何が正義か?
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映画「ゴーン・ベイビー・ゴーン」(監督 ベン・アフレック)
米東部の治安の悪そうな街で4歳の少女アマンダが失踪した。母親のヘリーンはクスリや酒にはまっていて、ほとんど育児放棄の状態だったようだ。
誘拐を視野に警察も捜査を進めるが、見かねた叔母が私立探偵のパトリックとアンジーの二人に協力を依頼する。二人(特にアンジー)は気が進まないながらもそれを引き受ける。
捜査が進む中で、ヘリーンがクスリの売上をネコババして組織から狙われていることが分かったり、マークしていた小児性愛者の別の事件が発覚したりする。しかし、アマンダの行方は杳として知れないのだった──。
映画「アルマゲドン」や同「パール・ハーバー」等に出演した俳優ベン・アフレックの第1回監督作品である。本作主演のケイシー・アフレックはベンの実弟。
正義の定義は人それぞれ異なる。だとしても、何が正義か、正義とは何なのかを改めて考えさせられる映画だ。
一介の探偵に過ぎない──警察権のないパトリックが小児性愛の男を撃ち殺したときに、まずそれを考えさせられた。いくら万死に値する行為を男がしていたとしてもだ。
だが、それで終わることなくラストではもっと難しい選択をパトリックとアンジーは迫られる。
ネタバレになるが、アマンダは元気な姿で見つかる。彼女のそこでの幸せそうな笑顔に二人は、そして観ている我々も、ヘリーン──不出来ながらも実の母親であることには違いない──の元に返すべきか、誘拐などなかったことにして、あたかも最初からアマンダはそこにいたことにすべきかを悩むのだ。
二人は異なる選択を主張し合う。パトリックは前者を、アンジーは後者を……。私ならアンジーの意見に賛同しただろう。ヘリーンが改心してアマンダの良き母になる可能性は限りになく小さい。一方の誘拐犯は法を犯したとはいえ愛がある。
だが、どちらを選択してもその後の人生では後悔するのだろう。どのみち正解はないのだ。
パトリックとアンジーは、その選択がもとで別れたようだ。
画像引用元 映画.com