【老親リスクを回避せよ08】老後の問題が厄介な本当の理由
老老地獄。年老いた家族(親子・夫婦)間の、凄惨で沈鬱な事件に共通する3つの要因があります。それは、「医療高依存状態あるいは要介護状態の老親(配偶者)を」・「経済的にゆとりのない子ども(配偶者)が」・「自宅で」支えざるを得ない状況にあるということです。
家族の絆ゆえ、はじめのうちこそ懸命に支えようとする子ども(配偶者)ではありますが、いつ終わるともわからない介護生活が続くうちに、「かわいそうに」という気持ちから「いつまで続くんだ」というネガティブな感情が膨らんできます。親子(夫婦)間の心理的距離が少しずつ少しずつ離れていくのです。そしてついには、制御できないほどの憎悪の炎がメラメラと燃えさかる……。
残念なことですが、齢を重ねるにつれて、おカネを最後の最期まで抱え込んでおこうとする人がいます。また、「生んで育ててやったんだから、子どもたちが親の面倒を見るのは当たり前」と言い放つ人もいます。でもそれは驕りだと思うのです。
考えてみれば、地球上の動物で、子どもに老後の面倒をかけるなんていうのは人間だけです。そもそも子どもを作ったのも親の勝手。勝手に産んだのは親のほうなのだから、むしろ親のほうにこそ、子どもを育てる義務があったはずじゃないでしょうか。挙句、お金の話を抜きにして、介護まで頼もうというのですから、子ども側がちょっと気の毒というものです。
老親はいつまでもおカネに執着せず、引き継ぎ、分け与えることになる財産について開陳した上で、エンディングに向けた支援を真摯に子どもたちに依頼すべきです。そうすれば肩の荷も下りるし、子どもたちにしても、自分を生み育ててくれた親を支える覚悟も決まるのだと思います。早い話、「お金の話は抜きで、面倒だけ見ろっていうのか!」と子ども(配偶者)側が感じたとき、最悪の結末が忍び寄っている可能性が高い……。 そう思っています。