(感想文)クオリア構造学の大泉先生の論文:Unsupervised alignment reveals structural commonalities and differences in neural representations of natural scenes across individuals and brain areas

異なる脳間での神経表現を比較するために、
異なる刺激に対する神経表現の類似構造
に焦点を当てた表現類似性分析 (RSA) が使用されてきました。

RSA の幅広い適用性と有用性にもかかわらず、
1 つの制限は、その従来のフレームワークでは、
特定の刺激の神経表現が、異なる脳内の同じ刺激の神経表現に
直接対応すると想定していることです。
この仮定は、神経表現が異なる方法で対応する可能性を排除し、
より細かい構造の類似性の調査を制限します。

この制限を克服するために、
刺激の対応を前提とせずに類似構造を比較するために、
Gromov-Wasserstein 最適輸送 (GWOT) に基づく
教師なしアライメント フレームワークを使用することを提案します。

この方法により、内部の神経表現関係のみに基づいて
刺激の神経表現間の最適な対応を特定できる
ため、
個人間での神経類似性構造のより詳細な比較が可能になります。

マウスと人間の両方で、同じ視覚皮質領域の神経表現の類似性構造は、
教師なしの方法で個人間でよくアライメントできることが分かりました。

*******

対照的に、異なる脳領域間のアライメントの程度は、
視覚処理階層の近接性だけでは完全に説明できないことがわかりましたが、高次の視覚領域の類似性構造は互いによくアライメントできるが、
低次の視覚領域とはうまくアライメントできないなど、
いくつかの合理的なアライメント結果も見つかりました。

私たちの教師なしアプローチは、
従来の教師ありアプローチでは捉えられない可能性のある、
より詳細な構造上の共通点や相違点を明らかにするのに役立つ
と期待しています。

→ アボガドロ数レベルの熱力学・統計力学的な系を、
素粒子物理学量子場理論説明するのが難しい
ミクロパラメータが多すぎるので、
 マクロパラメータとして集約する・近似する)ことや

ある高次動物の1日の移動経路・移動「履歴」を、
物理学・化学・生化学・非平衡系のような
「下位レイヤーの科学」として説明するのが難しい(理由は同上)ことや、

それらの高次動物の意思決定についても同様に
下位レイヤーの科学における、ミクロなパラメータ」
によって説明するのが難しいのと同じく、

「クオリア構造学」についても、
「物理的基質に近いレイヤーでのクオリア」に関する
「ミクロな(クオリアについての)パラメータ」と、

私たちが「日常的に感じる高次のクオリア」に関する
「マクロなパラメータ」については、相関があまり高くないので、
OSI参照モデルなどのように)、
「クオリア構造の、各層・各レイヤー毎に、”(ほぼ)閉じた系”
になっているのかな?
なので米田の補題(大域的なトポロジカルな【構造】、
局所的なノード同士の接続性Γ・関係性Iの”総体”)
を適用するのは、基本的には
「同一の層、同一のレイヤー」で前提条件が満たされていれば十分で、
下位層や上位層とは「独立」として扱っても、
(数学的には別問題として)
実務上はある程度、「有効な近似理論」にはなるのかな?

(プログラミング的には、
CPUなどのハードウェアの実装{古典ビット0と1}の詳細を知らなくても、マシン語を知らなくても、
アセンブリ語を知らなくても、
OSの仕様の詳細を知らなくても、
インターネットの仕様の詳細を知らなくても、
自分の扱うプログラミング言語と、
それに関連する各種インターフェイス・APIだけ知っていれば
アプリケーションが作成できてしまう
下位レイヤーの実装がどうなっているかについては、
 上位レイヤーとの相関が低くインターフェイスだけが重要)、
 ということとも同じなのかな?

 【インターフェイス】
 「(系と系の)境界」
 「ホログラフィック原理での、球面」のようなものと考えれば、
 数学的にも非平衡系や双対性の性質と同じなのかな?

さらに、マシン語も、アセンブリ語も、プログラミング言語も、
数学での数字・記号なども、自然言語も、全て「言語」なので、
各層・レイヤーごとに、性質は(ほぼ)独立している・閉鎖系である】
というような性質も共通なのかな?
(そもそも情報理論そのものが、様々な物事を
0と1だけの「羅列」「順列」「構造」
で表現可能である、とする理論(※)なので、その意味でも、
0と1という古典ビット・情報【素子】(※※)

”そのもの”の性質

よりも、

「羅列」「順列」「構造」という(位相)幾何的な性質

のほうが、高次の層・レイヤーにおける物事に対する

【寄与率】

としては大きくなってくるのかな?

※テキストデータ(自然言語)も、
画像データ(光学)も、
動画データ(光学の時系列情報)も、
音声データ(音波の時系列情報)も、
ゲームデータも、業務用アプリのデータも、
全て 【0と1だけの羅列のみ】 でできている。
にもかかわらず、その【構造】によって、
どのようなデータになるかが変わるので、
【0と1だけの羅列のみ】
の性質をいくら研究しても、
上位レイヤーについての理解が深まることはない。

※※自然言語であれば「古典ビット」の代わりに「音素」。

物理学では非線形項を、無視したり定数で近似したりすることによって
(ある複数のパラメータ間の、統計学的な交互作用項/幾何的性質
 を考慮しない

極端なスケールでは、それが適用できなくなって
当該理論の有効スケールから外れてしまうことと同じで、

(位相)幾何的な性質が非線形項として寄与してくるので、
系の複雑性が高まれば高まるほど、
下位レイヤーの性質自体の寄与率は、
相対的にどんどん下がっていくのかな?


(余談)そもそも、学術全般において、
・物理学
・統計力学(非平衡系・多体系含)
・化学(有機・無機・生化学含)
・生物学(分子生物学、遺伝子学{エピジェネティクス含}、
     脳神経学{グリア細胞学}、進化学、比較~~学、
     認知科学など含)
・心理学、社会学などの応用統計学分野全般
などの間の

「ミクロなパラメータ」と「マクロなパラメータ」の間の対応関係
(インターフェイス・自然変換・双対性/双対空間)

や、局所的な幾何構造(計量テンソル・ダイバージェンス{発散})や
大域的なトポロジーについては、どの程度まで整理されているのかな?

可換測量を扱うこれらの学術でも、まだ
各レイヤー間の【構造】
について明らかでないのであれば、
観測不能量を扱うクオリア構造学は、もっともっと難易度が高そう

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