【放課後お寿司クラブ】UXデザイナーが「新時代の寿司体験」を妄想してみたら vol.2
こんにちは、お久しぶりです。
GoodpatchのUXデザイナー、放課後お寿司クラブ所属の山根です。
皆さんが最近お寿司を食べたのはいつですか?
私は、数日前に北海道で回転寿司屋にお伺いし「もう他ではお寿司食べられん身体になってしまったわ...」と漏らしつつ、すでに都内で寿司を食べる日程調整の最中だったりします。
さて、この記事はGoodpatchの寿司フリークス、山根と高階が4日間にわたり毎夜毎夜集まって、新時代(?)の寿司体験を考えてみた活動記録の後半戦です。今宵もゆるりとお楽しみいただければ幸いです!
前回の記事
前回のあらすじ
DAY0_まずはお寿司を食べながらの決起集会
→プロセスの方針決定(=まずは一旦発散してみよう!)
DAY1_寿司をテイクアウトして無邪気にお寿司アイディエーション
→リサーチ領域の選定(=この辺りのアイデアを詰めてみよう!)
DAY2_寿司を片手にテーマに沿った他業界の事例調査
→魅力創出モデルの発見(=こんな型で考えたらいいんじゃない?)
と、ここまで3日間(の放課後)。
今回の記事(DAY3, DAY4)では、寿司のルーツや業界動向をリサーチしつつアイデアをふくらまし、大急ぎでコンセプトと提案資料の骨子をまとめていく様子をお伝えします!
DAY3_そろそろ寿司について調べよう
さて、他業界の事例調査もやったことだし「そろそろ寿司に戻ってきましょうよ」ということでDAY3がスタート。
事例調査などのインプットをもって「新しいアイデアを追加で出そうか!」という道もあるのですが、僕たちは「いや、もっと寿司について調べた上でアイデアを出したいね」と考えていました。
例えば、こんな観点。
寿司の由来(Day3で実施)
寿司業界について(Day4で実施)
現在の寿司業界について調べる必要があるのはもちろんのこと、DAY1で「寿司のバイアスとは?」と話している際に、寿司の由来、つまり起源や歴史についても調べたいねと話していたのです。なにが寿司を寿司たらしめているのか。それを知った上でその特徴を守るのか、あえてそこをズラすのか。とにもかくにもその核となる部分に少しでも触れたかったわけです。
そこで、寿司の由来について、2つの方向から調べてみることにしました。
寿司の歴史について(寿司の発祥など)
いわゆる”握り寿司”とは違う流派について(江戸前寿司など)
まずは、寿司の歴史について調べていきます。
意外にも、江戸では労働者のお昼ご飯として屋台で提供されていたことや、元は保存食であったことなど、新たな発見がありました。
そして、別の観点として、江戸前寿司や押し寿司のような、いわゆる”握り寿司”とは違う流派についても調べてみました。
なんと、別起源だと思われた江戸寿司や鯖寿司なども、元を辿れば全て保存食の熟鮓(なれずし)に通じていたのです。むしろその途中で進化を止めて生き残っている、いわば寿司業界のシーラカンスと言えなくもない存在だということが分かってきました。
さて、ひと段落調べたところで、僕たちの大好きなアイディエーションタイムに移っていきます。
DAY1、DAY2で話したような魅力創出モデルを思い出しながら、真剣に雑談していきました。
「ブランド」や「ストーリー」をKEEPして、他の「ターゲット」や「業態」に展開していくもの
「仕組み」をKEEPして、他の「業界」や「業態」に活かしていくもの
「ハレの日の食べ物っていうイメージから、日常食へと広げていく方向性もあるけど、逆にコアを突き詰めて貴重なものとしてブランディングする方向性だってあるかもしれないっすね。えーと、、スタバのリザーブみたいな感じに。」(山根)
そう、これのお寿司版があると面白いよね〜なんて話しながら、これを「コア凝縮型店舗」なんて呼んでみたりしました。まだよくわからないけど行ってみたい。
そして真剣な雑談は続いていく。
「例えば寿司のルーツである屋台で提供する方向性だってあるかも…いかにもハレの日っていう祭りみたいな要素を詰め込んだ店舗とか作ってさ...」(高階)
「あれ、これって...うわぁそういうことかぁぁ」(山根)
そう、図らずも僕たちは見つけてしまったのです。寿司、屋台、祭りの雰囲気...佐藤加士和さん監修のくら寿司のブランディングの事例を。やりよる..。
これは被ってしまったな…と少しだけ意気消沈していたのですが、
「子どもの頃、家の中で縁日ごっこをしたことがあってね」(高階)
という幼少期の「お家deお祭りエピソード」から、ハレの食事を凝縮させた「家庭内縁日」みたいなテイクアウト商品があってもいいかもねという話につながりました。寿司だけじゃなく、お祭りができるようなセットとか良いよね〜なんて話したり。逆転ホームランを打った気になる僕たち。
その他にも、保存食というルーツに返って「保存寿司」ってありかもしんない...!缶詰に入れてさ…!なんていう、突飛ながらもどこか説得力のあるアイデアがぽつぽつと顔を出してきました。
そんなこんなであっという間にタイムアップ。ネタ側のリサーチは明日にしますか!とDAY3が終了。
DAY4①_業界動向についても少しだけ調査しよう
さて、いよいよ最終日です!
Day3でお寿司の歴史を調べていい感じに仕上がってきました。
最終日はこれまでの活動を踏まえて、提案する施策やコンセプトをまとめよう!と意気込んでいるのですが、その前に少しだけ、もう一つのリサーチにも取り掛かりました。
それが爆速寿司業界リサーチです。
このリサーチは「新しいアイデアを考えよう!」というよりも「外さない提案にするために、傾向と対策を把握しておこう!」という位置付け。最低限の土台がないと良いアイデアかどうかなんて判断できないし、そもそも寿司業界に失礼ですからね…。
やったことは、ひたすらに「業界関係の記事を収集」「各社のIR情報を収集」「その他、Google検索で出てきたものをざーーっと収集」てな感じです!
さて、寿司業界は、各社さんはどんな取り組みをしているのか?わかったことを少しだけ紹介します!
やはり海外展開は加速
お寿司人気はグローバルだし、日本は人口も減っていきますしね。ちなみに高階には「海外旅行先であえて寿司を食べる」という趣味があります。だいたいどの国に行ってもサーモンは美味しいことが多いです!勝手にワインとペアリング。アフターコロナ対応
やはり各社かなり衛生面への対策を進めていますよね。行きつけのはま寿司は全てタッチパネルで注文する方式。従来から導入されていたスシカバーに改めて着目して安心をアピールするくら寿司などなど。ほんと企業努力には頭が下がります…。
物販!家でもお寿司屋さん自慢の食べ物や飲み物を
そうなんです、店内で出しているレトルトカレーを売ったり、卓上の醤油を売ったり…「寿司屋の◯◯」ってそれ自体が特徴的なのかも…?「テイクアウト」「デリバリー」の可能性は大きいぞ…なんて話してました。先ほど考えていた「家庭内縁日」「保存寿司」というアイデアにもつながりそうだね〜なんて盛り上がりました。
これまでとは違う店舗や、これまでとは違う場所への出店とか
先程挙げた佐藤加士和さん監修のくら寿司の店舗もそうですし、店舗自体を面白くする取り組みは見受けられました。また、エリアという意味では、あえての都心部への出店加速という動きもあるそうです。都心部ってことは、それこそスタバのリザーブのような「コア凝縮型店舗」のような尖らせ方もやれそうよね…なんて都合よくこじつけてキャッキャ盛り上がりました。
…そんなこんなで業界動向を見てきました。ざっくり気づきをまとめるとこんな感じ。
僕らが思っている方向性は、各社が考えている方向性と近しいものもある
だけれど、単発の新商品でなくて、体験そのものを生み出すことに挑戦したいよね
Gpがブランドやストーリー創りから入れると、面白い取り組みができるかもね
そうなんです、確かに僕たちが思い付いたようなアイデアは方向性としてはあるのかもしれない。けれどそこは体験設計家。僕たちなら、もっと面白くて新時代な寿司体験とやらを、ブランドから一貫した形で考えて提供できるかもしれないね〜なんて話しました。
DAY4②_提案する施策とコンセプトをまとめよう
何はともあれ!
提案書には「コンセプト」と「ワクワク施策アイデア」を入れたいよね、じゃあこれまで考えてきたアイデアの中で、このあたりはどうだろうか!!ということで3つに絞ってまとめてみました。
それではどうぞ!
コンセプト:ハレの瞬間(トキ)を、賑る
アイデア1:コア凝縮型店舗
一般的な店舗では用意しづらい希少なネタや手間のかかる寿司をご用意。また、ハレの気分をより味わってもらうために、こだわりの空間で、選りすぐりスタッフがお迎えします。
このお店でお寿司をもっと好きになって、一般店舗に通う回数も増えていくことを狙います。
アイデア2:家庭内縁日
これまでの宅配寿司とは一線を画す、縁日セット。
新鮮なネタと絶妙な握り具合のシャリ玉に加え、お祭り仕様のお皿やメニュー、大将の帽子などの備品がセットになりました。
ファミリーでお子さんに握ってもらうもよし、友達同士で盛り上がるもよし。「次はどのネタで握ってみよう?」タコパにも似た創造性をくすぐる縁日が、あなたの家に届きます。
アイデア3:非常寿司
缶詰に入った、美味しいお寿司。
長期保存のできる、美味しいお寿司。
それが例え被災している大変な状況だとしても、せめて「何かを食べる」その瞬間だけは、辛いことから離れられないだろうか。せめて、その瞬間だけは、寿司のもつ「ハレ」の力で…という想いで作り上げたいのが「非常寿司」です。
…なかなか気に入っているのですが、いかがでしょうか!
いろんなアイデアを考えたからこそ、そして寿司のルーツを掘りまくったからこその、絞りに絞って(爆速で)研ぎ澄ませた3案になってるかと思うのですが…!
まとめの章
ここまでご拝読ありがとうございました!
放課後お寿司クラブ4日間の活動記録、後半のプロセスとアウトプットでした。
最後にここまでのおさらいと、今後の抱負を述べてこの記事を閉じたいと思います。
<前回記事分>
DAY0_まずはお寿司を食べながらの決起集会
→プロセスの方針決定(=まずは一旦発散してみよう!)
DAY1_寿司をテイクアウトして無邪気にお寿司アイディエーション
→リサーチ領域の選定(=この辺りのアイデアを詰めてみよう!)
DAY2_寿司を片手にテーマに沿った他業界の事例調査
→魅力創出モデルの発見(=こんな型で考えたらいいんじゃない?)
<今回記事分>
DAY3_寿司のルーツ調査
→寿司のコアの再発見(="寿司らしさ"ってこう展開できそう?)
DAY4_提案する施策とコンセプトの検討
→4日間の集大成!
後半の2日間はリサーチを元に地盤を固めつつ、DAY1,2で見つけた魅力創出モデルを活用して思考を自由に泳がせ、最後は資料の中に誘い込みました。
気づき
DAY1~4を通して、我々が次の機会にも取り入れたいなと思ったことは3つ。
発散の機会を持つ
業界知識の浅い我々が、提案においてクライアントの心を動かせる可能性があるとするならば、そこにはきっと驚きと説得力が必要だと思うのです。その「驚き」を担保するのは、泥のようなアイディエーションで思考の幅を広げることだなと今回改めて気付かされました。
もちろん、発散ってやっぱり楽しいよね!というのももう一つの本音です。ルーツのリサーチ
「驚き」の担保が発散祭りなら、「説得力」の担保は起源の調査だと思うんです。もちろんこれはひとつの手段でしかありませんが、寿司のルーツを知ることで、そのコアとなる部分、あるいは「寿司らしさ」を形成しているストーリーを知ることができたと思っています。そこを簡易的にでも掴んでおくと、その先でアイデアを飛躍させたとしても、きちんと文脈のあるアウトプットに戻ってくることができる気がしています。いつも寿司を片手に議論する
今回の4日間、我々の議論はいつも寿司を片手にスタートしていました。寿司をネタに会話がはずみ、勢いそのままに程よくお腹を満たしながら議論は進んでいきます。No SUSHI No Meeting.。そういうことです。
今後の抱負
結果としては、ひとつのコンセプトと3つのアイデアに落とし込まれましたが、あくまでこれは発足から4日間の活動記録に過ぎません。
ここまではアイデアドリブンでクイックに進めてまいりましたが、これを机上の空論で終わらせてしまいたくはない、ユーザー目線で検証してみたい!というのが今の率直な気持ちだったりします。
直近では、「家庭内縁日」なるものを他の社員も巻き込んでやってみようかな、「保存寿司」も有り合わせのもので実際に形にしてみましょうよ!という話になっています。
寿司フリークスの我々が、ユーザーとして体験してみて、筋の良し悪しやブラッシュアップできそうなところを見つけられるといいよねと。
そしてあわよくば最終的にはお寿司屋さんに提案しに行ってみたいよね!と。
そんな妄想を頬張りながら、今後も「放課後お寿司クラブ」の活動は続いていきます。
またお会いしましょう!