フジテレビのアナウンサーが炎上してる件

なぜ27時間テレビの関連動画が今更炎上してるの?と不思議だったが、ちゃんと該当の動画を観たら経緯を理解した。

画面左上に「CM中」とある。

これは待機時間の内輪ノリ雑談を、最近になって公開されたものだったのね。

年末に向けてアナウンサー版の名場面集やら珍プレー好プレーを特集した番組を作るために取っておいた「オフレコ」のやりとりを、満を持して公開したら、インターネットで『炎上屋』に見つかったという流れだったと見える。

私は間違って批判したくないので、発言を書き起こして、よく見ることにした。

先輩女性C「お、着替えてる!なんかちゃっかりー」
先輩男性B「27時間テレビ?」
先輩女性C「ちゃっかり、ちゃっかり」
先輩女性A「すごい似合わないねーTシャツが」
先輩男性B「むふふ」
先輩女性A「似合わない。着られて…」
先輩男性B「ポップなデザインが似合わないねー」
先輩女性A「あはは」
上垣アナ「はい?もしかして、僕の話ですか」
先輩女性A「僕の話ですか(笑)」
先輩男性B「そだよーあははは!」
スタジオ爆笑
上垣アナ「すいません」
先輩女性A「上垣、Tシャツがね、ちょっと似合ってないっていう(笑)」
上垣アナ「あれ?本当ですかー?」
先輩女性A「え?似合ってる?」
上垣アナ「個人的にはすごく、あの、似合ってると思っていました」
先輩女性A「あはは(*拍手)いいよ、その調子、その調子」
上垣アナ「その調子。(笑)ありがとうございます」
先輩女性A「うん、大事、大事」
上垣アナ「これを着て提供読みもありますもんね」
先輩女性A「そうだよね(キリッ)」
先輩男性B「ああ、そうだよねー」
上垣アナ「そうですよね」
先輩女性A「そうだよね、大事、大事」
上垣アナ「はい、確かに」
先輩男性B「浴衣」
上垣アナ「似合う男になります」
先輩女性A「うふふふ。甚兵衛とか似合いそう。甚兵衛」
先輩女性C「じんべえ」
上垣アナ「まあでも、確かに、作務衣とか一時期、着ようかなと思った時期はありましたね」
先輩女性A「いちじき」
先輩女性C「さむえー」
先輩男性B「23歳なんだよね(*モニターかカンペを確認しながら)」
先輩女性C「あははは」
上垣アナ「あ、そうです、そうです。23歳です」
先輩女性C「ちーがうんじゃないですかー」
先輩男性B「何年?西暦何年?」
上垣アナ「西暦2001年」
先輩男性B、先輩女性C「にせんいちねん!!👀」
上垣アナ「はい」
先輩女性C「信じられなーい」
先輩男性B「うそでしょ?絶対うそつきだ」
先輩女性A「2000生まれだ。2000年以降生まれだ」
上垣アナ「(笑)」

上垣アナはもともと「イマドキの若者に見えない今年の注目新人」としてフジテレビが27時間テレビの番宣などでアピールしてた一年目。例年はスクールカースト上位にいそうなスポーツ万能長身イケメンが多く採用される中で、彼のビジュアルが異質に見えることは確かである。(*あくまで違うタイプだという話で、それを笑いものにするのかは別問題)

この会社ぐるみで取り組んでる「上垣いじり」の流れに、本人も周囲も乗っかってふざけてるだけかもしれないから、これだけでスタジオの先輩アナウンサーの性格や人間性に問題があるとまでは判断はできないかなあ…と私は思う。

まあ、たとえ本人がオイシイと思ってやってる自虐ネタ(特にアナウンサーとか芸能関係はコンプレックスが個性や強みとして評価される場面も多いので)であっても、自虐は少しずつ確実に精神を蝕んでいくので、やらない方が良いとは思うけどね。


なんというか、フジテレビには西暦2000年前後の『めちゃイケ』の成功体験があるので、それに乗っかろうとするというか、まだ引きずっているというか、局アナウンサーにもあのノリを演じることを求める社風があるような気が私はしている。

ただあれはお笑いスキルが高い芸人がやるからバラエティとして成立する側面は大いにあったのであり、お笑いスキルを買われて入社したわけじゃないアナウンサーにやらせるのは無理があるとは思うけどね。


容姿弄りの口火を切ったのは先輩女性Aだった。しかし、上垣アナが「提供読みもこのTシャツを着て実施すること」に言及すると、失言の危機感を察知して即座に軌道修正しているのが見えて興味深い。明らかに声のテンションが変わる。上垣アナの個性がマッチしてない話題から、個性を活かせる場面は何かしらと話題を変えようとする。

仮にも「笑いもの」とフジテレビ社員が考えている服装でスポンサー企業の名前を読み上げる、なんて問題視されたら大事になるからね。これまで正装ではないラフな格好で提供読み上げをしてきたことだけでも、日本のビジネスシーンの慣習では結構尖ったことに該当するので、そもそも地雷地帯ではある。この頭の回転の速さには、やはりベテランの技というか経験で培った嗅覚があるのだなと感心する。

補足)
民放各局が毎年実施してる24時間放送は、もともと深夜放送が一般的でなかった時代に、災害など緊急時に地方局と連携を取って24時間いつでも滞りなく放送や中継を実施できるかの訓練として始まったものである。要するに学校や会社が年に一回実施する避難訓練に近い。だからフジテレビも日本テレビも、司会やアナウンサーがTシャツのような軽装で参加することが容認されるのだと考えられる。

現在ではアナログ放送からデジタル放送に技術移行して24時間放送は容易になったし、インターネットテレビやSNSのライブ配信など様々な代替放送手段が構築された。昔よりも地方局との中継や、東京キー局の機能を地方局で代行することは、技術的には簡単になった。それこそLINEはコリア、TikTokはチャイナ、YouTubeとInstagramとTwitterはアメリカにインフラがあるので、仮に日本全土が大きな災害に遭っても代替通信手段の構築手段はいくらでもあり、民放各局が24時間放送の訓練をする意義は相対的に小さくなっている。

強いて言うならば、主要都市がEMP攻撃などを受けて地デジが機能しなくなった時に、旧来のアナログ放送でテレビやラジオを全国放送できるのかという試験や訓練は有意義かもしれないが、もはや24時間放送の第一目的が集金や話題作りになっているので、そんなことはプログラムに含めない。民放各局もその事実を周知してもメリットが無いので、24時間放送をやるのは当前であるという形骸化した慣例を続けているのだと考えられる。つまり乱暴にまとめるならば、この話題は当事者にとってタブーである。(笑)

先輩女性Aより若く見える先輩男性Bは危機感を覚えなかったのか、呑気に容姿弄りを続ける。彼はスタジオのモニターかカンペか何かを横目で見ながら話しているように見える。モニターや時計なら「まだCM中であること」を確認して「電波に乗らないところでいじる」という性悪説でも語れる。

しかし、カンペならスタジオから弄りを続けるように指示が出ていた可能性もある。というのも、上垣アナのTシャツを捉えるカメラマンとスイッチャーがCM中なのにバラエティ番組(それこそ『めちゃイケ』のような)の要領で仕事しているので、スタジオから指示が出ていた可能性も割と高いんじゃないかと推察される。

一方で、それまで次の原稿を確認してペン入れなど準備していた先輩女性Cが後半から会話に加わる。先輩女性Cはスタジオに居るアナウンサーでは一番後輩に見えるが、やはり経験が浅いだけあって発言が危なっかしい。特に「(23歳というのは)違うんじゃないですか」という発言は文字面ではイエローカードか場合によっては一発レッドカードに相当するクラスの失言だと思う。

*何度も繰り返しますが、失言やハラスメントは当人同士の関係や環境も加味しないと妥当な判断ができない類なので、今回炎上している動画内での言動だけで性格や人間性まで私は判断しません。


流石によく調べないで「先輩」とだけ書いて、実は同期とかだったら良くないので念のために確認した。私が知ってるのキクちゃんだけだったわ。たぶん『笑っていいとも!』のおかげ。あと、とんねるずの番組で見た印象も強い。2010年くらいから私は全然テレビを観てない生活。ああ、年齢がバレるわね。(笑)

先輩女性A:西山喜久恵(1992年入社、55歳)
先輩男性B:生田竜聖(2011年入社、36歳)
先輩女性C:阿部華也子(他事務所、2016年入社、28歳)
上垣皓太朗(2024年入社、23歳、誕生日は1月)

コンプラなんて概念が存在しなかった昭和に生まれ育ち、テレビ業界に激震が走った平成を生き抜いて、そして令和になっても時代に対応しながらフジのアナウンス室に所属し続けるキクちゃん。失言のリスクを感じてスッと引き、なんなら最後に上垣アナの2001年発言をスタジオで唯一嘘つき扱いしなかったキクちゃん。流石、ここまで生き残ってきただけあって、鋭いセンスしてるわ。(マジで感心してます)


今回の件は、男女を逆にして想像すると、どれだけグロテスクなことをしてるのかがよく解るよね。

外見が地味な若い女性に「その服は似合わないね」「何歳?何年生まれ?」「嘘つき」とか言ったら、そりゃ炎上するって。

まあこれまで長く続いてきた社会では、男性は多少ビジュアルが悪くても仕事ができれば社会的・経済的に成功しやすいというか、女性ほどルッキズムで評価される場面が少ないというのはあるから、そこまで単純な置き換えが成立する話でもないけどさ。「美女と野獣」という言葉はあっても、その逆は存在しないように、「男はブサイクでも成功する道があるから良いわよね」という女性目線での不満はあるわけだから。

でも総じて、公共の電波に乗せるものとしては不適切発言である、という結論にはなるかな。

最後に少し都市伝説や陰謀論めいた話をすると、なぜこの動画がこのタイミングで公開されたのか、ということを考えたい。フジテレビにとっても、失言をしているアナウンサーにとっても、利益を生まない映像である。もしかしたら、フジテレビ内部にこの局アナウンサーの誰かを炎上させたくて、この映像を公開することを決めた人が居るのかもしれない。

怖い話である。

(了)

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まいるず
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