土用と桃

   とてもきれいな桃を沢山頂きました。  昔、中国では仙桃、仙果とも呼ばれ、桃の実は吉祥図でも長寿 のシンボルとして描かれました。今でもお祝いの席で桃饅頭を食べたり、おめでたい飾り物に桃が用いられるのは長寿を願う意味が込められているのですね。   桃の木で作った弓矢が 古代 悪鬼を払う儀式に使われたことから桃には「邪気払い」の力があるとも考えられたようです。そういえば近年、奈良の遺跡から3世紀ごろの桃の種が大量に出土し、祭祀の供物か呪術か儀式に使われたのかと話題になりました。   漢方でも桃はマルチプレイヤーで、種、花、葉全てが生薬として使われています。  乾燥させた種(桃仁)は、血のめぐりの改善。腸を潤して便秘、下腹部の痛みの解消。また生理痛などの婦人病にも効果があるそうです。 花(白桃花)は、利尿剤、下剤としての作用があり、むくみや便秘を解消してくれるそうです。 そして、桃の葉は入浴剤として使われ、刻んでお風呂に入れるとあせもや湿疹、かぶれに効果があるそうです。 桃は女性の厄よけになるというのも、婦人病や便秘に効果がある所から来ているのかも。 桃の実は食べておいしく。種、花、葉は漢方の生薬になり、枝は邪気払いの弓矢に(!)。とても役立つ果物ですね。   夏の土用というと「うなぎ」を思い浮かべますが、聞くところによると、江戸時代には夏の土用に桃の葉を入浴剤として使った「桃湯」に入る習慣があったそうです。今年の土用には桃香りの入浴剤を使ってみるのも良いかも知れませんね。    

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