例の生成AIのパブコメ書いてみた(2回目)
今一番X上での著作権界隈ではホットな話題かな?と思うのですが、生成AIと著作権というテーマで真正面から意見を募っているのはこれだと思ってます。
すでに色々な方々が書いていらっしゃるのをお見受けしておりまして、AIの学習に関すること、すなわち情報解析(著作権法30条の4第2号)の用に供するための著作物の非享受利用に関するものが多いようにも思います。それほど関心の中心はここにあるともいえるのでしょう。
この論点が肝なのは承知の上で、私は別の観点で少し意見を述べてみようと思います。以前11月に募っていた1回目のパブコメでは、規範の不明確性について突っ込んだものを書きましたが、それとはまた別の側面からのアプローチです。
字数制限(2000字)がかなりキツいのでなかなか大変でした…
以下、適宜AI と著作権に関する考え方について(素案)令和6年1月15 日時点版(以下、「素案」とする)を参照します。
https://www.bunka.go.jp/seisaku/bunkashingikai/chosakuken/hoseido/r05_06/pdf/93988501_01.pdf
素案30-31頁の記述に関して
生成AIの出力段階での出力物に関する著作権侵害の有無の考え方について素案30頁で挙げられる「②AI利用者が既存の著作物を認識していなかったが、AI 学習用データに当該著作物が含まれる場合 」で、
さらに、依拠性が推認された場合における被疑侵害者の反証として、素案30-31頁では、
や、
とあるが、被疑侵害者にとって、利用する生成AIサービスに含まれるデータの内容を根拠に反証することは果たして可能であろうか。
利用する生成AIサービスによっては、学習データセットを公開する可能性もあるが、そのデータが営業秘密に該当し開示されない場合は考えられるし、それが海外に営業基盤を置くサービス提供者であれば開示を求めることは至極困難になるだろう。
これでは被疑侵害者に過度な立証負担を課すことになってしまうため、この点に鑑みても生成AIの利活用の促進普及を阻害するおそれがある。
以上を考慮すれば、生成AI利用者が当該著作物の存在を知らなかった場合であっても、既存の侵害認定のように権利侵害主張者が依拠性を証明すべきであり、安易な依拠性の推定は回避すべきである。
さらに、実務上、複製権もしくは翻案権侵害を認定するにはその者の故意や過失のみならず、依拠性のような主観的要素も含めて、証明責任を負うのはあくまで権利侵害主張者である、ということを素案で強調すべきと考える。
こうした原則は訴訟上の原則ではあるものの、一般の生成AI利用者は上述のような挙証責任の所在など法原則を知らない場合も大いに予測されるため、正確かつ丁寧な記述を求める。
最後に、著作権をめぐるトラブルに対する円滑な解決を図るために、著作権法をはじめとする知的財産法や損害賠償や契約にかかる民法の原則など広く国民に周知する機会を設けるべきと考える。
以上です。
もし素案を誤読していたり、解釈・運用上でおかしなことを言っていたりしていれば笑って下さいませ笑
その際は忌憚なくコメント頂けますと幸いです。
さて、次はEU AI Act (2024/1/24)の記事ですね…