ジャック

顔認証AIに32歳女性判定された博士(法学)。 専門は(生成)AIと法・刑法など。 阪神、アニメが心の支え。 そして研究用の備忘録。

ジャック

顔認証AIに32歳女性判定された博士(法学)。 専門は(生成)AIと法・刑法など。 阪神、アニメが心の支え。 そして研究用の備忘録。

最近の記事

LAION-5Bと写真家の争い―ドイツ・ハンブルク地方裁判所判決(LG Hamburg, Urteil vom 27.09.2024 - 310 O 227/23)の私訳

※写真はブランデンブルグゲートです。 はじめに海外ではニュースになっている、LAION-5Bによる機械学習(正確にはテキスト・データマイニング)のための著作物の複製行為が著作権者の複製権を侵害するか、それともテキスト・データマイニングのための複製として権利制限が認められて侵害を構成しないのかという事件。 2024年9月29日に判決が出たところ、結論としてはLAIONは著作権を侵害していないという判断でした。 これを報じる日本語メディアはあまりなく、また海外の記事でもブロ

    • 米国における生成AI関連訴訟法律文書―2024年8月編―

      はじめに2024年8月12日にStability AI社らが被告となっているアメリカの生成AI著作権訴訟に進展がありました! ※日本のニュースメディアでも取り上げられましたが… この命令では、2023年10月決定で修正を指示された部分につき、当該部分の修正を施した第一回修正訴状に対する一定の判断が出されています。 そのため、一体どのような主張が認容され、却下もしくは否認されたのかをしっかりと分析する必要性があります! そのため、自分の勉強を兼ねて、判決文本文をしっかり

      • 中国ウルトラマンティガ生成AI裁判(2月8日)の判決文私訳

        0.「はじめに」のその前に…※本件記事サムネ画像はみんなのフォトギャラリーより抜粋しました。なお、ウルトラマンティガではありません・・・ 本日2024年3月19日に開催された「第23期第2回文化審議会著作権分科会(第69回)」では、「AI と著作権に関する考え方について」が一応の完成を見ました! また同日、「文化審議会著作権分科会法制度小委員会(第7回)」(2024年2月29日)のホームページに、「『AI と著作権に関する考え方について(素案)』のパブリックコメントの結

        • 米国における生成AI関連訴訟のあらまし―2024年2月編―

          はじめにTwitter(現X)をやっていると、海外の生成AI企業動向の情報収集・周知されている方をお目にすることが多いです。さらに訴訟動向に関するものを取り上げているときもあるので、ここは法学の研究者の端くれとして紹介せざるを得ない…!という気持ちで2つの主な訴訟における裁判所の決定について紹介してみようと思います! ※筆者は英米法を専攻していたわけではないので、民事訴訟ないし米国法に関する用語の誤訳や法律上の解釈のミスがあれば忌憚なくご指摘ください。 1.2月8日決定

          例の生成AIのパブコメ書いてみた(2回目)

          今一番X上での著作権界隈ではホットな話題かな?と思うのですが、生成AIと著作権というテーマで真正面から意見を募っているのはこれだと思ってます。 すでに色々な方々が書いていらっしゃるのをお見受けしておりまして、AIの学習に関すること、すなわち情報解析(著作権法30条の4第2号)の用に供するための著作物の非享受利用に関するものが多いようにも思います。それほど関心の中心はここにあるともいえるのでしょう。 この論点が肝なのは承知の上で、私は別の観点で少し意見を述べてみようと思いま

          例の生成AIのパブコメ書いてみた(2回目)

          生成AI(Stable Diffusion)による生成画像の著作物性を認めた北京インターネット裁判所判決の日本語訳(仮)

          2023年12月1日に中国は北京インターネット裁判所が下した判決は、生成AIによる生成画像の著作物性を認めたものとして話題になりました。 日本では、この判決文の概要の情報はある程度広まっているのですが、実際の判決文の内容に言及している投稿・記事は本日(2023年12月5日)現在見られないようなので、私訳ではありますが、判決文の内容を紹介しようと思います。 (もし、翻訳に不自然な点・誤りがあれば指摘いただけると幸いです。) ※中華人民共和国著作権法(中国著作権法)の条文の翻

          生成AI(Stable Diffusion)による生成画像の著作物性を認めた北京インターネット裁判所判決の日本語訳(仮)