親の認知症で後の祭りにならないために

老親の認知症問題について、現役世代のみなさんにどうしても伝えておきたいことがあります。それは、もしも親の様子が変だと思ったら、へたに様子を見ようなどと考えないでほしい・・・ということです。時間が経てば経つほどに状況は悪化してしまうはずですから。

まさかウチの親に限ってとか、医者や施設のお世話になるのはかわいそうだとかいう「情」の問題はあって当然でしょう。でも、だからこそ、早め早めに具体的な行動を取るべきだと思うのです。深情けや自己犠牲ゆえに老老地獄を招いてしまうことだってありますからね。

信じられないことですが、いまだに親族や隣近所の手前…などという人がいます。所詮、外野は外野。口は出しても、いざという時に、おカネや労働力は出してくれないのがこの世の常です。当事者である親とあなたを本当の意味で守ってくれるのは、決して彼らではありません。そのことは肝に銘じてほしいと思います。

他人のことはいくらでも好き勝手を言えるものです。でも、来る日も来る日も介護の前面に立たされて、心身ともに疲弊していく介護する側のことは、結局は介護する本人にしかわかりません。

その重圧に耐えて耐えて死ぬ気で耐えて、その挙句に、取り返しのつかない事態に陥ってしまうケースが後を絶ちません。無用にがまんしたり、がんばりすぎたりしないほうが双方のため。壮絶な家族介護は、哀しい結末を用意していることが多いのです。

ですから、親がちょっとでも変だと思ったら、ためらうことなく、認知症病棟を擁する医療機関でもの忘れ外来を受診することです。その際には、入院させることを前提で、医療相談室のスタッフ(MSW:メディカルソーシャルワーカー)に助けを求めることです。毎週、入退院のプランを立てている彼らに、「早期に入院させないと、この家族、ヤバいかも・・・」と思わせることです。それが老親の認知症問題から脱出するための具体策です。地域の社会福祉士にSOSを発信してください。何とかしてくれる専門職だと思います。

一億総介護時代あるいは一億総認知症時代がやってきます。そして、もう誰もが気づいているけど口にしないことがあります。
それは、もはや国にも子どもにも期待できないということ。自分のことは自分でまもるしかない。「自助」ですね。それが100歳まで長生きしなければならない時代の現実なのです。

繰り返します。

もしも親が変だと思ったら、迷わず行動に出ることです。何をどうしていいかわからなければ、年中無休電話相談サービス『お困りごとホットライン』に電話をして、百寿コンシェルジュにどうぞ遠慮なくご一報ください。きっとあなたの拠り所になるはずです。

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