
【キッチンカーアーティスト】初出動は突然に 準備編
「10/28に松陰神社前でチキン南パン売らない?」
突然の連絡は、いつも奇抜なことをされてるパクチーおじさんことKyoパクチーさんからだった。
えっ、
チキン南パン作る材料の発注方法、作業オペレーション諸々何も準備できてねえ。それどころか10/28はし明後日。そしてキッチンカーは鋸南町にある。準備する時間ほとんどなくて、どう考えても出来るわけない。・・・と逡巡してから出た言葉が
「いいですね!やりましょう!」
なぜ?なぜ今やろうと言った、自分?ノリと勢いとテキトーさで生きてる自分が恨めしい。
「俺も手伝うからなんとかなるよ。」
Kyoパクチーさんはパクチーハウスという超繁盛店を10年間切り盛りしていた方で、いわゆる飲食のプロだ。そのためこの一言の安心感は半端ない。
一方の俺ことキッチンカーアーティストのジャマは包丁の握り方すら怪しいど素人だ。ど素人で一人でキッチンカーに立つのは考えただけでお腹が痛くなってくる。しかし、ここでKyoパクチーさんという命綱を得たことで暗闇に一筋の光が差したようだ。
しかし、ここでいつまでも安堵の世界に浸っている場合ではない。準備期間は実質、今日、明日、明後日の3日しかないのだから。
ここで、準備期間中に越えなければいけない課題を考えてみる。
1.チキン南パンを作るための食材の仕入れの問題
2.キッチンカー配車場所の電気と水道の有無問題
3.車内で仕入れた食材を調理して提供できるか問題
4.営業に必要な諸々の備品が何かわからない問題
パッと考えただけでこれだけある。これらに対処することを考えただけでお腹が痛くなってきた。しかし、時間もないので対処していく。
まずは、食材の仕入れだ。チキン南パンを用意してくれるあんじゅのマスターにすぐ連絡だ。
「あのー、10/28にキッチンカーのテスト稼働でチキン南パン売りたいんですけど、食材の準備できますか?」
「それはまた急だね。何食いるの?」
何食だと・・・。俺は何食分仕入れればいいんだ?売れ残すわけにもいかないし、いくらかかるかもわからないし。
「じゃあ、20食で!!」
言っちまった。よくわからないから言っちまった。20食って。
この瞬間、高いのか低いのかよくわからないハードルが目の前に設置されてしまった。
「20食用意しとくよ。パンは町屋のラッキーベーカリーに頼んどくから取りに行って。受け取りの時間は午前10時ごろになるけど大丈夫?」
次は時間か。。。俺は一体何時から売り始めるんだ?まあ、昼時に売るのがキッチンカーの王道だよな。
「はい、大丈夫です。」
「うちのチキン南蛮とタルタルの準備ができるのが午前10時半ごろね。」
町屋で10時にパンを受け取って、その後にあんじゅに向かえばちょうど10時半ごろ。
「はい、ラッキーベーカリーに寄った後にあんじゅに取りに行きます。」
これで1の食材の問題は解決だ。息つく暇もなく2の配車場所の電気、水道問題に取り掛かる。
場所に関してそもそも、東京都世田谷区の世田谷線の松陰神社前駅の駅前に100人の本屋さんという変わった本屋さん件コワーキングスペースがある。ここでは自分で本屋をやりたい人が本棚を借りて、自分の好きな本を並べて売るという一風変わったお店をやっている。その店長がKyoさんの友達でKyoさんに負けじ劣らず変わりものであり、なぜか向かいのビルの管理を行なっている。
その向かいのビルの前に軽トラが1台止められるスペースがあり、その部分は自由にキッチンカー営業をしてもいいよとのことだった。
俺も以前100人の本屋に言った時に、向かいのビルでキッチンカー営業してもいいと店長から言われていた。冗談だと思っていたよ。しかし、どうやら本気だったらしい。
場所はわかっているのだが、電気と水が使えるのかは不明。Kyoさん経由で店長に確認する。
「Kyoさん、配車場所で電気と水が使えるか確認お願いします。というか店長には許可取れてるんですか?」
「電気と水は確認するよ。さっき確認したらオッケーだったよ」
さっき確認したのか。。。この変わり者二人のスピードがとにかく速い。
キッチンカーにおいて電気と水が潤沢に使えるかはかなり大きな問題だ。電気が現地で調達できる場合は、好きなだけ電気調理器を投入できるのでやりたい放題できる。調達できない場合は発電機や大容量バッテリーを使うのだが、俺が持っているのは900Wの発電機だけだ。
発電機には二つの問題点がある。
1.騒音が半端ない
2.屋内で使えない
騒音に関してはエンジンを回すのですごい音がする。夜中に大きめの道路の工事をやっていることがある。その時に発電機がガンガン回っているので、夜の工事を見かけたことがある方はうるささがわかると思う。
松陰神社前の商店街のど真ん中でこのハンパない騒音を出すわけにもいかず、電気が使えないのは死活問題だ。
水の現地調達は電気ほどの切迫感はないが、何十Lもの重たい荷物は運ばないに越したことはない。
「電気と水確認したけど、電気はビルのコンセント使えるって。水は水道があるんだけど、蛇口がないから使えないって。蛇口はamazonで頼んでるけど、28には間に合わないとのこと。」
とりあえず電気が使えると聞いて胸を撫で下ろす。水は鋸南エアルポルトから重たいけど、持って行こう。
「そういえば、南蛮揚げるフライヤーがねえっす。」
「卓上のフライヤーが保田子(ほたこ)ちゃんの家にあって、それは使っていいって。」
保田子ちゃんというのは俺がキッチンカー製作に使っている千葉県鋸南町の鋸南エアルポルトを仲介してくれたお姉さんのことである。ちなみにキッチンカーはエアルポルト裏の保田子不動産の管理している駐車場に置いてある。
「まじですか!?保田子フライヤー借りてきます。」
3.車内で仕入れた食材を調理して提供できるか問題の一番の懸念点は、
南蛮を車内で揚げることだったので、これが一気に解決。
それにしても保田子さんの家にはなんでもあって、今回のように
「フライヤーないですかね?」
「それあたしの家にあるよ」
は定番の流れになっている。
残す問題はあと一つ
4.営業に必要な諸々の備品が何かわからない問題
言い換えると、わからないことがわからない問題。もはやどうしようもない。ムリヤリ突破口を見つけるために、乏しい想像力で営業中の姿を想像する。
・・・・
・・・・
・・・・閃いた!!
チキン南パンを渡す袋がない!!!
そう、どうやって売れたチキン南パンを渡せばいいのか。まあ、売れなかったら必要ないけどね。
ハンバーガーを入れる包装紙みたいなものがいるでしょ。そもそもそんな包装紙はどこで売っているんだ?
わからん!とりあえず合羽橋に行くぞ。
我が家は荒川区の南千住にあるので合羽橋は車で15分ぐらいだ。すぐに車に乗り込み合羽橋へ向かう。
合羽橋はいろんな店があるなあ。シンクとかショーケースとかキッチンカーアーティスト的に気になるものばかりだ。
包装紙専門店なるものを見つけて突入。
ハンバーガー用の包装紙を発見。あとはナプキンやおしぼりもあったので合わせて購入。
これで包装紙の問題は解決だ。あとは何が必要か
・・・
・・・
お釣りが必要だ!
あとは、値段が必要だ。
それにしても値段を設定は非常に難しい。安すぎづ、高すぎづ絶妙な塩梅が求められる。
まずは原価から考えてみよう。
今のところパンと南蛮は200円で調達することになっている。飲食の食材の減価率は30%から40%と言われている。なので販売価格が600円ぐらいで売るのが適正価格と言える。
う〜ん、ランチに600円。超貧乏性の俺からしたら、600円のランチなんてセレブ級ランチである。いくらにすればいいのかわからん。
えい!販売価格400円
これでいいや。まだテスト販売だから安めで行こう。
これで営業準備は全部か?
あとはポップの作成とか必要だな。
必殺やっつけ仕事でささっとポップを作る。
ささっとフォトショップで作成するも、このセンスのなさよ。
これで思いつく限りの準備は終わった。
あとは10/28に売るだけだ。
次回へ続く
チキン南パンとはなんぞやという方へ
キッチンカーアーティストとはなんぞやという方へ