染めトリオ
「カジュアルシャツ」のお話し。
今回は、こちらをご紹介します。
SUNNY SPORTS / サニースポーツ
こだわりの逸品
「ワークシャツ」
職人が旧式のシャトル織機で丹念に織り上げたシャンブレー生地
シャトル織機?
鶴の恩返しでギッコンバッタン織っているあの織機の機械バージョンです。
旧式は、優し~い力で織り上げるので、糸の個性が活きた生地ができます。
「味のある生地」「風合いある生地」です。
生産効率がすこぶる悪いので、一般的には使用されません。
昔々、じいちゃんが養蚕農家でした。
それこそ、鶴の恩返しのあの織機がありました。
「こんなんで糸が布になるのか?」と思った記憶があります。
余談でした。
ミリタリーやワーク系でおなじみのシャンブレー生地。
白い糸と色糸で平織りしているので、白い点々が見えるイメージです。
薄くても丈夫で、ガツガツ洗濯できるタフな生地です。
全ての糸はオーガニックコットン
オーガニックって、特別な感じがしません?
オーガニックコットンとオーガニックじゃないコットン、
機能や特徴に大きな違いはないようです。
大きな違いは、背景です。
自然環境や人権などなど、難しいので書けません。
自然相手のお仕事なので、オーガニックコットン農家さんもオーガニックじゃないコットン農家さんもどちらもスゴイんですけどね。
天然染料「藍」「墨」「柿渋」
藍染め(あいぞめ)は有名ですね。
日本の伝統染色。
あの美しい「青」です。
墨染め(すみぞめ)、知ってます?
こちらも日本の伝統染色です。
そのままですが、墨で染めます。
水墨画の世界を表現する、日本古来の染色方法です。
「灰」の世界が優美です。
柿渋染め(かきしぶぞめ)も有名ですね。
1000年以上の歴史を誇る、日本の伝統染色です。
まさに柿オレンジ系の茶色です。
職人時代、柿渋染色液を社長にもらったことがあります。
庭の柿から手作りしたそうです。
発酵と熟成を経て、2年程かけて作るらしいです。
もらった染色液は、杉板の塗装に使いました。
20年以上経ち、カッコイイ色に育っています。
ホコリだらけで大切に放置してあります。
天然染料は、経年変化が楽しい。
なので、短いスパンで買い替えるのなら、もったいないです。
10年、20年、30年、どんどん美しくなります。
じっくり育ててください。
美しいだけでなく、
防虫効果や防カビ効果など、さまざまなありがたい効果もあります。
ちなみに、
柔軟剤は使用しないでください。
綿には、優れた吸水性や通気性があります。
「夏は涼しく、冬は暖かい」
年中無休の万能素材です。
繊維が強いので、耐久性も優れています。
何十年も愛用しているデニムとか、ありません?
天然染料には、さまざまな恩恵があります。
防虫や防カビ、防臭、経年変化・・・。
柔軟剤は繊維をコーティングしてしまうため、この優れた機能や恩恵が低下してしまいます。
極端にざっくり言ってしまうと、こんな感じです。
ちょっと汗かいただけなのにベタベタで、ムレムレ。
こんなトコに、穴が開いてる!!
まったく色に深みが出ない。
大丈夫です。
柔軟剤を使用しなくても、着ているだけで柔らかくなりますから。
それが、天然素材「綿」です。
ニオイをつけなくてもステキですよ。
それが、天然染料です。
蛍光増白剤(蛍光剤)入りの洗剤もダメです。
ざっくりのご説明だと、
「白」に染める染料入りの洗剤です。
染職人さんが手間をかけてせっかく天然染料で染めたのに、「白」に染めてしまうのです。
風合いも深みもダメにしてしまいます。
洗剤のパッケージに必ず記載があります。
「蛍光増白剤(蛍光剤) 不使用」の洗剤で
柔軟剤を使用せず
洗濯してください。
シャツのボタンを閉め、裏返し、襟を立て、洗濯ネットに入れる。
シャツのボタンを閉めるのは、型崩れを防ぐため。
裏返すのは、肌に直接あたる側を洗うため。
襟を立てるのは、襟汚れが落ちやすいから。
洗濯ネットに入れるのは、生地を保護しながら洗うため。
ご面倒をおかけしますが、よろしくお願いします。
それなのに!!
シャツの襟汚れ、気になりまね。
主な汚れの原因は、自分の首の汚れとボディクリーム、整髪料です。
基本的には油性の汚れなので、ぬるま湯での洗濯が効果的です。
油は水では落ちませんからね。
熱いお湯では生地が傷むので、体温くらいの35度か36度が理想です。
でもこちら、天然染料なので、32度くらいにしましょう。
(給湯器の設定がなければ、30度とか)
「イヤ、洗濯機に水の水栓しかないけどね。」
って、なりますよね。
(お湯も出る仕様の地域もあるみたいですね)
私は気合で「ひとりバケツリレー」しています。
洗面台の蛇口から35度のお湯を出し、バケツで洗濯機に入れています。
8回くらいで45L程度の水量になります。
「めんどくさい」
ですよね・・・。
洗濯前にバケツに32度のお湯を入れて、そこに洗濯ネットに入れたシャツを10分(できれば20分)入れておくだけでも違います。
縦型の洗濯機なら、
バケツの水ごと洗濯機へ入れ、あとはいつもの洗濯を。
ドラム式だと、シャツの水気を軽く絞って、洗濯機へGoです。
毎回は面倒なので、せめてシーズン終わりの洗濯時には「ぬるま湯洗濯」をしてみてください。
お次は、縫製。
各所で糸番手、ミシンピッチを変えています。
サイドやアームホールは
太番手20番、ミシンピッチ10針の3本ステッチ
サイドは脇下です。
アームホールは袖の付け根、胴体と袖の合体部です。
太番手20番は、糸の太さです。
よくボタン付けで使われる糸の太さです。
ジーパンなどは30番手で縫われていることが多いので、それよりも太い糸です。
糸は太くなるほど糸調子(上糸と下糸のバランス)を合わせるのが難しくなります。
洋裁初心者は使いたくない糸番手です。
ミシンピッチ10針は、3cm間に縫い目が10個あるということ。
生地の厚みにもよりますが、11~13針が標準です。
針数が多くなるとエレガント、少なくなるとカジュアルのイメージです。
3本ステッチ
3本の針と5本の糸を使って、縫っています。
独特の縫い縮みができます。
デニムの基本的な縫い方なので、お持ちの方は見てみてください。
このミシン、針と糸がとんでもない動きをするので、見ていると頭が混乱します。
私はまっすぐ縫えません。
このような糸の太さ、縫い目の間隔、縫い方で、カジュアルなラフ感を表現しています。
ポケットや襟は
細番手60番、ミシンピッチ18針
細番手60番は、一般的なミシン糸の太さです。
突出して厚い生地や薄い生地でなければ、60番で縫っています。
とりあえず、60番!の定番です。
ドレスシャツ(かっちりとしたフォーマルなシャツ)は、20針程度です。
ドレスシャツとは生地の厚みが違うので、この生地で20針だと糸が切れてしまうのかもしれません。
ドレスシャツ寄りの18針とは、恐れ入ります。
顔に一番近い「襟」にドレス仕立てをすることで、カジュアルなシャツなのに、どこか上品な印象にしています。
とっつきやすいのに、お上品なやつ
そんな「逸品シャツ」です。
デザインは、画像で見るのが一番わかりやすいと思います。
30年代、40年代のヴィンテージワークシャツがイメージです。
右胸ポケットは、ペンホルダー付きのパッチポケット
左胸ポケットは、フラシスタイル(ポケットの下、両端しか縫い付けてありません)シガレットポケット
体から出る湿気で、タバコが湿気ないようにポケットが浮いています。
当時のサイズ感なので、現代のタバコはおそらく入りません。
襟元はドレッシーです。
表にボタンが出ない仕様のボタンダウンです。
通常のボタンダウンだとカジュアルな印象になります。
隠すことにより、ドレッシーな印象ながらも襟をキレイに立てることができます。
襟が広がらずに立っている状態を保つことで、よりエレガントなお顔に印象付けます。
トレンチコートなどによくあるチンストラップもあります。
ヴィンテージワークシャツの特徴でもあります。
ボタンを開けていても、良いアクセントになります。
ストーンウォッシュして、表面をマットにし、ヴィンテージ感を出したリアルナットボタン。
ナットボタンは、水牛ボタンに次ぐ高級ボタン。
ヤシの実の種のボタンです。
白のナットボタンは象牙に似ているので、特に人気です。
こんな高級ボタンをストーンウォッシュしてしまうとは・・・。
碁石のような円盤型で、トゥルンとボタンホールに吸い込まれます。
ボタンを留めるのも、外すのも、ノンストレスです。
襟元やボタンの画像は、商品ページに掲載しています。
興味本位で見に来てください。
控えめにご説明して、こんなシャツです。
素材の栽培からシャツにする工程まで、とんでもない時間を費やしています。
上質な素材を高い縫製技術で仕立てています。
最初は「あれ?ごわつく」となるでしょう。
でも、何度も着用していくうちに自分の体になじみます。
大切に、丁寧に、育てるシャツです。
こだわりの逸品
「染めトリオ」
手に入れたくなりません?
ライター気分でご機嫌に記事を書いていたところ
「藍染め」の長袖が完売しました。
半袖はまだあります。
紹介しているアイテムは、タイミングにより完売になっている場合があります。
「悩み損」は悔しいので、在庫確認後に悩んでください。
染めトリオ「藍染め」
染めトリオ「墨染め」
染めトリオ「柿渋染め」
同デザイン、素材違いのご親戚
戯言 Jagoo