マガジンのカバー画像

娯楽と芸術の結晶クリストファー・ノーラン

22
考察するのも楽しい映画作家ですよね。
運営しているクリエイター

#原爆

【オッペンハイマー】徹底解説:アインシュタインとの会話

#ネタバレ 映画の核心部分ですが、あまり語られてないので、解説してみます。 映画の中でアインシュタインが出てくるシーンは4箇所ありますが、この記事ではあくまで時系列に沿って3つに分けて記載します。 ▼1943年:核の連鎖反応についてニューメキシコ州のロスアラモスのオフィスが準備できるまでカリフォルニア州バークレーのオッペンハイマーの研究室で、マンハッタン計画は進んでいました。そこでテラーが核連鎖反応理論を提唱します。すぐに数学者たちで理論が正しいのか計算に取り組みますが

【文字起こし】アメリカで大学教授に昇り詰めた日本人から見たオッペンハイマー

昨年ぐらいからネットで売れっ子になった理論物理学者・野村泰紀(カリフォルニア大学バークレー校教授)が出演しているYouTube番組(相対性理論!6歳にわかるように説明してみよう!【ReHacQvsUCバークレー】)で、映画オッペンハイマーへの言及があったので抜粋して書き起こしました。 39分ごろE=mc^2の話題から少し脱線して核分裂と核融合の解説に移り、そこから映画オッペンハイマーにつながります。 以下、書き起こし。 野村泰紀:最初は残念なことに、ポジティブなものじゃ

【オッペンハイマー】ネタバレ感想【あらすじ】

このnoteはクリストファーノーラン監督作品『オッペンハイマー』のネタバレありの感想になります。 本作は一応「伝記作品」という体裁を取っていますが、そこはノーラン監督なので時系列を複雑にすることに始まり、いくつか映画ならではの創意工夫を加えていてそれが面白い作品です。 なので、映画を観る前にこの感想を読むことはお勧めしません。 以降はネタバレありで語ります。 #ネタバレ ▼概論:素晴らしい映画でした。「今世紀最高の映画の一つ」という宣伝文句は妥当です。少なくとも「2

オーストラリアまで『オッペンハイマー』を観てきた話

「ちょっとウナギを食べに浜松まで。😉」 人生で一度は言ってみたい言葉ですね。 私はこれを映画でやりました。 「ちょっとオッペンハイマーを観にオーストラリアまで。😉」 クゥーッ! 言ってしもうたで!(笑) このnoteでは最初になぜオーストラリアなのか、次に映画の感想を書きます。そして最後に日本の一部で問題視されている本作の日本ディスについて私見を述べます。 ▼なぜこのタイミングなのか:私も当初は日本公開を待つつもりでした。 しかし、待てども待てども決まりません

【バットマン死亡説】99%の人が気づかないダークナイトライジングがバッドエンドである理由【オッペンハイマー】

ノーランの新作が『オッペンハイマー』であることを考慮すれば、『ダークナイトライジング』はただのハッピーエンドではないことが見えてきます。 *本稿はかなりシリアスな解釈をしていますので閲覧にはご注意ください。 #ネタバレ ▼あらすじ(99%の一般論):ベインがゴッサムシティで中性子爆弾を起動します。バットマンはゴードンやキャットウーマンと協力してベインとタリアを倒し、中性子爆弾を入手しますがもう爆発は止められません。起爆装置を単体で解除できるパヴェル博士をベインが殺害して

テネットのアルゴリズム起動装置がオッペンハイマーに繋がる件【TENET】

映画の核心部分をネタバレしているので閲覧にはご注意ください。 ▼問題:映画『TENET テネット』を久し振りに視聴して腑に落ちない箇所がありました。 ”セイターが絶命したのにアルゴリズムが起動しないのは何故か?” 映画では、主人公たちがアルゴリズムを奪取する前に、キャットがセイターを射殺してしまいます。しかし何故かアルゴリズムは直ちに起動しませんでした。その後、主人公はアイヴスと共に脱出して、ニールも加えて3人でアルゴリズムの隠し場所を相談します。 おいおいおい、アル