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海外介護教育3.0

【介護試験中間結果報告】

介護クラス第4バッチの受験が7月4日からスタートし、前半戦が終わりました。

特定技能介護試験とは、母国語で行う技能評価試験と日本語で行う日本語評価試験の2つの試験で構成されます。前半戦の結果は、

技能評価試験⇒27/27  合格率100%
日本語評価試験⇒23/27 合格率 85%
と予想以上の大健闘で私自身驚いています。

ちなみに、フィリピンの直近過去3カ月の結果は、
2020.1月
技能評価試験⇒227/146 合格率64.3%
日本語評価試験⇒24/27 合格率51.5%
2020.2月
技能評価試験⇒185/122 合格率65.9%
日本語評価試験⇒189/125 合格率66.1%
2020.3月
技能評価試験⇒442/338 合格率76.5%
日本語評価試験⇒414/329 合格率79.5%
です。

4月、5月、6月はコロナの影響で試験開催はありませんでした。コロナ以前のフィリピン国内全国平均から見ても、今回の結果はかなり高い合格率だと分かります。

試験難易度の目安として考えられる、法務省や厚労省が定めた技能水準、日本語能力水準が下記になります。

(技能水準) 当該試験は、介護業務の基盤となる能力や考え方等に基づき、利用者の心身の状況に応じた介護を自ら一定程度実践できるレベルであることを認定するものであり、この試験の合格者は、介護分野において、一定の専門性・技能を用いて即戦力 として稼働するために必要な知識や経験を有するものと認める。

(日本語能力水準) 当該試験は、本制度での受入れに必要となる基本的な日本語能力水準を判定するために国際交流基金が開発・実施する試験であるところ、これに合格した者につい ては、ある程度日常会話ができ、生活に支障がない程度の能力を有するものと認め られることから、基本的な日本語能力水準を有するものと評価する。

出典:「介護分野における特定技能の在留資格に係る制度の運用に関する方針」に係る運用要領

つまり、そんなに簡単な試験ではないのです。

【受験対策だけの時代は終わった】

介護クラス第4バッチは、今年2月からスタートしました。オリエンテーションを含め、5回ほど対面による授業を行いましたが、それ以降は全てオンライン学習です。オンライン学習といってもネット環境が悪く、ディバイスがスマホとあって、ZoomやGoogle Meetなどは使えません。その日学習する教材をメッセンジャーで送り、Google Formで確認テストをし、出欠とテスト結果を管理して、試験前には模擬テストを行うだけの、ほぼ自主学習といっていい内容です。

その代わり、教材を工夫し、確認テストはしつこいくらい行いました。何度も何度も手を変え品を変えて同じ問題を解き続けさせた結果が、功を奏したようです。

教育といっても、受け入れ施設から教育費をもらっている以上はビジネスです。いくら教育内容がよくても、結果が出なくては価値はゼロになります。受験は、その結果が可視化されます。だからこそ、試験結果にはこだわらざるを得ないのです。

しかし、こだわってこだわって頑張った教材作りをした結果〝あれ、試験合格だけなら、自主勉強だけでいいんじゃない?〟という、想定外の事態が見えてきました(^^;)極端な話、受験対策だけなら教師はいらいないのです。
これにて、介護受験対策に心血を注ぎ、海外介護クラス第一人者を目指した私の時代は、あっという間に終わりました。

【海外介護クラス3.0をつくる】

海外介護クラス1.0が対面による受験対策、2.0がオンラインによる受験対策として、3.0は対面とオンラインの混合型になるでしょう。

受験対策はオンラインだけで十分に学べるとしたら、対面の授業でそれをする必要はありません(補完的には行いますが)。では何を教えるのか。そのことを考えていました。そして、ようやく方向性が見えてきました。

1つめは、日本の介護の理念教育。これは介護クラス1.5でも実践してきました。尊厳のある介護とは何か、自立支援とは何か、介護職の専門性とは何か、など、まだまだ不十分ではありましたが、どのように教育すればよいかの道筋は見えています。介護クラス2.0では、残念ながらその部分が抜け落ちてしまいました。どこかでカバーしてあげたいと思います。

2つめは、日本人の取り扱い説明書です(日本人トリセツ)。私自身、異文化理解力を勉強して、日本の文化がかなり極端に偏った文化であることが分かりました。日本人がそのことを自覚する必要もありますが、これから日本で働く彼らも学んでおくことで、来日後の仕事や生活が楽になると思います。フィリピンの文化を客観的に知ることにも役立ちます。

3つめは、人生100年時代の大切な20代30代を異国の地でどう生きるか。これは、私自身の体験談を踏まえながら、これからの時代のキャリア形成や有形資産だけでなく、無形資産の大切さ、日本で介護福祉士を取得する価値を教えていきたいと思います。

以上、長くなりましたが、もっとも重要なことは、1、2、3と今の私の力(主に英語力とプレゼン力)では、彼らに教えてあげられないので、私自身もっと勉強しなくてはいけないということです。はい、勉強します。

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