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キチジローはペタンと踏んだ
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映画「沈黙」(監督 マーティン・スコセッシ)
イエズス会の宣教師ロドリゴは来日した当初、日本人の信仰が形あるものにこだわりすぎると気にしていました。形式にこだわるというのは、いかにも日本人的です。だから、踏み絵という形にも抵抗したのでしょう。
現代に生きる私なら、「単なる絵だ」として踏むことを厭わないでしょう。いや、現代人の中でも私が殊更不信心であって──何せ私は亡くなった妻の墓参りですら、秋川雅史の曲「千の風になって」の「そこに私はいません。眠ってなんかいません」という歌詞に我が意を得たりとして、もう何年も行っていない不届き者なのです──、多くの人は今も踏めないのかもしれませんね。
ましてや、キリストの絵を踏まないことが唯一の信仰の証と信じ込んでいた当時の人たちには難しかったのだと思います。形式にこだわる日本人を気にしたロドリゴやフェレイラ等外国人神父ですら葛藤があったのですから。
しかし、そうした中で窪塚洋介演じるキチジローのみがペタンと踏みました。まさに、ペタンと──。彼だけが信仰の本質をわかっていたように思うのです。いや、ひょっとしたら、ユヴァル・ノア・ハラリが「サピエンス全史」で喝破した「所詮は人間が作った虚構」であることすら、見抜いていたのかもしれません。
画像引用元 映画.com