介護業界の未来予測
日本の介護業界を外側から眺めながら、フィリピンの首都マニラを動き回っています。といっても、数カ月前までですが。。フィリピンでは3月中旬からのロックダウンがいまだに続いています。世界最長のロックダウン実施国になります。
私は、フィリピン人介護士に日本の介護を教えています。2019年に新設された在留資格「特定技能制度」を使えば、外国人介護士が日本で働くことができます。しかし、来日の条件として介護の試験があります。その試験対策の介護クラスを運営しています。ロックダウン以前は対面による授業を行い、現在はオンラインで指導しています。
プロフィール記事でも書きましたが、10年前から、フィリピン人介護士が日本の介護業界にとって救世主になる、と予測を立てて、この地で準備を進めてきました。すでに試験合格した学生も多数おり、いよいよ来日だ!というところでコロナさんがやってきて、全てが止まってしまいました。。。
神さまもなかなか粋な計らいをしますよね。〝10年も待っているのだから、半年や1年くらい延びたって、そんなのただの誤差でしょ?〟と言われているような気がします。このロックダウンの期間に、自分は何をすべきなのか、考える時間を与えてもらいました。
コロナさんのおかげでよかったこともあります。オンラインミーティングが一般化したおかげで、私のような僻地マニラ在住の人間にも、日本の介護業界の情報を入手したり、また情報を発信したりできるようになりました。オンライン上では世界がますます縮まったようですね。
さて、私がロックダウン期間中に一貫して行っていることは、セルフDX(デジタルトランスフォーメーション)です。今後は、デジタルだけでどれだけ付加価値がだせるかが問われます。介護業界も急速にDX化が進んでいくでしょうね。政府もその動きを支援し加速させていきます。
私自身、スキルの棚卸をして、どの部分がデジタル化できて、どの部分がデジタル化できないかを、時間をかけてじっくりと見極めました。デジタル化できて且つ時代性に合うものに、時間とエネルギーを投資するためです。
そこで、はじめに取り組んだのが、外国人介護人材向けの教育コンテンツのデジタル化です。介護クラスを運営して、すでに教育コンテンツはある程度揃っていましたので、それらを整備しなおしてデジタルプラットフォームに落とし込んでいます。
フィリピンを含む英語圏で、日本で介護士として働きたい外国人が自主勉強できるオンライン教材を準備しています。
一方で、日本の介護業界のグローバル化も必要です。外国人を日本に合わせるだけではなく、受け入れ側の日本人もグローバルな視点を持つことが大切です。私が見ているのは、日本人と外国人が協働して新しい介護のカタチを創り出す未来です。もし外国人介護士を日本人の〝補填〟としてしか、捉えられていないようなら、その未来はやってきません。
従って、日本人介護スタッフ向けの研修プログラムも必要だと考え、そのコンテンツを開発し、さらにオンラインで実施する方法を模索しています。地道にコンテンツを作るのには、自宅に籠ることができるロックダウンな生活も悪くないですね。
日本の介護現場、海外の介護教育現場、どちらの事情も分かっているからこそ見えてくる未来があります。明るい未来を実現するために、視点を高く、そして、地道に頭と手を動かしていきます。