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大笑いのふたり

島根県松江市で迎える朝である。
ここは、シホちゃんち。
前に泊まったのは何年前だろう……? 島根の先輩に紹介をしてもらったシホちゃん。ひさしぶりの再会だったはずなのだけど、すぐに彼女の世界に入れてもらうことができた。
自分の好きなことを知っているシホちゃん。その世界は個性的で、シホちゃんを通して体感するから心地がいい。

寝床から抜け出すと、食卓にはお粥が用意してあった。
「いまね、お粥に入れる調味料にハマってるんだ」
そう言って、食べるオリーブオイルときくらげしそ高菜の瓶を出してきてくれた。

お粥には蒸した鶏のささみが入っている。「きくらげしそ高菜」をちょこっと瓶から出して一口。風味と香りと食感がちょうどいい。
「このひとね、きくらげの妖精・ケッピーっていうらしいよ」
瓶に写っている女性のことだ。ケッピー……愛知県豊川市にいるんだとか。

こちらのパッケージもクセ強め、「食べるオリーブオイル」。フライドガーリックのオイル漬けなのだけど、めちゃくちゃ美味しい。にんにくって最強だよな〜。こちらは福島県の「小田原屋漬物店」さんのもの。
シホちゃんは、近所のスーパーで瓶詰め調味料をチェックするんだとか。
あっという間にお粥はなくなっちゃいました。ごちそうさまでした。

シホちゃんはこれから出勤(介護福祉のしごとをしている)。時間大丈夫かな、と思ってみていると押入れでごそごそ何かをしている。
友人のCHIEさんが手がけているという、松江のまちをいろんな切り口で紹介しているマップを出してきてくれた。お店の建物やおすすめの文章がびっしりと描かれているマップだ。すべて手描き。
喫茶店が並ぶマップを一緒に見ながら
「このあとちょっとしごとをしようと思っているんだけど、パソコンを広げても大丈夫なお店はあるかな?」
と訊いてみるわたし。

***

「1時間くらい、パソコンで作業をさせてもらってもいいですか?」
シホちゃんにおすすめしてもらった「イマジンコーヒー」で、わたしはお店の人に尋ねる。

「どうぞどうぞ。2階もありますし、お好きなところを使ってください」
「ありがとうございます」
ほっとして1階のテーブルに腰かける。

しばらくすると、5、6人のお客さんがやってきた。みなさんカウンターにずらりと座る。きっと、この店のおなじみさんなんだな。なんだか、おしゃべりしたい店主さんだもん。
そのうちのおふたりの女性たち、スマホの画面を観ながらなにやら盛り上がっている。動画を観ているのかな、息ができないほど大笑いしている。
時間はお昼前くらいだったか。ふたりの様子は、お店の落ち着いた雰囲気とは違うようでいて、違っていない。「イマジンコーヒー」を構成する、なくてはならないふたりのような気がして、つられてくっく……となる。

***

シホちゃんは、松江を離れることが決まった。実家のある隠岐の島へ引っ越しをひかえている。
彼女に出会わせてもらった松江の人たちに、圧倒的文化度の高さを感じた。

この本も、シホちゃんが出合わせてくれたもの。ちょっとずつ読んで、想いを馳せる。

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