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介護業界における「グローバル人材」の再定義@送り出し国からの

私が介護職を選んだ理由は、海外で活躍できる仕事だと感じたからです。

大学在学中に介護保険制度が始まり、その変革期に老人ホームでアルバイトをしていました。介護を始めて1年が経った翌年、夏休みを利用してイギリスの高齢者施設を訪問し、大きな衝撃を受けました。

日本の介護が画一的だったのに対し、イギリスの施設では個別ケアが実践されていたからです。

この衝撃の体験が契機になって、卒業後はアメリカに渡りました。福祉による介護ではなく、サービスとしての介護を学びたかったからです。

そこから、「介護」「海外」が密接に結びついた、私のキャリアが始まりました。

少子高齢社会トップランナーの日本の介護は、いずれ世界から注目を浴びるようになるだろう。介護のプロになれば、世界で活躍できる――それが、介護に情熱を注ぐ原動力となっていたのです。

しかし、当然のことながら、この考えは周囲にはなかなか理解されませんでした。

「なぜ介護職が海外を目指すの?」と。

その疑問はもっともです。介護保険制度が整い、日本国内に大きな市場が生まれたにもかかわらず、なぜリスクを負って海外に出る必要があるのでしょうか。

介護は国内の仕事だ、というのが「常識」でした。

一方、フィリピンでは全く違う「常識」があります。この国では、海外で働くために介護職を目指すのが「常識」なのです。

フィリピンでは家族が高齢者をケアする文化が根強く、国内での介護需要は低いです。

しかし、海外ではフィリピン人ケアワーカーは高く評価され、さらに高収入を得られるため、多くの人が介護職で海外を目指しています。

私がマニラの介護養成学校に通っていた時のこと。クラスメートのほとんどは海外で働くことを目標にしていました。


40代後半の女性数名だけが、「この歳では海外では雇ってもらえないから」という理由で、国内の病院を目指していましたが、彼女たちもチャンスがあれば海外を狙っていました。

飛行機でわずか4時間の距離にある2つの国ですが、介護という職業の捉え方が、180度異なることに驚かされます。

日本の介護職は、国内需要に応じて発展してきましたが、フィリピンでは、海外で働くことを前提に資格が創設され、介護職としてのキャリアが形成されてきたのです。

さて、日本は人口減少に伴い、国内市場の縮小を見据えて海外に進出する企業が増えています。そこで求められるのが「グローバル人材」とのこと。語学力があり、海外でゼロから事業を立ち上げられる人材がそれにあたります。

一方、介護業界における「グローバル人材」の定義は少し異なります。介護業界での「グローバル人材」とは、海外からやってきた労働者を指し、日本語力や日本の文化に適応することが求められます。

しかし、今後は介護業界でも、外貨を稼ぐために、他業界と同じ意味での、「グローバル人材」が求められる時代が来るはずです。

その時こそ、介護をユニークに進化させ続ける、クリエイティブな日本の介護職人と、語学力と柔軟性に優れたフィリピン人ケアワーカーと力を合わせることで、介護業界の国際的な発展において、大きな役割を果たすことができるのではないかと想像します。

未来に向けて、「グローバル人材」を再定義することで、介護の可能性を世界に広げていけるのではないでしょうか。


フィリピンの介護クラス


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