どれほどの光と共にあるか 第1話

 かならずわたしはやると決めたのだ、だからこうして今日もやっている。
 そう気づいたのは、かれこれ3年前くらいのことだった。正確には覚えていないが、すてきな猫とかっこうのよい車が、そこにはあった。車の中には、愛するおばあちゃん。こちらから手を振ると、おばあちゃんも笑い返してくれた。それからゆっくりと左手をあげ、ひらひらと振り返してくれたのだった。
 わたしはそのとき、やると決めたのだ。ささいなことであっても、あきらめずに、やり抜くと決めたのだ。何を?

 生きること。

 大げさだと思うだろうか。だれだって生きることをがんばっている。わたしは特に大げさだとは思わないが、話を始めるにしては、いささか大げさなのかもしれない。
 おばあちゃんは車の中から手を振った。それはいくらも大げさではなく、それじゃまたね、というノリで、ただただ日常のうちだった。
 わたしはたくさんおばあちゃんと手を振ったものだ。わけもなく遊びに行っては、冷蔵庫にあるアイスとか、テーブルにおいてある果物とかを食べさせてもらったものだ。
「このちゃん、りんご食べなぁ」
 食べな、というときにちょっとのびる言い方が好きだった。今も好きだ。
 わたしの名前はコノハという。おばあちゃんはこのちゃんと呼んだ。
「梨のが良い」
 なんてわたしはわがままを言って、それでもおばあちゃんはニコニコしていた。そう、ニコニコがそこにはあったのだ。
 今でこそニコニコは世の中の常識になった。YouTubeに匹敵するほどの人気を誇っていたことだってある。さすがにもうそこまでの勢いはないが、おばあちゃんはニコニコを先取りしていた。これはわたしの自慢だ。

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