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人事評価面談でのビジネスケアラーとの向き合い方

昨日、中堅企業の人事部長職の方から相談を受けました。これまで、老親の介護問題に悩む現役世代の方たちからの相談は数多くありましたが、そんな彼らを評価する立場の人からの相談は初めてのことでした。

「パーソナルな事情を知っているだけに、正直、マイナス評定を伝えることが心苦しい。何をどう言葉にしたらいいのかがわからない。自分を納得させられる助言を戴ければと思い、お電話させていただきました…」

どうやら、『下半期から配置換え』という会社としての方針がほぼ確定しているとのことでした。人事部長という立場ゆえの心痛と苦悩は察してあまりあるのですが、同時に、自分であればどうするか自問自答してみても、「これがベスト」という答えが見つからず、困っている自分がいました。

結局、一時間以上もいろいろなお話を交わした挙句、以下のような話をして電話を終えました。人事部長さんは、「気持ちの整理ができた」とは仰ってくださいましたが、おそらく社交辞令だと思います。いま現在も、正解が何なのか見当がつかない自分がいます。

まぁ「ソクラテスの産婆術」ではありませんが、誰かに話を聴いてもらうだけでストレスの七割が緩和されるといいますから、せめてその程度でもお役に立てたならいいかなと、自分自信に言い聞かせた昨晩でした…。

私は彼に、こんな話をしました…。

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老親介護の問題を抱える部下へのアプローチにおいては、以下の点に注意する必要があると考えます。

まずはじめに、部下自身の自己評価を訊き、その内容に対して承認や感謝の言葉を伝えるようにします。部下が親の介護と仕事の両立に苦労していることは、十分に理解しているという姿勢を示します。

次に、部下のパフォーマンスが落ちてきていることを伝えるわけですが、その際には評価の根拠や具体的な事例を示し、客観的な事実として伝える必要があります。部下の能力や意欲を否定するような言い方は、極力避けなければなりません。

その上で、部下が自分の状況を話しやすいように、傾聴する姿勢を見せつつ、部下のパフォーマンスが落ちてきている理由や背景を訊きます。部下が介護の負担やストレスに悩んでいる場合は、会社としてできる支援策や相談窓口などを紹介します。

最後に、来期に向けての課題や目標を一緒に考えます。部下が現状を改善するために必要なアクションを明確にします。また、別部門への人事異動の可能性も伝えますが、それは部下のキャリアアップや成長のために必要なことだというメッセージを伝えます。部下が新しい環境で活躍できるように、期待や応援の言葉を伝えます。

面談後には、部下に面談の内容をメールで確認し、課題や目標に対するアクションプランを作成するように依頼します。アクションプランには、具体的な行動や期限、評価基準などを明記します。

部下がアクションプランを提出してきたら、それをもとに定期的なフォローアップを行い、進捗や障害を確認し、必要に応じてフィードバックや支援を提供します。

もしも、部下が別部門への人事異動を希望する場合には、その理由や動機を聞き、部下のキャリアプランに沿った異動先を探すように協力します。部下が異動先でスムーズに仕事に慣れるように、引継ぎや研修などのサポートもプランします。

以上のように、部下の状況や感情を尊重しながら現実的な評価とフィードバックを伝えることと併せ、日常的にコミュニケーションをとり、部下の悩みや希望を聞くことも重要になってくるのではないでしょうか。

そうすればこそ、部下のパフォーマンス向上だけでなく、モチベーションや満足度も高めることが可能となり、いざという時に、「あの上司がそう言うのであれば、まぁ仕方ないかな…」と納得感を喚起することができ、後々のトラブルの芽を未然に摘むことができるのだと思います。

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思い起こしてみても、きわめて抽象的な、きわめてマニュアル的なことしか伝えていないなぁ~と、ふがいなく思います。

ただ、人の納得には、「積極的納得」と「消極的納得」があります。また、「論理的納得」と「情緒的納得」があります。この両軸で考えた時、『消極的納得×情緒的納得』でいくしかなさそうだと感じたのです。

ゴールとしては、「この人事部長が言うのであれば、まぁ仕方ないか」という気持ちを喚起させる。そのためには、日常的な人間関係やコミュニケーションが不可欠だということなのだと思います。

私が長いことやってきたシニアビジネススクールの講座の中に、『説得のダイヤモンド』というのがあります。セールス技法のひとつなのですが、ダイヤモンドのいちばん面積の大きい「Relation(関係性)」と「Occasion(場合)」が、相手の説得にはもっとも強力な要因だという話をします。

『最強の説得とは、説得しないことである』…なぁ~んちゃってネ。

今回の相談を受けながら、頭の片隅でそんなことが甦ってきて、その後の話を紡いでいった次第です…。

なんだか歯切れの悪い記事になってしまいましたが、読者のみなさんがこの人事部長さんだったとしたら、どんな伝え方をするでしょうか。アイデアをご教示いただけたらうれしく思います…。


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