを応援して盛り上がってる時に、「ああこれが一体感というものかあ」と思ったんですね。地元愛とか愛校心とか、そういう感覚があまりピンとこない性分なので、なるほどなあ、と新鮮な気持ちになったわけです。
で、そのことについて、今つらつらと考えていて、でもやっぱりこういう感覚って、一歩間違うと危険だよなと思いまして。
そこからまた思考が飛躍して、タイトルのようなことに思い至ったのです。
「良い移民」なら差別されない?
アメリカとカナダで総選挙が近いということで、ついったらんどでも、それ系のポストを目にすることが多い今日この頃なんですが、見ていてびっくりするのが、現地に住んでいる日本人でも、トランプ支持の人たちが結構いるということ。
私にしてみたらあんなの論外中の論外だし、ましてや海外に「移民」として住んでいる日本人が支持するってマジで理解不能なんですけども。
で、どういう心理なのかと思ってみてみると、「不法移民はどんどん追い出せ」とか、「悪い移民は排除されて当然」みたいな感じなんですよね。多分… 知らんけど…
まあ、一見すると理にかなってるかなとは思うんですけど、でもねえ。
アメリカって、不法移民にも市民権とか永住権を付与してるんですよね。カナダにもそういう方へ舵を切るのかな、という動きがあったけど、今はどうなってるのかな。ちょっと今の状況だと厳しそうですね。
で、そういう現実的な措置とはまた別のところで私が非常に引っかかったのが「自分は、”良い移民”」「あいつらは、”悪い移民”」という発想なんですよね。
自分たちは苦労しつつも、正当な方法で永住権/市民権を取ったから、何ら後ろめたいことはない。だから、世間の風潮が保守に偏って、移民排斥の方に向かっていっても問題ない、という考え方。
いやー、めっちゃお花畑ですね!としか思えないんですけどね… 彼らにしてみると、難民や移民を寛容に受け入れましょうね、というリベラルのスタンスこそが、お花畑らしい。
しかしねえ… アメリカもカナダも、今まで移民や難民を受け入れることでどんどん伸びてきた国ですからねぇ… もちろん、誰でもどんどんいらっしゃい!というわけにはいかないだろうけど、自分たちだってその寛容さの恩恵を十二分に受け取っているわけで。
たまたま日本に生まれるという幸運に恵まれて、良い教育を受け、正当な方法で永住権/市民権をゲットすることができただけではないか。
自分の国が戦争やら内紛やらで、生きるか死ぬかみたいな状況で、おんぼろボートに乗って、必死の思いで密入国とか、なんか、そういう人たちに「ルールを守れ!」って、なんか想像力なさすぎでは?と思っちゃうんですよね…
そして、いくら「自分は正当な方法で永住権/市民権を取った、”良い移民”だ!」って言い張ったところで、排斥主義者たちはそんなこと知ったこっちゃないですからね。
トランプ時代に、アメリカ各地でアジア系の人たちが襲われて亡くなったりケガしたりという事件が相次ぎましたけど、そういうすることする輩は、相手がアジア系っぽく見えて、さらに自分より弱そうであれば誰でもやるんですよ。そんな時に「私は正当な移民です!」なんて意味ないんですよ…
戦中に、襲われたり収容されたのも、正当な市民として暮らす日系人だったわけで… ↓
こういう現実を、一体どうとらえているのだろう?と私は不思議でなりませんね…
もっと身近なところでいうと…
「いやいや、ちょっとそれは極端な例でしょう… 確かにそういうことはあるかもしれないけど、私の周りにそんなこと言う人はいませんよ」と思う人も多いでしょう。
確かに、私も幸運なことに、そんなあからさまな例には、今のところリアルで遭遇したことはありません。(が、こんな僻地でさえ、少しずつ移民に対する視線が冷ややかなものになっているなと感じている昨今)(移民って、カナダの場合ほとんどの人間は移民か、移民の子孫だけどな!)
しかし… ここでまたほわわんと考えてみたのですが、いや、でもな… と思い浮かんだことがありました。
それは、「経済移民が、結婚によって永住権/市民権を得た人を小ばかにする」とか、「長期滞在者が、ワーホリや留学生をバカにする」という傾向…
わくわくついったらんどで定期的に 盛り上がる 燃えるトピックの一つではありますが、カナダでいうところの、ファミリークラスで永住権を得た人を揶揄するようなポスト… あれは何なのか。
いや、もう正直に書くけどさ、そりゃ私もそれなりに泥水すすって、ハゲそうになりながらやっとの思いで永住権取った人間だから、パートナーがいて、そのサポートで永住権をサクッと取った人、めちゃくちゃ羨ましいよ!正直、「ずるい!」と思う気持ちも分かるよ!
分かるけれども。
だからといって、結婚移民(言い方許してくれ)がみんながみんな、100%らっくらく!というわけではない/なかっただろうし、当然、各々の苦労もあるだろう。それに、結婚せずに一人で生きて一人で永住権申請することにしたのも私の選択である。文句を言ったり、誰かを攻撃する筋合いのものではない。
そして留学生やワーホリ、短期滞在者に対する、永住権/市民権保持者の冷笑仕草。
まあ、これもね… 正直… 分かる!と思うことも多い。
間違った情報をドヤ顔で発信してたりするのを見ると、「ちょ待てよ」と思ったり、なんか説教じみたことを書いてるのを読むと、「いやいやオマエ… そういうことは永住権取ってから言えや…」と思ってしまうことも、正直、結構ある。結構あるよ。(大事なことなのでry)
ええ、心が狭い上に醜いんですよ私は!みんな知ってると思うけど!
駄菓子菓子。
まあ、そういうのは「バカだな~!」と思って心の内に留め置くか、もしくは身内で酒の肴にする程度にしておきたい。
で、こういう心理って何なのだろう、と己の内面を見つめてみるわけですよ。この、どす黒い気持ちの正体はどこからきているのかなと。
やっぱアレだよね… これもさっきの「私は正当な移民!」的な感覚と似ていて、「私は苦労してこの立場を築き上げた!」みたいな… なんだろう?自負?それを侵害されたくないみたいな感覚なのかなーと。
あとこれもたまに見かけるけど、いわゆる「名誉白人」的なポストね…
自分もまるで白人であるかのように、別の人種に対して差別的なこと平気で言ってたりする人がたまにいるので、度肝を抜かれますね。
まあ、ダサいよね
と、いろいろなパターンを考えてみましたが、根っこはみんな同じで、要は「自分は苦労して、お金も時間もかけてこの立場を築き上げてきたから、それを壊されたくない、侵害されたくない、軽々しく扱ってほしくない」みたいな感じなのかなと。
で、更にそこを深堀りして考えてみると、そうやって不安になるくらい、今の立ち位置が安定していない、脆弱なものだと(もしかしたら無意識かもしれないけど)感じているのではないかと…
不法移民に対する排他的な感情は「自分はお金も時間もかけて苦労したのに、ルールを守らずに同じ権利を手に入れるなんてズルい!」
結婚移民に対するあの感覚は「苦労した私と一緒にしないで!」
ワーホリや留学生に対するあの冷たい気持ちは、「ちょっとしか滞在してないお前に何が分かる!」的な心の叫びであると…
こうやって考えてみるとさ…
ダサくね?
単純に… ダサいよね…
まあ、いいんですよ。人間だもの。ダサかったり、醜い内面を、人は時にさらけ出してしまうものですよ。
いや~、でもダサいわ~醜いわ~。
要は「このパイはオレのもんだ!早い者勝ちだ!誰にもやらん!」ってことだもんね…
いや、めっちゃダサい…
移民を増やすと治安が悪くなる!とかもっともらしいことを言ってるけど、実際は自分の地位が奪われることに怯えてるだけだし、その国や地域を良くしたいから言ってるわけではないと。(まあ本気で、移民を排除すれば平和で景気の良い世の中になると信じている人もいるのかもしれない)
まあ、「ダサくて結構!私はこれからも結婚移民を揶揄します!」とか「ダサいから何だ!不法移民は絶対に許さん!」という人たちもおられるでしょう。そういう人たちはこれからもクソダサ人生街道を突っ走ってください。
そうじゃない人たち、「そうか… ちょっと自分がどうしてそう感じるのか、もう少し考えてみよう」と思った人、あるいは「そうだよな… なんかダサいよな、やっぱ」と思った人たちは、ダサくない、もう少し理知的な生き方を目指しましょう…
なんか燃えそうで怖いから、公開するのどうしようかな、と思い始めたので、最後がなげやりになってしまった。
そんなことを、ホッケー観戦をきっかけに考えたという次第です。
おしまいける!