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老親リスク回避の4ステップ『縮伝頼渡』(その3)頼まれる <前編>

さて、今回の記事では、老親リスクを回避する4ステップ『縮伝頼渡』の第三段階を解説していきます。

頼まれる...。

前回の記事では、縮伝頼渡の第二段階として、『伝える』についてお話しました。

友人や知人が老親問題で窮地に陥ってしまったエピソードから、自分も元気な今のうちからそなえておかなきゃいけないな……と気づかされたこと。年齢にかかわらず、まさかはいつ起きるかわからないからこそ、かけがえのない娘や息子に負担をかけぬよう今のうちから終活に取り組んでみようと思い立ったこと。こんなふうに話を展開させながら、老親の出方をうかがって、「一緒に終活やってみようか」と切り出せたらシメたものだ……。そんな内容でした。

で、今回の『頼まれる』は、老親に対して、人間だれしも老いてゆくことを具体的にイメージさせながら、子どもの支援なしには死んでいくことはできないのだな……と認識させた上で、いざという時にあなたに何をサポートしてもらいたいのかを浮き彫りにするステップです。

言ってみれば、ここが終活の肝の部分です。ここを曖昧にしたままに”その時”を迎えてしまうから、多くの現役世代が戸惑い、苛立ち、面倒で厄介な状況に追い込まれ、不利益を被ることになるのです。

『縮める』・『伝える』がほぼ順調にいったとすれば、『頼られる』ステップもきっちりとミッションを完了してくださいね。それでは、内容に入っていきましょう。

老いるとは、喪失のプロセスです。加齢に伴って、仕事や収入や人間関係をどんどん失っていくわけです。老親リスク回避の4ステップ『縮伝頼渡』の第三段階『頼まれる』でフォーカスするのは、身体機能と認知機能の話です。当然のことですが、あなたの老親も、まちがいなくカラダのあちらこちらに不具合が出てきているでしょうし、記憶力や判断力も低下してきているはずです。

『頼まれる』は大きくふたつの作業を行うのですが、まずは、こうした、なかなか自分では認めたくないこと、先送りしたいことについて、逃げないで正面から向き合って、親子間で共有することから始めます。第二段階の『伝える』までが首尾よくいっていたとすれば、そんなに難しいことではないはずです。ゲーム感覚で老親もあなたも現在地を確認していくようにします。

一般に、加齢による老化は一気に進むわけではなく、徐々に進行していきます。そのため健常な状態からフレイル(筋力低下・身体機能が低下した状態)の段階へと移行しているにもかかわらず、自覚がないままに要介護状態になってしまって慌てる人が少なくありません。

フレイルは介護が必要になる一歩手前の状態ですが、現役世代のみなさんとすれば、この段階で老親対策とか終活とかを完了させてしまうことがとても大切です。これを逸してしまうと、いわゆる老親地獄が待っているという危機意識を持つようにしてください。

厚労省の主導で、高齢者向けに介護予防・日常生活総合支援事業というのが進行中ですが、具体的には、老親が住んでいる場所を管轄する地域包括支援センターで、要介護認定の前段階でフレイルチェックシートというものが使用されています。要は、日常生活における諸々の行動が自力でこなせているかどうかをスコア化して、介護予防に利用したり、要介護認定を申請すべきか否かの判断基準にしているわけです。

私どもではこれをベースに、『MMMO(トリプルMO:もしも万一まさかが起こったら)』というリスク診断シートを用意しています。身体機能編と認知機能編それぞれ15の質問にYES/NOをチェッくするだけで、老い先への問題意識と当事者意識と危機意識を喚起できるようになっています。

なので、終活のはじめの一歩としてこれをそのまま使ってもいいですし、いくつかの項目をを抜粋して、あなたがトライしてみせるのがいいと思います。で、「おふくろ(おやじ)もやってみなよ」的な流れにもっていくのが理想です。

ちなみに、合計30の質問項目は、以下のとおりです。

MMMOチェックシート ©山崎宏社会福祉士事務所


いかがでしたでしょうか。
結果についてですが、ハッキリ言って、点数は関係ありません。
老いの自覚を持ってもらうことが目的です。その上で、『頼まれる』の後半戦である『老後の8大課題別支援依頼項目シート』にスムーズに進んでもらい、老親があなたに具体的に何をサポートしてほしいのかを見える化していくことになります。

ですが、これについては、次回の記事でお話しすることにします。

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