JAEAの先輩職員をご紹介!(研究職)
豊田 晃大
高速炉・新型炉研究開発部門 大洗研究所 高速炉サイクル研究開発センター 高速炉基盤技術開発部 構造信頼性・材料技術開発グループ
2018年入社、北海道出身の6年目研究職。大学時代は材料科学を専攻し修士で修了。入社後は茨城県大洗町で次世代革新炉の一つである高速炉を、より安全、高性能、低コストにするために構造材料の研究開発を行っている。
入社のきっかけは先生のお言葉でした
私は大学時代、研究室で原子力材料などのエネルギー材料を研究していました。しかし、就職では原子力分野を強く志望していたわけではなく、「大きなものを作りたい」という漠然としたものづくりへの希望しか持っていませんでした。私は研究開発を含めてものづくりだと思っていたので、極端に言えば、ものづくりに携われれば分野や職種はなんでもよかったのです。そんな私を見て、指導教官の先生が「国立大学は税金のおかげで私立大よりも学費が安いのだから、ここで学んだことを社会に還元してはどうか」という旨のお言葉をくださり、ならば!と、新しい原子炉の研究や開発を行っているところを探し始めました。そんな折、JAEAに就職した研究室の大先輩に会う機会があり、「高速炉部門ならものづくり寄りだし、材料の研究開発もやってるよ」との助言をもらい、これは自分にぴったりだと思いJAEAで高速炉開発をすることを志望しました。
ものづくり志望の私が高速炉開発の研究職として働けるのか...?
私は「次世代革新炉」と呼ばれる新しい原子力プラントのうち、高速炉の
研究開発を行っております。
高速炉はその名の通り、エネルギーの高い「高速中性子」を利用する原子力プラントで、ウラン資源の有効活用や放射性廃棄物の有害度低減が可能といったメリットがあります。
高速炉に限らず、多くの原子力プラントは実験炉、原型炉、実証炉を経て実用化されます(実用炉)。高速炉は実験炉「常陽」、原型炉「もんじゅ」が開発されていますので、次に開発するのは実用炉一歩手前の実証炉となります。実証炉では高速炉の実用化に向けてより安全に、且つ発電コストを下げる必要があり、そのためには様々な研究開発で課題を解決していく必要があります。我々の部門ではそれらの課題を解決するためのプロジェクトを行っています。私の業務は高速炉構造材料の研究開発で、より過酷な環境で長時間使える材料の開発や、材料の強度を確かめるための材料試験を行っています。得られた結果は論文として発表したり、規格(原子力発電所を安全に設計・建設するためのルール)として社会実装することで、高速炉開発への貢献をしています。材料試験では、高速炉での使用を想定した特殊な試験技術、装置の開発も行いますし、材料の開発や規格の作成は、重工メーカーや素材メーカーの方々とも一緒に行っています。
このように、私たちが行う業務の多くは「研究開発」であり、イメージとしては「研究よりのものづくり」です。もともと私はものづくり志望でしたので、日々楽しく仕事ができています。
入社後の正直な感想
高速炉開発という国家規模のプロジェクトを担えることはJAEAの強みだと思います。ニュースなどでご存じの方も多いかと思いますが、高速炉開発はこれからどんどん本格化します。JAEAは高速炉の開発にあわせて日々最先端の研究開発を行っていますので、そこに携わることができることも魅力で、元来飽き性な私にとっても良い点です。正直、仕事量は想像より多いですが、私の職場は上司や同僚が皆良い人で、サポートもたくさん頂いておりますので、入社前の「ブラックだったらどうしよう」という不安はなくなりました。ただし、何事にも書類の作成がついて回る(しかも種類が多い)こと等、いわゆる「お堅い組織」の一面があるのは事実です。茨城での暮らしは夏が暑すぎることを除けば、ご飯も美味しく非常に良いです。
生活に不便もないですし、茨城県に魅力がないだなんて、一体誰が言ったんでしょうか。
大学時代の専攻と業務の繋がり
大学時代と現在とで、材料の研究を行っているという点では専攻と業務は繋がっていますし、業務では大学の講義や教科書で得た知識を活用できるシーンがいくつもあります。ただし、材料の研究といっても、大学時代と現在の業務では内容が異なりますし、業務では原子力プラントの保全(メンテナンス)に関する研究開発も行っています。私の場合は博士ではなく修士卒ということもあり、大学の研究テーマよりも研究の方法を学んできたことが仕事に活きていると感じます。私自身の経験や周囲の研究職の方々を見るに、大学での研究テーマに関わらずご活躍できる場がきっとあると思います。
自分の就活と、6年経った現在思うこと
最初に述べた通り私は漠然とものづくりを志望していただけだったので(ただし、それなり以上の給与がある企業というのが前提条件でした。)、先生のご助言をもとにまずは新型炉開発をしている大手重工メーカーとJAEAを受けることにし、どちらもダメだったら原子力から離れて推薦で重工や素材メーカーに行こうというスタンスで就活を始めました。最初に受けた2社の内、JAEAが合格を出してくれたためそのまま入社に至りました。
このように、私はこだわりの条件から就職先を選び抜いたわけではなく、たくさんの企業を受験した経験もありません。そんな私の意見なので参考になるかは怪しいですが、企業選びでは是非その企業の雰囲気も気にしてみて下さい。「もしこの企業に就職したら、どのような人たちと働くことになるのか」という視点は非常に重要です。幸い私は職場の人間関係に恵まれたので、一緒に働く人の重要性がよくわかります。就活では仕事内容や給与、勤務地のことを考えがちだと思いますが、居心地の良さも選考のポイントに追加してみて下さい。最後になりますが、私たちは一緒に働く仲間を募っております。これを読んでくださった方、JAEAでその能力を発揮して頂けませんか。茨城県で待ってます!