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旅のこころをつかまえに行こう(100字)

友人へのおつかいがてら、横浜へ。約束の時間まで神奈川県立図書館へ。汗をかきながら坂を登る。上からは日傘をさしたマダムたちが降りてくる。新しい図書館はパソコンを広げる人にもやさしく、仕事もはかがいく。(99文字)


「えいや!」と、15年乗っているロードバイクを坂の上の自転車屋に持って行き、メンテナンスを依頼する。思いのほか早く対応してもらえた。少し早めにピックアップに向かい、最終チェックを受ける愛車を眺める。(99文字)


夕方、公園を散歩。「あ、そういえば」。コンビニでみかんジュースを買ってきて、ゼリーをつくる。この夏、実家で母が切らさず作ってくれていたゼリーが無性に食べたくなり、うちのゼラチンでチャレンジ。悪くない。(100文字)


編集者から小説を勧めてもらった。そこに出てくる昭和の作家の作品が読みたくなり、図書館で取り寄せる。上林暁の『孤独先生』。美しい装丁でカウンターから出てきた時に一瞬見とれた。本をめくりながら家路を急ぐ。(100文字)


洗髪時、髪がたくさん抜ける。その一本一本が孫悟空のように分身となって出てきたら、大変なことになるだろうな。50人くらいの私に、お茶を出したいが湯呑みが足りないだろう。酒を出せと言う私もいるだろうか。(99文字)



*「うんたったラジオ」で話した「旅のこころをつかまえに行こう」が、なんだかしっくり来たので、このところの「旅のこころ」を100字にしてみました。
母と娘のおしゃべりを配信しているうんたったラジオも合わせて、聴いてみてくださると嬉しいです。

▼うんたったラジオ
文筆家・山本ふみこ(母)と編集者・あずさ(娘)のとりとめもないおしゃべり。「うんたった」というリズム感を大切に……。いや、そんなコンセプトもないかもしれない。https://open.spotify.com/show/59ZOIe4r9tIc3nccw6BP97
(Apple podcastでも配信中)

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