【2022年】観た映画と良かった映画
とりわけ映画が好きだ!というわけでもないが、2022年は映画をよく観る1年だった。元々は2021年の秋頃から、何をするでもなくただただ虚無を過ごすだけの休日に「何かした」という実績を作るために始めたルーティンだが、半ば趣味、半ば義務のような形で平均週2〜3本を観るようになり、2022年は合計100本(重複あり)の映画を観たので個人的に特に良かったと感じたものをピックアップして紹介しようと思う。自己満だ。
前書き
まず最初にエントリー作品のレギュレーションを定義しようと思う。とは言え一言で済むのだが「2022年、初めて観た作品」だ。
めちゃくちゃ良かったけど前年以前に観たことがあるような作品は対象外となっている。
また、前半にネタバレ無しの感想を、後半にネタバレ有りの感想を書こうと思う。区別できるようにするので、ネタバレを見たくないものがあれば薄目でスクロールして観た後にもう一度読みに来てくれると嬉しい。
『劇場版呪術廻戦0』
2022年最初に観た映画。
言わずと知れた人気漫画(アニメ)、呪術廻戦の劇場版アニメーション。本編の前日譚的立ち位置である読切漫画「呪術廻戦0」を映像化した作品。
脚本についてはほぼほぼ原作準拠の為多くは言及しないが、"普通に良い"。
この映画の一番良かったところは戦闘シーンだ。とにかく迫力がありかっこよく、ほどよく中2心をくすぐる。音楽も良い。King Gnuの主題歌ばかりが注目されているが、劇中の挿入歌やBGMがいちいちかっこいい。原作や本編アニメにも言えることだが、この作品に登場する技「黒閃」は発明だ。演出がかっこよすぎる。黒閃を観るためのアニメと言っても過言ではない。
※以下ネタバレ有り
ネタバレなしの方では脚本には特に触れなかったが、原作では描かれていない京都高専側の戦闘描写はとても良かった。特に、個人的に東堂と三輪が好きなので少しではあるが彼らの戦闘シーンが描かれていたのはアツい。また、本編では言葉のみで語られた七海の黒閃4連発をしれっと描写するのも憎い。
主人公乙骨を中心にストーリーが展開され乙骨の魅力が詰まった作品だが、主要登場人物全員に見せ場が用意されていて製作陣の作品への愛を感じる。
ちなみに一番好きなシーンの一つは乙骨の「蝶よりも花よりも丁重に扱え」のシーン。
『アルキメデスの大戦』
おそらく人生で最も人に勧めた映画。
原作は漫画らしいがそちらは未読。ある天才数学者が太平洋戦争を止めようと奔走する話。大筋は史実に基づいているので"太平洋戦争は起こり、日本は負ける"のだが、物語である以上、話は主人公を中心に展開され、勿論主人公の活躍が描かれる。即ち、戦争が起こらない方向へと向かっていく。
ストーリーの展開の仕方としては特にこれと言って抜群に優れた点があるわけではなく、言ってしまえば一種のテンプレートに沿ったような進行をするのだが、逆に言えば大きな減点もない。
では何故そんな映画を評価し、最も人に勧めたのか。観た人には『あのシーン』故だ。もうここに関しては何を言いたくない。とにかく観てほしい。
※以下ネタバレあり
映画を観る前に最も気になっていた点の一つが「数学者が如何にして戦争を止めるか」の部分だが、その答えが「見積もりの不正を暴くこと」であったことには少々拍子抜けしたが、補って余りある内容だった。
特に先述した『あのシーン』=ラストシーン、戦艦大和の命名の由来が語られるシーンは初めて観た時鳥肌が止まらなかったし思い出すだけで鳥肌が立つくらいだ。そのシーンを観るためだけに何度も見返したい映画。
あとは好みの問題だが、気合と根性で形成逆転!よりも発想と閃きで打開する方が好きなのでそれもこの映画が好きな理由の一つ。もちろんパワープレイで解決する場面もあるけど。
個人的には田中の手の平返しの早さ、結構好き。
『サマータイムマシン・ブルース』
くだらないコメディ映画が観たいと思い、検索のオススメ記事から選んで観た映画。
原作は戯曲(舞台)らしい。大学生がタイムマシンで"昨日"に戻り、壊れたエアコンのリモコンを壊れる前に回収しようとする話。
設定や映画そのものが安っぽいがそれが良い。例えばこの作品をSF映画として観たら評価は高くないだろう。コメディ映画だからこその高評価。だがそれはあくまで世界観の話であり、脚本は緻密で完成度が非常に高い。月並みな言い方だが、後半の伏線回収がとても気持ちいい。
またなりより、タイムマシンが題材である以上不可避な命題"タイムパラドックス"があるわけだが、この作品におけるタイムパラドックスの解釈が自身の考え(ネタバレパートで詳述)と合致した点も高評価のポイントであった。
※以下ネタバレあり
※「四畳半タイムマシンブルース」の内容にも触れます
主に前述したタイムパラドックスの解釈の話をしようと思う。結論から言うと「タイムパラドックスは起こり得ない」になる。おそらく最も有名な問題である「親殺しのパラドックス」を例に挙げると、"親を殺すことはできない"ということだ。何故なら、どうにかして親を殺そうとするが"何らかの理由で殺すことができなかった"結果が自分の存在であるからだ。
作品の話に戻ろう。サマータイムマシン・ブルースの中では誰一人として"意図的な辻褄合わせ"を行なっていない(正確には意図的な辻褄合わせを行なおうとするが上手くいかず、だが結果として辻褄が合う)。【パラドックスが起こりそうになる→辻褄を合わせようとする→辻褄が合う】の流れにおいて辻褄を合わせようと奮闘する姿を描くのがストレートなストーリー構成だが、この作品では【パラドックスが起こりそうになる→辻褄を合わせようとする→上手くいかない→なんやかんやある→結果的に辻褄が合う】の流れとなっており、この「なんやかんや」をコメディ要素を取り込みながら非常に上手く描写している。これはSF作品ではなし得ない描き方だ。
反面、四畳半タイムマシンブルースでは前者と後者の流れがごちゃ混ぜになっている。例を挙げると"私"が明石さんを五山送り火に誘うシーンだが、これは明らかに意図して辻褄を合わせにいっている。サマータイムマシン・ブルースの解釈を忠実に踏襲するなら「なんやかんやあって結果として五山送り火に誘った事実ができる」ようにすべきである。
四畳半タイムマシンブルースの内容を下げたい訳ではないが、サマータイムマシン・ブルースにおける解釈が正に「そうだよな!」と思うほど納得度の高いものであったため対比として紹介させてもらった。
『トップガン マーヴェリック』
説明不要の名作映画「トップガン」の続編映画。
実家に住んでいた頃、父親が好きで内心「飽きないんか?」と思うほどに観ていたトップガン。
ちゃんと観たことはなかったのでせっかくだしと思いサブスクでトップガンを観て、気が向いたらマーヴェリックも観に行こうと思っていたところで友人から「映画館で観ないなら観なくていい」と言われ、そこまで言うのならとIMAXで観に行った。
結果は大満足。トム・クルーズかっこよすぎるよ…
物語に対してよく「点と点が(線で)繋がる」といった表現をするがこの作品は「バカでかい点とバカでかい点が重なり合い、結果として繋がっている」ような感覚。ワンシーンワンシーンの満足度が抜群に高い。友人の一人が「何も考えず観られる映画」と言っていたのもここから来ている気がする。
元来映画に限らず漫画や小説でもストーリー性を重視するきらいがあるがそんなものは二の次となるほどに飲み込まれた。もちろんストーリーについても無印のトップガンと比較しても満足度は高く、と言うのも無印トップガンあってのマーヴェリックであるところが大きいだろう。どちらの作品も単体だけでは物足りなさを感じていたと思うが、無印トップガンのストーリーの上にマーヴェリックがあることでそれが払拭されている。マーヴェリック自体は2時間強であるが、2時間弱の無印トップガンを前提に作られているので鑑賞後には4時間分の情報量を得た感覚になった。
※以下ネタバレあり
ネタバレなしパートで書きたいことはほとんど書いてしまったため、印象に残っているシーンを一つ。
冒頭数分のところでマーヴェリックが最新型(?)の戦闘機に乗り込み、飛び立つ瞬間を仰ぐようなアングルで見るシーン。IMAXということもあり、映像から音までとにかく迫力があり、めちゃくちゃに鳥肌が立ったことを覚えている。いつまでも男の子だから単純に戦闘機かっこいい!ってなっちゃう。このシーンを観た瞬間に「あ、IMAXで観に来てよかった」と思った。
『THE FIRST SLAM DUNK』
全く予期していなかったタイミングで突然発表された(と記憶している)スラムダンクの劇場版。
単行本も持っていないので原作の大ファンだ!なんてとても言えないが、幼少からアニメを見ていたのでそれなりに思い入れのある作品。
特に下調べのようなことはしていなかったので鑑賞前の知識としては
・THE FIRST SLAM DUNKというタイトル
・3DCGアニメであること
・声優が変更されていること
・何やらかなり評判がいいらしいこと
程度しか知らず、どんな映画であるかは完全に観てから知ることとなった。
結果としては前評判通り、大満足の内容。声優変更や3DCGに対しての気持ち悪さもほとんどなく、逆に観たいシーンをしっかり見せてくれた。
長編作品が映画化する際に個人的に気になるポイントとして「説明」と「ファンサ(ファンサービス)」の2つがあり、それぞれの観点で書いてみようと思う。
まず「説明」について、長編作品の一部あるいはスピンオフを映画化する際にも付き纏う問題。(原作で明らかになっている)物語の前提から登場人物の人柄、関係性、過去などなど…観ている人に対してどこまでを説明するのか。説明しすぎるとテンポが悪くなり、説明が少なすぎると映画だけを観る人には内容が伝わりづらくなる。本作ではその塩梅が丁度よかった。
次に「ファンサ」について。ファンが多い作品を映画化(あるいはアニメ化、実写化においても)する際に付き纏う問題。ここでの「ファンサ」とは、その映像作品内に於いてファンを喜ばせる為に描かれた描写とする。例えば名シーン、名台詞、はたまた何故かSNS上で執拗に擦られているシーンなどなど…その作品(原作)を象徴する描写と言えば分かりやすいだろうか。ファンサについても入れすぎは良くない。何でもかんでも入れようとすればくどいし無理矢理感が出るし映画全体が薄味になるし何より制作側の"このシーンが観たいんだろ?"という思いが透けて見えて興醒めする。逆にファンサを入れ過ぎないことも良くなく、求めるものがないことに拍子抜けする。解散したバンドが復活したのにライブで新曲しかやらないみたいな。このファンサについても、本作では丁度いい塩梅で描かれていた。
※以下ネタバレあり
ネタバレなしパートで書いた通りに本作についてほとんど一切の情報を知らずに観に行った為、まず山王戦を描くことに驚き、テンションも上がった。そもそも映画化の発表を聞いた時点で「今更映像化するなら山王戦しかないよな、てかそれ以外ならやらなくていいよ」くらいに思っていたので期待通りで嬉しかった。本作に於ける究極のファンサだろう。
次に登場人物の役割にとして、主役:宮城リョータ、主人公:桜木花道の映画であると感じた。物語は宮城を中心に展開するが、その中で物語を大きく動かしているのは桜木花道の存在だった。その点についても(体としての)主人公宮城という、ある意味での挑戦を受け入れやすくなっていた。
最後に、説明とファンサの塩梅が丁度いい旨をネタバレなしパートで書いたが、そういった点から"原作をリスペクトし過ぎていない"と感じたが、脚本・監督を井上雄彦自身が務めていることで非常に納得した(観る前はそれすら知らなかった)。例えばスラムダンクの大ファンの脚本家・映画監督が山王戦を映像化してもこうはならなかっただろう。
後書き
11月頃から書き始めており2022年内には公開したかったが、中々筆が進まなかったのと年末にスラムダンクが食い込んでしまったせいで大幅に年を跨いでしまった。
読んでいて分かると思うが、約3ヶ月もかけてしまったせいで前半と後半で文体も文量も熱量もバラバラになってしまったが、書き直すのも面倒なのでご勘弁を。
元々は邦画ばかりを観ていたが(というのも歴史的・文化的背景や価値観、宗教観への理解が邦画の方がある点と字幕/吹替いずれにせよ違和感は拭えない点から)、後半から観たい邦画も少なくなってきたので洋画中心にシフトした。脚本にせよ魅せ方にせよ映画全体としての質が高いと感じるものが多く、映画好きがこぞって洋画派なことにも納得した。
紹介した作品や観た作品からある程度の好みは分かってもらえたと思うのでおすすめの作品や今回書いてないけど感想が読みたい作品、同じく好きだった作品やその感想などをコメントしてもらえたらとてもとても嬉しい。知り合いはお酒でも飲みながら映画の話とかしたい。
最後まで読んでくれた人、ありがとうございます〜〜。では
おまけ
最後におまけとしてエントリー作品の一覧を紹介します。
☆が上で紹介した作品、◯が紹介までには至らなかったけど面白かった作品、・はそれ以外の作品。もちろんそれらもつまらなかったというわけではないけど、参考までに。
(※観た順)
☆呪術廻戦0
☆アルキメデスの大戦
・グラスホッパー
・魔女見習いをさがして
・愛のむきだし
・愛がなんだ
・ある用務員
☆サマータイムマシン・ブルース
・シン・ゴジラ
・メランコリック
・Blank13
・今日も嫌がらせ弁当
・葵ちゃんはやらせてくれない
・テッド
・かもめ食堂
・監督失格
・淵に立つ
・性の劇薬
・三島由紀夫vs東大全共闘〜50年目の真実〜
◯パラサイト 半地下の家族
・長篇怪獣映画ウルトラマン
・実相寺昭雄監督作品ウルトラマン
・ウルトラマン怪獣大決戦
・重力ピエロ
・テルマエ・ロマエ
・テルマエ・ロマエⅡ
・プラットフォーム
・シン・ウルトラマン
・サバイバルファミリー
・エイプリルフールズ
・メメント
・望み
・ラヂオの時間
・HOMESICK
・窮鼠はチーズの夢を見る
・ハッピー・デス・デイ
・ハッピー・デス・デイ 2U
・永遠の0
・トップガン
◯浅草キッド
・グッドバイ 嘘からはじまる人生喜劇
・ハンコック
・ドラゴンボール超 ブロリー
◯ドラゴンボール超 スーパーヒーロー
・呪詛
・お米とおっぱい。
◯イエスタデイ
・ミッドサマー
・ONE PIECE FILM RED
◯劇場版ポケットモンスター ココ
☆トップガン マーヴェリック
・マリグナント 狂暴な悪夢
・劇場版ポケットモンスター ダイヤモンド&パール ディアルガVSパルキアVSダークライ
・七つの会議
・NOPE
・新聞記者
◯ゲット・アウト
・ムカデ人間
・ベイビーわるきゅーれ
・パラノーマル・アクティビティ
・雨を告げる漂流団地
・マイ・インターン
・パラノーマル・アクティビティ2
・ヒメアノ〜ル
・四畳半タイムマシンブルース
・パラノーマル・アクティビティ3
・ザ・マジックアワー
・パラノーマル・アクティビティ4
・嘘喰い
・ベンジャミン・バトン 数奇な人生
・ハケンアニメ!
・土竜の唄 潜入捜査官REIJI
・インセプション
・アイ・アム・レジェンド
◯最強のふたり
・スラムドッグ$ミリオネア
◯空白
☆THE FIRST SLAM DUNK
・マー サイコパスの狂気の地下室
・罪の声