陸上部の無知な女(キム3話)前編

ある放課後、キムは部活動のゲストとして陸上部に参加することになっていた。
普通ではありえない事だがキムの身体能力は一般の日本人とは眼を見張る程に差があったりする、陸上に命を捧げる部活動生であっても圧倒的なセンスの前にはチリのように残酷な差だ。そんなキムに対して一部の男は嫉妬の目を向けているがキムを見て学ぶことが多いのも事実、キムの走るフォームや呼吸の仕方、身体の動かし方をまじかで観て学べと言うのは陸上部コーチの指示であったりする。

キム自身も俺を見て少しでもチョッパリ供が成長出来ればと思いこうして参加することを好意的に行っている。

いざ陸上部で練習を始めるとすぐに日本人との差は現れる。

まず一つ目が体力の差だ。
他の男がいつも通りウォーミングアップと言うことでグランドを外周する。

いつもなら自分たちのペースで走り軽く流すようにする物であるがキムの軽く流すと言うのはあまりにも早すぎる。

そのおかげか日本人の男はペースが乱されて一気に呼吸が乱れてしまう、ずっと陸上部で走っている男たちは意地でもキムに負けたくないため頑張って息をはぁはぁと吐きながら走るが逆効果になってしまう。

軽く流す外周が終わったキムの前には数分後横に倒れて肺を上下にする姿が散乱している。

「まったく情けない奴らだ、この程度で根を上げるなんて…」

キムとしても軽く流すだけの外周だ、これぐらいは普通と言うのが正直な感想、あまりにも貧弱な日本人にキムは呆れてしまう。

キムは軽く流した後に水分補給をする、その姿もさまに成っており陸上部の女子供はその姿を見て黄色い歓声をあげている。

だがキムとしてはこの程度のことで黄色い歓声などいらないというものだ。

ちょっとやるだけでこれだ日本のチョッパリ供の程度がわかってしまうから定期的にやることは苦にはならないが。

陸上部の練習に参加して正直才能を感じる人はあまりいない。
この程度で大会に優勝できる程の名門校であるのがキムにとっては不思議にならないことだ。

そんな部活動の終わりにキムに話しかける者がいた。
陸上部の中でも顔が整っておりそのスタイルとも相まって誰もが見惚れるであろう人物。

「あのキムさんちょっと教えて欲しいのですがよろしいでしょうか?」

陸上御井、こいつには少しだけ才能を感じていた、基本的にキムは放任主義だ、何か聞かれたり、教えを請われることがない限りは自分からはしないのがキムという男だ。

御井自身は自分の成長の壁を感じていたみたいだ、そこでキムに診てもらい自分が成長するきっかけになればいいと思いキムに話しかけてきた次第。

「いいよ俺で教えることが出来ることなら教えてあげるよ」

俺としても御井の才能を伸ばせるならやぶさかでないという物だ。

「はい!ありがとうございます!」

それが俺と御井の初対面であった。


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俺の名前は童間造、学年でもイケメンで有名な男子高校生だ。

色んな女の子から告白をされる中で俺はお断りする、もちろん無下になんてはしないちゃんと相手が泣かないようにアフターケアも忘れない。
そのような姿勢もあってかクラスメイト達からも人気である。

そんな中でも俺の本命は一人しかいない。

陸上御井

陸上部でも有名で人気のある女の子だ。
表に出すことはないが俺のような人気者に釣り合うのは陸上御井や学園のマドンナである姫子ぐらいだと思っている。

だが学園のマドンナは正直部が悪いと思ってしまう。あれ程に存在感がある存在を相手には流石の俺も手は出せない。

陸上御井とは違い住む世界が違うと言うのが一番あっている表現だろう。

その点陸上御井はまさに理想の相手と言える。
付き合ったら絶対に大切にしようと思っていたのが今から数ヶ月前の話だ。

そして俺は陸上御井に数ヶ月前に告白して、そして付き合い始めた。

陸上御井は誰かと付き合ったことはなく無知な少女だった。
陸上一筋で生きるその姿が可愛いと思ってしまう。

数ヶ月の間にセックスをしようかと思ってはいたが流石に一年も付き合ってないのに陸上御井もセックスをするのは嫌だろうと勝手な判断で俺は抱きたい気持ちを抑えている。

俺の中の理想のタイミングで陸上御井の処女を貰う、それが俺の理想の付き合い方だ。
俺自身もロマンチックに童貞を卒業する。


童間造は所謂素人童貞、理想を求めすぎている童貞の童間造は女子から告白されることを断っているが本当は沢山の女性と肉体関係で繋がりたいと思っていたりする。
しかしもし付き合った後にやるだけやって振ったなどの悪評がついたら俺の周りからのイメージが悪くなることを危惧して告白を断っていたりする。
本命とずっと付き合えることが前提の考えのもとで童間造は動いていた。


今日も御井と一緒に放課後の帰路に着く。
部活動が遅くに終わる御井を待っての帰路だ少し申し訳なさそうにしている御井も本当に可愛いと思ってしまう。

「御井今日も陸上お疲れ様」

「ありがとうね造くんもお疲れ様です」

何気ない会話でも幸せを感じてしまう。
この時間がとても俺は好きだ。

「そういえば陸上で悩んでたことは解決出来そう?」

御井は最近悩んでいたようでなんでも成長の壁にぶつかってしまったとか。
俺には詳しくはわからないが御井としては思い悩むものであり、あまり力になって上げれない俺は少し不甲斐ない気持ちになってしまう。

しかし対照的に御井は顔をパァッと明るくして嬉しそうに言葉を発する。

「何とか超えられそうで今はいい感じだよ!えへへ」

その姿に俺も嬉しくなる。

「そっか、よかったよ」

だがその後にまさかあんな言葉が発せられるなんて思ってもいなかった。


「キムさんに色々と教えてもらってるんだえへへ」

それは俺にとって爆弾発言であり、目を大きくあけ驚愕するようなものであった…


その日の夜童間造は考えていた。

キムは高校2年の最初に転校してきた韓国人だ。
高身長でイケメン、気配りや男らしい姿がクラスや学年を問わずに学校全体で有名になってしまう程のカリスマ性を持つ男。
クラスでも目立っていた俺が霞むほどに輝く姿に俺は嫉妬したものだ。

そんなキムが御井に陸上を教えている。
俺の彼女が成長出来るのは嬉しいがいかんせん不安が残るのも事実であった。


まさにその事実が起こっていることなど童間造には知るよしもない話ではあるが…




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次回!キムと陸上御井の特別訓練を見てしまった童間造、そこにあった姿はとても言えるようなものではなかった。
あまりの光景を見た童間造は何を思うのか、どんな行動をとるのか…

次回もお楽しみに!

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