日本保守党の「30歳で子宮摘出」発言について

一応、公式見解としては謝罪済みらしい。

 有本氏は急速に少子化が進んでいることに触れ、「価値観が急激に変化している。子どもがいることイコール幸せになる、という絵図が描けていない。社会の価値観をどうやって取り戻すか、学者の知見を本来かりたいところ」と述べた。
 百田氏は「これを覆すには社会構造を変えるしかない」と指摘。「これはええ言うてるんちゃうで」「小説家のSFと考えてください」と複数回前置きした上で、「女性は18歳から大学に行かさない」「25歳を超えて独身の場合は、生涯結婚できない法律にするとかね」などと発言。また有本氏が「子どもを産むには時間制限がある、ということを子どもたちに教えるべきだ」と指摘すると、百田氏は「30超えたら、子宮を摘出する、とか」と述べた。
 一連の発言をめぐり、SNSなどでは批判が殺到。百田氏は9日夜、自身のX(旧ツイッター)のアカウントで「『やってはいけないこと』『あくまでSF』という前置きをくどいくらい言った上での『ディストピア的喩(たと)え』ではありましたが、私の表現のドギツさは否めないものがありました。不快に思われた人に謝罪します」と投稿していた。

日本保守党・百田氏、「30歳超えたら子宮摘出」発言を撤回し謝罪
:朝日新聞デジタル(2024年11月10日)

百田尚樹も最初は意地を張っていたけど、まあ謝罪するしかないよね。

…って、いや、これ謝罪になってるのかな?

表現がドギツイと言ってるだけで、「人として間違ったことを言った」ことまでは認めてないかもしれないよね。

だって表現がキツイだけなら、《表現さえ適切なら同じことを実行しても良い》と考えていることになるからね。

これは、本人は気づいてやってるのかな?

百田尚樹は小説家だったよね?

論理的な思考や文章は苦手なのかな?

Twitterは推敲せずに投稿してしまいやすい所があるからなー。

あとは、これらのトンデモ施策が彼の本音ではないなら、真面目に答えるとどんな施策が有効だと考えているのかまで述べた方が良かったんじゃないかな。でないと、テレビに出演して少子化の打開策として一夫多妻制とクローン技術のアイデアを披露した石丸伸二と同レベルだよ。(苦笑)


日本保守党がやらかした子宮摘出発言は文脈を問わず失言である。

しかし、常識で考えれば、こんな人権侵害の政策をそもそも実際に施行できるわけ無いので、これらは結婚なり子育てなりしてる人達からすれば「何をアホなことを」と一蹴できる戯言でもある。

逆にここまでSNSで燃えたのは、それだけ現状に余裕が無い(結婚したくてもできない/子供を産めなくて不幸だ)と感じる人、冗談が通じないほど追い込まれている人が増えているせいだとも思う。

まあ、単純に日本保守党には政敵が多くて失言を揚げ足取りされやすいとか、あるいは炎上屋のオモチャにされてるだけの可能性もあるけどね。まあでも、それらは炎上のきっかけでしかなくて、本質的に人道的に間違った失言であることは一切揺るがないのよ。(諦観)


「戯言でもそんなこと政治家が言うなよ」という指摘は全くその通り。正論だ。

しかし社会には「正論に固執するだけ」では円滑に回らない事例もある。

例えば高速道路の法定速度は、多くの区間で守られていない。首都近郊の混雑しているエリアはともかく、地方の閑散としたエリアでは多くの人がビュンビュン飛ばしている。

理想主義の考え方では、全てのドライバーがクソ真面目に法定速度を守るのが良しとされる。しかし、多少ルールから逸脱した方が効率的で利益が出る場面も世の中には沢山あるよね、というのが現実主義的な考え方である。高速道路の場合は、全体のスピードが上がって移動時間が短縮されるという利益が生まれる。


この理想主義者がルールに厳格になりすぎる失敗は、アスペルガー症候群を持っている人やサイコパス気質がある人など、コミュニケーション力に支障がある人も陥りやすい。私は、石丸伸二の安芸高田市政にもこの失敗が関与していると考えている。

石丸伸二は、議会と建設的な議論をして解決を探る調整能力を持っていなかったために、何かあるたびにルールを盾にして対話を拒絶する姿勢をとった。銀行員だった時代にもチームプレイはあまり経験しなかったらしいし、それが彼の性格でもあったのだと思われる。(それが市長として適正があったのかは議論の対象とすべきである)

石丸伸二は市長時代の実績として大幅なコストカットを挙げるが、実はこれらは市長の権限で実行できる(議会承認を必要としない)ものだ。つまりルールに則ってれば勝てるものだけ石丸伸二はやっていたと言える。

しかし、いくらルールに書いてあるからとはいえ、議会や市民の反感を無視してコストカットを断行した姿勢には問題があると言わざるを得ない。そしてコストカットだけではその自治体の未来のビジョンを示したり実行に移したりすることもできない。

私が議会と衝突も辞さない覚悟でやってこられたのは、私が市長という立場にいたからです。戦略上、もっとも力を入れてなすべき財政再建に必要な支出のカットは、市長の権限で実行できる。だから議会と衝突するという作戦が選べたのです。

石丸伸二,2024,覚悟の論理,225ページ

これは石丸伸二の著書からの引用だが、コストカットは市長の権限で実行できるから衝突した、つまり「一部の仕事は議会との話し合いでの解決をしなくてもOKだから、議会と衝突した」という意味になる。(石丸伸二はよく議員に対して「議会軽視である」と非難していた印象があるのだが、これこそ最大級の議会軽視ではないだろうか)

この文章のヤバさがお分かりいただけるだろうか。これは「僕は議会と話し合って課題をクリアすることはできませんが、一人でクリアできる課題だけやりました」と白状しているのに等しい。会社にこういう人いるよねー、全然仕事ができないタイプで。(苦笑)新入社員にも居るけど、年配になってもまだやってる人は管理職になれないんじゃないかな。

このような、「仕事能力が低くてもルールにさえ従っていればできる」という石丸伸二のポリシーが少なくない若者に受けているのは、日本保守党の「昔ながらの価値観での人生負け組」の人権をこき下ろす発言が炎上したことと同じく、近年の若者の非正規雇用化・未婚化・貧困化と相関していそうな気がする。

▼関連記事:

石丸伸二の『覚悟の論理』は感想文を書いたので気になる人はそちらもどうぞ。

(了)

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まいるず
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