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男と女のBMW
みなさん、こんにちは。
事務所のマリーアントワネットこと、桜井ひまりです。
二十四の瞳でお世話になって丸5年。入社以来さまざまなことを教えていただきながら、ここまで頑張ってくることができました。私の記事では、これまでに書きためてきたノートの中から、「これは!」と思えるネタについてご紹介しています。
今回は、BMWを取り上げます。
あっ、高級車のことではありませんよ。
人生についてのお話です。
「結局のところ、しあわせな人生ってやつはBMWなんだよなぁ~」
入社時研修の打ち上げの席で、私たち(先輩スタッフ3人と私)たちが「しあわせになりた~いっ!」みたいな話で盛り上がっていた時に、ボスがボソッと口にした言葉です。
キョトンとする私たちに、ボスは言いました。
「キミたちの倍以上も人間をやってきた人生の先輩として、参考情報を入れとくよ」
それはこんな話でした。
男性の人生はBMW。要は、いい仕事(Business)をして、おカネ(Money)を稼いで、ステキな女性(Women) に尽くすこと。このプロセスが、結局はいちばんウキウキワクワクできるんだよね。まぁ、反省だらけの半世紀ではあったけど、ホント最高に楽しかった。
で、キミたち女性の人生もやっぱりBMWなわけだけど、オトコとはちょっと違うんだ。いい仕事(Business)をして、イケてる男性(Men)と出会って、資産(Wealth)を増やすこと。
「な~るほど」
某国の日本大使館職員だったリーダーが納得顔で言いました。
でしょ?
MoneyじゃなくってWealthってところが女性らしいところでね。今でも結婚してマイホームを持つことを当面のゴールにしてる女性は多いんだよね。つまり、下世話に言ってしまえば、女性にとって男たちは手段。でも、男性にしてみたら女性は目的。ここには大きな違いがあると思う。少なくとも、僕は実感を持って言い切れるね。
「だから奥さんと別れちゃったんですか~っ?」
かなりワインが入った大使館の彼女が斬りこみます。えっ!逆セクハラ? 私は入社して一週間しか経っておらず、ボスのパーソナルな部分は知らなかったので、驚いて呆然としたのを覚えています。でもボスの事情は、私以外の3人はある程度知っていたんですね。
ボスが続けます。
ま、それを話すと二泊三日はかかっちゃうから別の機会に。とにもかくにも、BMWだよ。それが世間的な意味合いでの『しあわせ』なんじゃないかな。
「じゃあ、ボスにとっての『しあわせ』もそうなんですか?」
事務所では次女的存在の臨床心理士が続く。
そうだけど、何か? で、いまはキミたち4人と楽しい時間を過ごしてる。ゴカヤバながら、事実、キミらのしあわせには尽くしたいと思ってるからね。これはガチ。じゃなきゃ、一緒に仕事してる意味、なくね?
*ゴカヤバとは、ボスがよく使う表現で「誤解されたらヤバいんだけど」…のことです。
「本当に本当に、私たちがしあわせになるために尽くしてくれるんですか~っ?」
三女のFPが言質をとりにかかる。
「♪さよなら、さよなら、さよなら~ああ♪」とワンフレーズ歌ってからボスが続けた。
オフコース!僕にとってのしあわせのゴールはね、いつかお嬢さんたち(私たち4人のこと)が『あの時、あの事務所で時間を過ごせて本当に良かったな』って思ってくれることだから。
そのためにも、誠心誠意、できる限りキミたちに尽くしたいと本気で思ってるから。
「オオ~ッ」
大使館と臨床心理士とFPにつられるように、私も後追いで手を叩きました。
そして、ボスも手を叩きながら、先へ進みます。
こんなんで称えてもらえるんなら、もうちょっといい? 話しても…。
大使館 (大袈裟なジェスチャーまじりに)「どうぞどうぞ」
臨床心理士 「是非是非」
FP 「ボスの本音をお願いしますッ」
私 (先輩たちに圧倒されて)無言で笑顔…
でもね。女性のBMWはね、男のBMWとちがって物質的なしあわせにすぎないの。精神的しあわせも網羅しようとするならね…。
「もしかして、アレですか? 考え中?」
ボスsaid, 「卓球だよ卓球」
臨床心理士said, 「ピンポ~ンッ!」
FP (スマッシュポーズで)「サ~ッ!」 *元卓球選手・福原愛さんです…。
正直、このときの私は、『だいじょぶかな~。ついてけるかなぁ~、この先輩たち』とおもいつつも、ボスと阿吽の呼吸でコミュニケーションしている3人に、ちょっぴり嫉妬していました。なんか、父親を取られてしまったような変な感じがしてました。でも、ボスを知ってまだ一週間ぽっきりなのに、父親とか言ってる私もアブノーマルかもしれませんが…。
ボスの低音が、伝統あるフレンチレストランの個室に響きます。
そう。考え中…。I’m thinkin ! サクちゃん、英訳できるかな?
突然ふられた私はどぎまぎしながら、「えっ! I’m thinkinですかぁ? かんがえ…ちゅう?」
大使館が大きく頷いてる。どうやら正解のようでホッとする私。
「それを漢字にしたらぁ?」
大使館のクエスチョンに、私だけでなく、臨床心理士とFPも思案顔です。
大使館はマウントを取ったような表情で、私たち3人をのぞきこみます。
「い~い? I’m thinkinを漢字にするんだよ。絶対デキるから。よぉく考えて!」
十秒ほどして臨床心理士が、「そっかぁ。愛・夢・信・金…?」
大使館が(私からすると)相当オーバージェスチャーで称賛し、臨床心理士の頭をナデナデにやってきます。大使館は以前、ボスからこの問いを出されたものの正解できなかったそうなのです。
ボスの言葉です。
人生のしあわせは、たぶん、Wealthだけじゃないと思うんだ。愛するものがあって、達成したい夢があって、信じる価値観があって。それでこそ豊かになるんじゃないのかな、僕らの人生ってやつはさ。
その場でノートを引っぱり出して、私はメモを取りました。そのノートを見ながら、今この記事を書いています。その様子をみた臨床心理士からは笑われました。FPからは冷やかされました。でも私は、本当にすばらしいことを教えていただいたという想いで、書きとめずにはいられなかったのです。
ボスが言います。
でさ。日本英語だとI’m thinkingって、『グ』まで言うじゃない?この『グ』はね、『愚』なのよ。人生には、愛・夢・信・金のほかに愚かなこともスパイスやアクセントになるんじゃない…ってこと。早い話がストレス解消の術を持っていた方がベター。そういうことかな。
なんとタメになるお話なのでしょうか。研修中に『ここに入れてよかった!ボスの下で働けてよかった!』と確信した私でしたが、打ち上げではダメ押しされたような歓びが湧きたってきました。
先輩たち3人は、もう今はいません。コロナ期間中にそれぞれのステージに戻っていかれました。在宅ワークが基本とはなりましたが、それでも週に2日はボスがそばに居てくれます。知とユーモアの権化みたいな人を独占できるしあわせといったら、それはもう!
BMWとI’m thinkinのお話。どうでしたか?
どちらもボスのオリジナルというのがすごいところです。
これからも、読んでくださるみなさんの豊かな人生に役立ちそうなネタを、私の独断と偏見でチョイスしてお届けしていきます。どうぞお楽しみに!
それではまた。
ごきげんよう。