a post card

ネイティブアラスカンの伝統的な文化と女性の仕事を支援するOomingmakというお店から一枚のハガキが届きました。 ウールの8倍暖かいというジャコウウシ〈musk ox〉の毛を紡いで編んだスカーフを購入し、この冬使うのを楽しみにしていたのですが、 アンカレッジは今マイナス15度。日本は肌寒くも過ごしやすく、スカーフの出番はまだまだ先と、お土産の山の下に隠れていたのでした。 ハガキは私の買い物に対応してくれたスタッフの手書きで、私がスカーフを選んでいる光景を思い出して書いてくれたのだと思うような文章でした。その文面を追うごとにアラスカの景色や街の匂い、冷たい風の音、そしてバターとカニの味(笑)など楽しい思い出が次々鮮やかによみがえり、アンカレッジに舞い戻ったような気持ちになりました。 便利に使えるツールが増え、礼状もついメールですませてしまうのですが、手書きのハガキが伝える温かさと、ひと時一緒に過ごした時間を喚起させる力に触れ、嬉しくなりました。 手紙を出して、配達されて、多くの「手」のリレーを経て、相手の手元に届く。時間と手間がかかるけれども、思いが運ばれる過程を想像すると、ほっこりとした喜びを感じます。 ショップからの礼状はよくあることなのに、そんなふうに感じるのは、遠い国からの思いもしないハガキということだけではなく、書いてくれた人の、仕事への、商品への、客であった私への真心が込められ、それが伝わったからだと思いました。 友人や家族の間でかわされる手紙とは違う、一期一会の真心のふれあいが思い出をより一層、温かなものにしてくれました。