
「男女逆だったら問題」を再考する
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映画「殺意の道程」(脚本・出演 バカリズム)
以前にここで紹介したテレビドラマ「やれかも委員会」で、白石麻衣扮する委員・月綾子が発した名セリフを再考してみたい。「男女の立場を逆にしてみるとわかるんですが、女性なら許されることが男性だと許されない──」というあれだ。
あのセリフは、あくまでも男と女の性的関係性における指摘だが、私は結構広くあまねく適用し得る定説なのではないかと思っている。こんなことを書くと、またジェンダー平等に煩いお歴々に叱られるかもしれない。しかし、考えてみて欲しい。たとえば、まさにあのセリフの男と女を入れ替えて、
「男なら許されることが女だと許されないことがある! いや、あってしかるべきだ‼」
などと男の私が言うのは、たしかに今の世の中問題だろう。だが元に戻して、「女なら許されることが男だと許されない」ことは、現代でも歴然として存在している──そう思わないだろうか。
早い話がこの「殺意の道程」である。自殺した父の仇討ちのために極くフツーの男が従弟と一緒に殺人を企てるというサスペンス仕立てだが、従弟役として出演もしているバカリズムの脚本だから、テレビドラマ「ブラッシュアップライフ」や「侵入者たちの晩餐」、あるいは現在日本テレビ系で放映中の「ホットスポット」、または映画「架空OL日記」などと同じ系譜である(どれも大好きだ!)。共通するのは、どうでも良いような内容の会話劇である。
しかし、「ブラッシュアップ…」や「ホットスポット」などが面白いのは、どうでも良い会話を女子が交わしているからだ。女子がファミレスなんかで延々としゃべるどうでも良い内容の会話──話題があちこちに飛んだり、ループして何度も繰り返したり……。
あれが許されるのは、いやむしろ観ていて楽しい、面白いと思えるのは、あくまでも女子だからだ。
いくらジェンダー平等だと言っても、いい歳の男同士がやってはいけない。いや、もちろんやっても良いのだけれど、人に見せるものではない(…ように思う)。
その結果が、このようにただひたすらくだらなく、退屈な映画になるのである。いや、くだらないのはコメディだから仕方ないにしても、そのくだらなさが退屈なのだ(あくまでも個人の感想です。ピース)。
やはり、「女なら許されることが男だと許されないこと」はあると思う。
画像引用元 UPLINK吉祥寺