勢い増すCheggが「Mathway」を1億ドルで買収。中国の宿題お助けアプリ「作业帮(Zuoyebang)」は最大8億ドル調達の噂
アメリカのオンライン学習プラットフォーム「Chegg」が「Mathway」を1億ドルで買収すると発表しました。
Mathwayは2002年にサービスを開始した数学アプリで、問題文を送ると解答を解説付きで返答してくれます。
MathwayはLINE的なチャットUIが特徴で、写真を送るだけでも対応してくれるそう。アプリストアの説明文によれば、「数百万人のユーザーが使用し、数十億の問題を解いて来たMathwayは、世界一の数学の問題解決アプリです」とのことです。利用料は解説&チューター付きで月額4,400円から。
300万人規模のCheggユーザーが利用すれば、質問が溜まっていきサービスの質向上が見込まれます。キラーコンテンツになりうるかは微妙ですが、Cheggのプラットフォームを強化する一因にはなるのかなと思います。
(Chegg 2020 First Quarter Results Presentation)
教科書レンタルで広まったCheggはアメリカの大学生の間では抜群の知名度を誇り、オンライン・チュータリング等のサブスクサービスが急成長しています。
学校教育のオンライン化を追い風に1Q売上は前年比+35.1%増の1.3億ドルと成長が加速。株価も急騰し、時価総額は約72億ドルとなっています。
オンライン教育サービスの勢いが増しているのはアメリカだけではありません。
調査会社Trustdataによると、2020年3月の中国「小中学校教育アプリ」MAUランキングでは「作业帮(Zuoyebang)」というサービスがダントツで1位。MAU8,000万人と、2位よりも4倍近い規模を誇ります。
この「Zuoyebang」というサービスも、Cheggが買収したMathwayと同じく宿題お助けアプリです。
Mathwayと同様に問題の写真を送ると解説を返してくれるサービスで、課金すると先生とオンライン通話もできるようです。
Zuoyebangは2014年にBaiduのQ&Aサイト傘下で設立され、翌年スピンオフ。ソフトバンク・ビジョンファンドの投資先でもあります。
最近はオンライン講座の提供も開始しており、2018年にはシリーズDでゴールドマン・サックスやSequoia China、GGV等から3.5億ドルを調達しました。
2020年に入って成長が加速しており、現在は6〜8億ドル規模の資金調達を検討しているとのこと。評価額は65億ドルまで高まると想定されています。
4月には競合「猿輔導(Yuanfudao)」がシリーズGでテンセント等から10億ドルを調達し、評価額78億ドルとなりました。Cheggの時価総額72億ドルを上回っており、世界で最も価値の高いエドテック企業とも言われています。
中国では地域間の教育格差が大きく、オンライン教育の担う役割が他国と比べても大きいそう。日本でも進研ゼミや公文式が似たような立ち位置にあったといえますが、デジタル時代のデファクト・スタンダードとなるような教育サービスが出てきても良いのかなと思った次第です。