ヘンな顔の俳優スティーヴ・ブシェミはかく語りき
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映画「ファーゴ」(主演 フランシス・マクドーマンド)
チッ、なんだよ。クサるよなぁ。ひとのこと、ヘンな顔、ヘンな顔って。いったい、この映画で何回言えば気が済むのさ。俺はこのあと「アルマゲドン」にも出たりして、「90年代に最も仕事をした俳優」ランキングの第4位にもなったんだぜ。それによォ、ヘンな顔っていうなら、主役級のジェリー・ランディガードを演ったウィリアム・H・メイシーだって十分ヘンだろうよ。
てか、この映画を作ったコーエン兄弟こそがヘンというか、変わっているよな。だって、映画の初っ端で「THIS IS A TRUE STORY(これは実話である)」というテロップを流すから、
「そうか、これは実際にあった話なんだ」
って、思うじゃねえか。思うだろ?
よくあるのは、「これは実話に基づく話である」ってフレーズで、あれなら実話を基にしたフィクション、つまりなんだかんだ言ったって創作だって分かるよな。
でも、これはそうじゃねえ。「実話である!」って断言しちゃっているのさ。俺じゃなくたって、そうか実話かあ、って思うよな? 思うだろ?
ところが、ホントのところはまったくのフィクションだっていうのさ。びっくりだぜ。だってよォ、ストーリーとしては、ジェリーが企てた狂言誘拐に俺が一枚噛むんだけど、それが予定通りに進まなくてさ、二転三転するうちに関わった人間がどんどん死んでいく──ってものなのさ。でも、どっちかってェとそれらは想定の範囲内で
「まあ、そうなりまさぁねえ…」
って感じだな。最近の映画に比べるとちと物足りなくもあるのさ。
だけど、それが逆にリアルなんだよな。あれが、よくある大どんでん返しなんかが用意されたりしていたら、やっぱり創作かよ、って思っちゃう。
コーエン兄弟のことだから、そうした中に色んなメッセージが隠されているのだろうけど、俺にはよくわからなかったな。
えっ、俺? 俺がどうなったかって? それは観てのお楽しみってことにしておこうぜ。
画像引用元 smart-school