あの人のアロハシャツ
7月14日・15日、東京・浅草で行われた「BOOK MARKET2023」。
出版社のアノニマ・スタジオが主催し、14回目になる。
昨年はこの場所で自著『プンニャラペン』のデビューをさせてもらい、今年も出店が叶った。
今年は、随筆家・山本ふみこが主宰するエッセイ講座にて10年間作品づくりに取り組んできた原田陽一さんの書籍『晴れ男』がブースに並んだ。
エッセイ講座のお仲間がたくさん来場してくださったり、新鮮なことがたびたび起こった(0〜1歳のときの保育園の担任の先生が来てくださった……)。わたしもたくさんの気づきと学びを得た2日間であった。
このBOOK MARKETをふりかえるときに思い出すのが、ひとつのブースで共同出店してくれた友人・たろちゃんが1日目に着ていたアロハシャツ。
映画『男はつらいよ』の第25作「寅次郎ハイビスカスの花」を模したシャツで、作中の寅さんやマドンナ・リリーさんの様子がイラストとして描かれている。
『男はつらいよ』ファンとして、松竹が公式に作ったアロハシャツの存在は知ってはいた。けれども、オフィシャルのウェブサイトで「『男はつらいよ』アロハシャツ発売!」と謳われているこのアロハシャツを見て、なんだかなと感じていた。「誰が着るんだろ?」と思っていた。
だから、BOOK MARKETの初日にたろちゃんが着ているのを見て、心底驚いた。
たろちゃんは『男はつらいよ』の世界を感じとれる人だ(おかげで、自身が仲間とともにやっている「ナイスガイ編集部」で『おとっつぁん』というありもしない映画のパンフレットをつくったりしている。わたしは『男はつらいよ』からの影響だとふんでいる)。おまけにたろちゃんは長身だ。
「あなたみたいな人が着るのね……!」と納得した。
25作の「寅次郎ハイビスカスの花」について、たろちゃんと話したかったのだけれど、イベントが忙しくってなかなか実現ができなかった。
「この作品は、リリーさんと寅さんが本気になる話。寅さんが男になっちゃう回だからね。切ないよね……」
「僕は一番好きな作品です」
イベント中は、こんな会話にとどまってしまったけれど、こっそりと隣で観察をして『男はつらいよ』の世界を体感していた。
沖縄の夏、暑い暑いとまいってしまう寅さんのイラストは、こちらの体感温度も上げる。
女が期待する男はそこにはいない。その逆もしかり。
……たろちゃん! ものすごく似合ってましたよ。