引用から考える その1:P・B・シェリーの詩
いつも記事をお読みいただき、ありがとうございます。
智子@第444代目さんのtweetまとめを抜かすと、私がこれまで扱ってきた記事の形は、「自分の考えを述べる」「有益なワークやリラックス法の紹介」「多くの人に知ってほしい誰かの話」と、大きく分けることができるかと思われます。
今日から、またちょっと違う形の記事を投稿します。
それは、本の引用だけをする、というものです。
どの本を選び、どの言葉を引用するかに私の解釈は入りますが、できる限り、引用された言葉だけで、理解できるように配慮します。
個々の言葉を読んで、気になったことがあれば、関心を持つなり、調べてみるなり、考えてみるなり、そうしたきっかけにしてくだされば幸いです。
引用された言葉を、声に出して読むのも良いかもしれません。
もしかするとそこには、自分を鼓舞し、萎えた気持ちを奮い立たせ、勇気づける言葉があるかもしれません。
引用された言葉を黙読するのと、声に出して読むのは、また違った趣があります。
これは、やってみれば、わかります。
今回は、デーヴィッド・アイク『ムーンマトリックス1』(ヒカルランド、2019)から引用します。
原書は、2010年にイギリスで発行された『人類よ、起ち上がれ――眠れる獅子が目覚めるとき』(Human Race Get Off Your Knees: The Lion Sleeps No More)という、約700ページの大著です。
日本語では全10巻の文庫本で出版され、後に全5巻の新装版が出されました。
今回、私が引用するのは、この新装版の第1巻からです。
第1巻には、「巻頭詩」として、4人の著者の引用があります。
順番に、P・B・シェリー、ラドヤード・キプリング、ドン・マクリーン、ゲオルギィ・イワノヴィチ・グルジェフです。
今回は、最初のシェリーの詩を丸ごと引用します。
おそらくこの詩のタイトルから、アイクは、自身の本のタイトルを決めたのだと思われます。
もし機会があれば、残り三人の文章も紹介します。
ライオンのごとく起ち上がれ
自由とは何だ?
隷従とは何か? と問えば、誰でも答えることができる
まさに奴隷と名付けるべき存在に
あなた方はなってしまった
隷従とは、労働することだ
暴君の暮らしを支える監獄の中にいて
その日の四肢の生命を維持するだけの賃金を得ることだ
あなた方は、彼らの織機にされ、
鋤にされ、剣にされ、鍬にされ
自らの意思を曲げられ、あるいは自ら望んで
彼らを守り、彼らの養分となる
隷従とは、弱りきった子供たちと、
その痩せ飢えた母親たちを見ることだ
荒涼とした冬の風は冷たく
私がかく言う間にも死んでいく
隷従とは、飢えることだ
暴動の中、富裕者はエサを投げ落とす
肥え太って寝転んだ犬に
隷従とは、昔の暴君が労働から搾取していたより
数千倍も多くを
金の幽霊に奪い取らせることだ
紙のコイン、捏造された権利証明書を
あなた方は
大地から継承した価値あるもののように
しがみついている
隷従とは、魂が奴隷になることだ
自らの意志を自ら決めることなく
他人が全て決めてしまう
そして、くどくどと不平を言う
弱々しく虚しい言葉をこぼす
隷従とは、暴君の連中が
あなた方とその妻の上に乗るのを眺めていることだ
血は霧のように草地を濡らす
そして隷従とは、復讐を思うことだ
血と血を交換することを
間違いを間違いと交換することを
猛烈に渇望することだ
だから、強いあなた方は、そうすべきではない
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これが隷従だ
巣の中にいる野生の獣、未開人ならば
あなた方のように耐え忍ぶことはない
そんな苦難があることは知ることもない
自由とはなにか?
生きながら墓場にいる奴隷たちが
この問いに答えることができるなら
暴君は夢の幻のように逃げ失せるだろう
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恐怖を知らぬ自由な者たちよ
大集結するのだ
どこまでも平原の広がる
イングランドの地に
頭上に広がる青い空
踏みしめる緑の大地
全てが永遠の荘厳の証となる
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あなた方はいつ終わるとも知れぬ苦境に置かれたままでいるのか
それとも、感じ、見るのか
あなた方の国は
血と金の対価として売買され
失われたことを
大集結するのだ
厳かに
そして、きっちりとした言葉で宣言するのだ
あなた方は自由であると
そのように神はあなた方を創造したのだと
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そして、その言葉が
抑圧の終焉を告げる雷鳴となって
ひとりひとりの胸に、脳に、
鳴り響いていく
何度も何度も
まどろみから醒めた獅子のごとく起ち上がれ
制圧不可能な人数となって
眠っている間につながれた鎖を震わせ
霧のように大地に振り落とせ
あなた方は多勢だ
相手は無勢だ
パーシー・ビッシュ・シェリー「無秩序の仮面」にある詩より抜枠。
1819年にイギリスのマンチェスターで、議会・選挙の改革を求めて集まった人々を政府が虐殺したピータールー事件を受けて書かれた。
(デーヴィッド・アイク『ムーンマトリックス1』ヒカルランド、2019、p,1-7)
詩は、マインドで考えるのではなく、諳んじ、ハートで味わうものです。
是非、諳んじてください。
この詩は、過去の言葉でしょうか、それとも、今の言葉でしょうか。