戦後45年のトピックカラー
ナチュラルカラーとアースカラー
行き過ぎた工業化社会の歪みともいうべき公害が社会問題になりはじめたのが、高度経済成長も末期にさしかかろうとしていた60年代の終わりである。そして高度経済成長にとどめをさしたのが73年のオイルショックである。
生活者意識も、それまでの使い捨て志向から一転して、質素、実用性志向が強くなってくる。そして反工業、反文明意識を背景に自然志向、生活様式の隅々に顕著にみられるようになってくる。
スポーツ、ヘルシーが生活者の関心事となり、健康機器や自然食品がブームとなる。
こうした背景をうけて、70年代の色彩志向は一言で言えば自然色=ナチュラルカラー志向の10年間と総括できそうだ。
ナチュラルカラーと呼ばれる代表的な色域は、未ざらしの天然繊維にみられるような黄みの白、すなわちオフホワイトやアイボリー、生成りなどと呼ばれる色からベージュにかけてが主流となる。
こうした淡い系統のナチュラルカラーに対して、もう少し濃い系統のブラウン系を中心とした色域の色は、大地の色アースカラーと呼ばれる。そしてカーキやオリーブ系もアースカラーのバリエーションとも言える。
70年代は、原色調に比べれば、色みの抑えられた、これらのナチュラルカラー、アースカラー系がファッションに広く進出した10年間といえる。そしてファッションばかりでなく、インテリアのカーテン、カーペットの色、そして壁の色などにもアイボリーやベージュは広く活用採用された。
インテリアでは、80年代を通じてもナチュラルカラー志向が継続し、根強い定番色としての座を守り通している。
これらのナチュラルカラー、アースカラーは、89年以降、新たにエコロジーカラーと命名され再び流行している。
ナチュラルカラー・70〜
アースカラー・73
カーキとオリーブ・75