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『チェリまほ』再放送第7話(2022.02.17)

6話を見て、自分がBLを好きな理由の一つを黒沢が表しているように感じたが、7話は更に二人がそれを私に説明してくれた気がした。

入社後しばらくしてから好きになったっていうと、もう6、7年?黒沢がそんなに長い間安達への思いを募らせていたとは驚いた。妄想が暴走するのも不思議ではない・・・。

見目形の良さに昔からずっと悩まされてきた黒沢の心が深く傷ついた時に、そっと近くに寄り添ってくれた安達。弱ってボロボロになった自分を見て、そんなところもいいな、と言ってくれた安達。ただの同期としてそんな優しい彼の近くにいられるだけでいいと思っていたのに、もっともっと近づきたくなってしまった黒沢。

おそらくは恋の終わりを覚悟して思いを打ち明けた黒沢も、いざ実際に告げられるとその思いにどう向き合っていいかまだわからずに俯くことしかできなかった安達も、安達が自分の恋心を受け入れられずにいるのを見て、安達に伸ばしかけた手をそっと引いた黒沢も、切なかった。

この恋は諦めなければならない、と黒沢は思っている。
別に何も悪いことはしていないし、結婚しているわけでもない。人に隠している一身上の都合もない、はず。
例えば、
経済界の有力者のお祖父様の言いつけで見聞を広めるために英国に数年留学せねばならずいつ戻れるかわからないとか、
傾きかけた家業の老舗を立て直すため大手銀行の頭取の娘と政略結婚が決まっているとか、
代々続く格式ある家柄を重んじる両親が決めた、遠い親戚筋にあたる5歳年下の許嫁がいるとか、
実は重大任務を負ったスパイで数ヶ月後には豊川からも忽然と姿を消し日本を脱出しなければならないとか、
いや国際的なスパイでないにしても、潜入捜査中の公安捜査官で豊川のトップセールスマンは仮の姿、周囲に理由も言わずある日突然豊川を退職したらその後はもう2度と安達の前に姿を現すわけにはいかないとか・・・ 

そういう巷で時々耳にするような不都合は特にない、はず。

ただ、二人が同性であるということだけが、高いハードルになっている。
黒沢は同性が好きなわけではなく、安達を好きなだけ。そしてその安達はたまたま同性。誰も悪くないけれど、この恋はきっと安達を苦しめるはず。だから先に進むことができない。諦めなければならない。
この恋の終焉をずっと覚悟してきた黒沢は、終わりにする前に一度だけ自分の気持ちを伝えることに決め、震える声でストレートに伝えた。
終わりを告げたはずの恋に心傷ついて覚束ない足取りで去る黒沢が、痛々しかった。

安達もまた、去っていく黒沢を追えなかった自分に傷ついていた。そして安達は今までの日々を振り返り、「黒沢でいっぱい」だったことに気づき、黒沢への自分の気持ちを確信し、勇気を出して正面から黒沢の気持ちを受け入れた。

気持ちを受け入れてくれた安達に駆け寄りギュッと抱きしめて「もう離さないけど」と言った黒沢のしみじみと嬉しそうで真剣な表情、安達からそっと抱きしめ返された時の一瞬の驚きと安堵の表情、それから黒沢の腕の中で、大事な人と気持ちが通じ合った幸せと相手の肌の温もりをじんわりと感じていく安達の表情、そして二人の言葉や仕草が、私を幸せにしてくれた。

6話と7話は、切なさと優しさがたくさん詰まっていた。
私がBLを好きな理由の一つは、これなんだな、きっと。