【老親リスクを回避せよ14】認知症の問題行動の根っこにあるもの

認知症の問題行動についても思うところがあります。いわゆるまだら呆け状態のご本人にカウンセリングをやってみると、その人の取られる問題行動の根っこには、過去のネガティブな記憶が関わっているように思えてならないのです。

例えば暴力行為を働く人の場合、戦争とか激しい喧嘩とか、ご両親に手をあげられていたとか。そういった封印してしまいたいような、あるいは、封印していたトピックがあることがわかってくるんですよね。

もの盗られ妄想で、「お金を盗まれた」と訴える人は、過去にお金にまつわる何かしらネガティブな経験を抱えています。

弄便みたいなことをする人は、幼少の頃にお粗相をして親から激しく叱られた経験があったり、食べ方に異変が出る人だと、かつて食べることに苦労をしていたとか。徘徊ですと、門限が厳しいとか、あちこち自由に遊びに行くことを許してもらえなかったとか。

まあ、科学的根拠がないと言われてしまえばそれまでのことですが、私の立場ですと、ある意味、根拠とか原因とかはどうでもいいんですよね。目の前でいま起こっている問題行動がなくなればいい。緩和されればいい。それによって、困り果てているご家族の日常に平安が戻ってくればいいんです。そのためにも、科学的根拠があろうとなかろうと、考えつくことは、とにかく試してみる。そういうスタンスでお手伝いをしているんです。

その意味では、西洋医学に対する東洋医学みたいなスタンスなのでしょうね。大体、この世のなかには、科学では検証できずにいることがまだまだいっぱいありますから。なぜ十月十日で赤ちゃんがお母さんのお腹から出てくるのか、いまだに解明できないんですからね。

認知症だってまだまだ人智の及ばない領域の話です。やはり、論理的アプローチと情緒的アプローチの両方が要ると思っています。その後者のほうをお手伝いできればいいと考えているのです。

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