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愛は究極の承認欲求だ

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映画「愛がなんだ」 (主演 岸井ゆきの)


映画の中で、岸井ゆきのが演じるテルちゃんは、

「男女の交際もある程度の齢になれば、好きです、付き合ってください、などと言って始めることはなく、ダラダラと一緒にいる時間が増える中でなんとなく始まっていたというケースがほとんどではないだろうか?」

みたいなことを言う。その通りだと思う。

だがそれだけに、相手が自分のことをどう思っているのか、本当のところは分からない。友達止まりなのか、性欲を満たしたりするだけの都合のいい相手と見られているのか、いやいやちゃんと恋心を抱いてくれているのか、それ以上に将来を見据えた唯一無二の存在と思われているのか──結局分からないのだ。

本作には男女関係で色んな立場にいる人物が出てくるが、彼らのやっていることに大差はない。いずれも「マズローの欲求段階説」で説明できるような気がした。

付き合っている体(てい)を取ることで最も低位である「生理的欲求」の性欲を満たし、下から二番目の「安全欲求」──現代では主に心の安寧だろうか──も確保することができる。また、そうした相手がいるというだけで社会的な治まりも良いから(ましてや結婚できれば確かな社会属性も得られるから、それを意識するだけで)第三の欲求──「社会欲求」も満たすことができる。

しかも相手から好かれ、恋人として認められれば四番目の「承認欲求」も充足される。しかし、これがなかなか得られない。前述の通り、何となくで始まる大人の男女交際では分からないからだ。突き詰めれば恋愛の目的は、その承認欲求にあると言っても過言ではないのに……。

もちろん、そこにモヤモヤしていては自己承認することもできなから、最上位の「自己実現」など達成されるわけがない。

愛がなんだ──? 愛は承認欲求だ。

画像引用元 CINRA

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