「若者の探求疲れ」が起きている?
学習指導要領に「探求型学習」が加わり、ある種の探求型学習ブームですが、最近少し行き過ぎたものを感じることがあります。
入試においても、私立の入試の過半が総合型入試(旧AO入試)になったことによって、予備校業界も「総合型入試に有利な学校体験を」ということで、しきりに探求プロジェクトなどを推奨する塾なども沢山あるようです。
探求学習の姿勢自体は良いものだと思うのですが、「大学入試に有利だから探求しよう」というのは、本末転倒ではないかと思います。
1つは、モチベーションの観点です。
探求活動というのは、自分自身がワクワクする活動であるべきです。誰かからやらされてやるようなものではないはずです。
「勉強が大好きな子供に、”もっと頑張ったらお小遣いを上げよう”と伝えると、逆に勉強のモチベーションを削いでしまう」という実験があります。
もともと内発的動機付け(自然と湧き出るモチベーション)を持っている人に対して、外発的動機付け(報酬によるモチベーション)を与えてしまうと、元々持っていたやる気が無くなってしまう。
「探求型学習を推奨することで、逆に探求心を削いでしまう。」
探究活動という「手段が目的化」することで、そんなことが起こらないかが気がかりです。
もう一つの心配は、旧来のインプット型学習が悪者にされすぎて、知識や教養がおろそかになってしまうのではないかと言うことです。
一部の総合型入試対策塾は、高校生たちに探求学習以外にも「受験に有利なボランティア活動を!海外プログラムへの参加を!」と勧めるそうです。
先日、海外プログラムに参加したある高校生が「予備校の先生の言うことだけ聞いていたら、私バカになると思うんです。だから、今はちゃんと勉強しなきゃって思ってます。」と言っていました。
ある意味で、その通りだと思います。
多様な経験を積むことは大事ですが、高校生と言う勉強のゴールデンタイムに勉強を疎かにすることはもったいないです。
また、ボランティアや海外ツアーは素晴らしいですが、本人がどんな目的で、どんな動機でそれに取り組むのかが無いと、単に体験を消費しただけにすぎません。そんなことに貴重な高校生活を浪費してほしくない。
大抵の新しいコンセプトはそれがビジネス化された時に間違った方向に進んでいきます。子供たちを大人がミスリードしないよう気を付けたいものです。