見出し画像

元気を維持する運動と食事

前回まで、私たちが身体的な幸福を得るために取り組みたいことを書いてきましたが、さいごに取り上げるのは運動と食事。次回の記事では、精神的幸福のお話です……。

まず運動ですが、結論は、「3つのSで脚に貯筋」です。
 
朝の散歩とか就寝前とかに軽く体を動かすことを習慣化するのは、心身の健康にとって実に有効で、投資対効果的にもやらなきゃもったいないくらい価値のあることです。大切なのは分量や激しさではなく、継続することです。そのためにも、無理なく続けられることが重要です。もちろん、コストをかけることなく、です。
 
これもまた、スポーツ界や医療界のプロたちがいろいろな持論を展開していますが、ここではいろいろな方法を試してきた私が行き着いた3つのSを紹介したいと思います。結論から言うと、スクワット、ストレッチ、スキップの3つです。よく言われるように、人間は足腰から衰えます。足腰を使う機会が減ることで筋肉が落ち、そんな状態で転倒することで寝たきりになってしまうケースが多々あります。認知症もキツいでしょうが、これはどちらかというと家族のほうがキツいですよね。でも、自分で歩行できなくなるというのは、本人にとっては本当につらくてもどかしいことだと容易に想像できます。
 
自分が行きたい場所にひとりで行くことができない。だれかの時間を犠牲にしないと実現できない。脳がしっかりしていれば、余計にストレスが溜まるはずです。なので、早い段階から足腰の筋肉が落ちないように工夫するのです。「貯金もいいけど、貯筋(筋肉をつける意味)もネ」と、弱い自分に言い聞かせましょう。
 
で、おカネも手間もかけずに継続できるエクササイズとして、ますはスクワットがあります。畳一畳のスペースがあれば(や、二畳かな?)できますし、好きな音楽が一曲終わるまでの5分程度であれば、アッという間にできちゃいますから、面倒くさがり屋の私でさえ続けることができます。ちなみに、私は『ロッキーのテーマ』で、就寝前のスクワットを日課にしています。気分が乗った日には、朝起きた時もやるようにしています。
 
つぎにストレッチ。これは本当に気持ちいいですよね。タイ式マッサージも最高ですが、なるべくおカネをかけずにやったほうがベターでしょう。立った姿勢と寝転がった姿勢の両方で、とにかく手足を伸ばしたり捻ったり。
これも音楽一曲分で十分です。パートナーと暮らしている場合は、もっと楽しくできるはずです。
 
そしてスキップですが、これって認知症予防には効果絶大だって、複数の医者が論文を書いています。スキップを実際にしてみるとわかるのですが、あれって自然と前を向きますよね。足元を見ながらやる人はまずいません。そこがいいんです。前を向くということは、未来を見るということです。気分が前向きになるのです。しかも、スキップの躍動感がワクワクウキウキ感を喚起してくれて、自然とにこやかになります。これが快楽ホルモンの分泌を促進させてくれるので、脳が刺激を受けて脳年齢の維持に役立つというわけです。
 
室内だと「その場スキップ」になってしまうかもしれませんが、私の場合は、マンションの駐車場とか共有スペースの踊り場とかでよくやってます(笑)。パートナーと一緒の時は縄跳びもよくやります。縄跳びって、英語でスキッピングジャンプっていうんですよね。スキップの応用編です。100回×5セットもやればダイエット効果もあるので女性にもおすすめです。
 
 
つぎは、食事のことです。カラダにいい"食"については、管理栄養士や医師たちがたくさん本を書いていますが、ここでは、それらの最大公約数(ほとんどの人が推奨していること)をまとめてみます。
 
生活習慣病予防でいちばん大きな比重を占めるのが食事だと言われます。多くの管理栄養士や料理研究家の人たちが持論を展開していて、私自身、過去に4人の専門家が提唱する食事療法を経験しましたが、最終的には、効果があったと実感しているのは「(南雲式)一日一食ダイエット」だけでした。
 
空腹になってお腹の虫がグーグーなってもギリギリまで我慢して、最後のさいごに一食だけ食べるという方法ですが、いいのはルールが厳格でないこと。日中、どうしてもお腹がすいて困ったら、無糖ドライフルーツとか無塩ナッツとか、あと液体であればいくらでも飲んでもいいというものです。だから当初は鞄に100均で買ったドライフルーツやクルミを忍ばせていましたが、食べてもいいよと言われると逆に間食しなくなるから不思議です。
 
食事については、とにかく量を摂りすぎないことがいちばんです。「食」という字は、人を良くすると書くわけですが、これは、まだカラダの骨格が出来上がる前の少年少女の話です。社会人になった以降は、規則的な生活もむずかしくなるからこそ、食事への配慮が大切になってきます。その大前提として、「大人になったら食は悪」と覚えておきたいところです。
 
で、生活習慣病にならないために何を食べるべきかという話は腐るほどありますが、私の持論としては、地中海式食生活をおすすめしています。野菜と果物中心で調理油はオリーブオイル。グラス2杯ほどの赤ワイン。これに飽きたら、日本式を取り入れて、冷や奴・湯豆腐(絹ごし)にネギダク納豆にマグロの赤身。ほぼほぼ、そんな感じです。

寒い時期には、貝原益軒(江戸時代の医者)が『養生訓』の中で紹介してくれている「雪見鍋」がおすすめです。絹ごし豆腐に白ネギ。それが見えなくなるくらい大量の大根おろしで覆い隠すようにしてグツグツと熱して、ポン酢でいただきますこれで熱燗二合くらいは軽くいっちゃいますね。湯気のむこうには和服美人。お酌をお願いできたら、身も心も潤うこと請け合いでしょうね。いや、セクハラ発言ご容赦くださいっ。
 
講演とかでよく紹介してるのは、九州かどこかの叔母ちゃん管理栄養士が作った「孫はやさしい」をちょっとアレンジして、『玄ちゃん、孫はやさしいヨ』。順番に、玄米・お茶・マメ・ごま・わかめ(海藻)・野菜・魚・しいたけ(キノコ)・イモ・ヨーグルト・・・となります。
 
あと、私のオリジナルになりますが、認知症予防に効果的な食材として、『風車にガッチョ~ン、あっ、可愛い~ん』というのがあります。認知症の原因となるタンパク質のゴミ(アミロイドβタンパク)を除去するのに有効なものばかりをまとめてみました。順番に、カレー(ターメリック)・ザクロ・クルミ・マグロ(青魚)・ニラ・ガーリック(にんにく)・チョコレート・赤ワイン・・・です。「インディアン、嘘つかない。インド人、ボケない」…と覚えておいてください。
 
 
さて、さいごに、現代人にとっての最大リスクと言っても過言ではない「認知症」。これを予防するための基本戦略をお話ししておきましょう。
 
認知症予防についても、多くの医者がいろいろな対策を書いてますよね。そんななかで、継続できて効果も実感できそうなものを私なりに取捨選択編集してこんな伝え方をしています。
 
脳が大好きなことを意識してやるようにしましょう。脳が大好きなのは、「好きなこと・楽しいこと・新しいこと」の3つです…ってネ。
 
人間だれしも、自分が好きなことをしている時間というのはアッという間に過ぎるものだし、何時間続けていても飽きないものです。こうした時間帯には、快楽ホルモンと称される甲状腺刺激ホルモンの分泌が盛んとなって脳にプラスの刺激が浴びせられます。具体的には、気の合う仲間とのおしゃべりや、趣味などてす。私の場合は、本を読んだり、思いついたことを書き綴ったり、舞台を見たり、老後の設計図を書いたり、周囲の人の誕生日を祝う準備をしたり、誰かと会う前にお土産を買ったり…。そんなことが好きで習慣化してますね。
 
同様に、一般的に楽しいことを積極的にやろうということ。世間的に流行しているゲームとか、麻雀やカードゲーム、食事会やコンパ、スポーツ等々。よほど性が合わない場合は別でしょうが、気持ちが明るく開放的に作用する確率は高いはずです。
 
あと、とくにおすすめなのが、新しいことに意識的にチャレンジすることです。脳は未知のことが大好きです。何もむずかしく考えることはありません。いろいろと試してきた私が、もう何年も続けていることは、(右利きの私が)左手で歯磨きする、駅までのアクセスをしょっちゅう変化させてみる、「おはよう」とか「こんにちは」とか「愛してるよ」とかいった簡単なワンフレーズをいろいろな国の言葉で実際に使ってみるとか、でしょうか。
 
今やスマホがあればなんだって調べられますから、移動中とかにちょこちょこっと調べて、職場についたら、受付や事務の子たちに「プリービエット」(ロシア語で「こんにちは」)とか、「オブリガード」(ポルトガル語で「ありがとう」)とか言い放っては怪訝な顔をされています(笑)。
 
さすがに抵抗があるという人には、道元さんや良寛さんで有名な「愛語」がおすすめです。笑顔で、相手の名前を呼びながら、何かひとつ質問をしてあげて、その答えを丸ごと受けとめて、前向きなひと声をかけてあげる。知人じゃなくても、お店のレジ係とか、バスの運転手とか、誰が相手でも使えちゃう便利な技法です。
 
「レジの彼女。すっごい美味しかったですよ。あなたもそう思わない?(相手がどう答えてきても)だよネ~」みたいな感じです。前向きな言葉を吐いて、それが耳から脳に伝わって、成長ホルモンを分泌させる。まさに自給自足の認知症予防エクササイズです。
 
私なんぞは、自分のカラダのパーツに向かっても愛語で声掛けしちゃいますからね。慣れてくれば恥ずかしくなんかないものです。何といったって、脳年齢を維持できて、認知症リスクを下げられるなら、やらなきゃ損々!ということです。
 
「ボクのアイちゃん(目のことです)、いつもきれいな景色や異性を見させてくれて本当にありがとうね。これからも末永く、いろんなものを見させて頂戴ね。よろぴこ~っ!」
 
「ボクのニーちゃん(膝のことです)、いつもボクの重たいカラダをいろんな場所に連れて行ってくれて感謝してるよ。100歳まで自分の足で移動できるようボクを支えてクレヨンしんちゃん」
 
とまぁ、こんな感じです。慣れてしまえば、結構楽しいものですよっ。
おあとがよろしいようで……。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?