実力なき(?)株価の高騰に想う
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映画「ウルフ・オブ・ウォールストリート」(監督 マーティン・スコセッシ)
このところ、日本株が続伸していて、過日の日経平均はバブル期以来の高値を更新したらしい。久しぶりに株価チャートを確認すると、たしかに本稿執筆時点(23年5月下旬)の日経平均はいつのまにか3万円を大きく超えている。
世界的な投資家ウォーレン・バフェット氏が日本の商社株を買っていることが引鉄になっているとの説もあるようだが、不思議だ──。収益構造の悪さを指摘されて久しい日本企業が、ここに来てそれが改善されたといった話は聞かない。この道はいつか来た道。あの頃の臭いがする。
あの頃――。毎晩10時、11時まで働いて、それから渋谷や六本木に繰り出し、深夜2時、3時まで遊んでタクシーで帰る――なんてことを繰り返していた。
新聞を読みながら、そんなことを思い出していたら、この映画がふと頭に浮かんだ。
どんなにカネがあっても、人がやる事などたかが知れている。とどのつまり飯食ってセックスして、あとは寝るだけ――。要は人間の三大本能を満たすに過ぎない。たしかにカネがあれば、この主人公ジョーダンのように、多少豪華な食事をしたり、見栄えの好い女性を抱いたりできるのかもしれない。あるいは豪邸に住んだり、カッコ良いクルマに乗ったりとかも――。
そういう物欲は直ぐに飽きるはずだが、だからこそ新しい刺激を求めて止まなくなる。カネさえあれば、それを満たし続けてくれるからだ。バブルを経験した私のような世代なら分かるだろう。
しかし、いい加減に気付かなければいけない。それではカネを使っているのではなく、カネに使われているのだと。
さて、実力なき(?)株価の高騰はいつまで続くやら。
画像引用元 VOGUE JAPAN