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真実の愛を求めて僕たちは彷徨う

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映画「シーサイドモーテル」(主演 生田斗真 麻生久美子)


舞台は、山の中にありながら「シーサイドモーテル」と掲げるラブホの4つの部屋だ。そのそれぞれの部屋で繰り広げられる、それぞれの騙し騙される人間模様。

それらが各々の部屋を飛び越えてビミョーに、ときに大きく絡み合う。だが、彼らが求めているのは、どこかにあるはずの真実の愛なのだ。この嘘と見栄と欲望で塗り固められたそれぞれの部屋は、我々の住む現実世界のメタファーでもある。

そして、その核心は201号室のコールガールのキャンディ(麻生久美子)と詐欺師まがいのセールスマン亀田(生田斗真)のやりとりにある。キャンディが仕掛ける疑似恋愛に亀田はもちろん、演じているはずのキャンディも嵌ってしまう。

壁に掛けられた南海の浜辺の写真を見ながらキャンディは言う。

「この汚い部屋で束の間の嘘だらけの愛を交わした男と女が、あの島で真実の愛を見つけるの」

こんなことがあっても良いと思わせてしまうところに、この映画の良さがある。

「嘘から出たまこと」という言葉がある通り、嘘もつき続けていると当人も真実と混同することもあるだろうし、やがてそれが真実になることもあるだろう。だが、現実世界の真実は実にもろく、零れ落ちやすい。ラストはそれを象徴している。

くだらないコメディではあるが、しょうもなくはない。それは、出演者が豪華であるばかりでなく多彩で、それぞれの演技力が素晴らしいからだ。主演の生田と麻生(カワイイ!)もさることながら、玉山鉄二、古田新太、温水洋一……と上げ出したらキリがない。なかでも私は、山田孝之の演技が白眉であると見た。(久しぶりにまともに映画評らしきものを書いた気がする。)

画像引用元 映画.com

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