アシュワガンダのストレス緩和作用を支持する良い実験が見つかった件

アシュワガンダとはインドの伝統医学「アーユルヴェーダ」の世界で昔から健康と長寿に効くと言われているハーブのひとつ。
今回紹介する論文ではそんなアシュワガンダのストレス緩和作用及び薬理作用に関して研究してくれており、その結果不安評価尺度とうつ病・不安・ストレス尺度が共に有意に減少していました。

今回の論文はこちら


実験デザインはランダム化二重盲検プラセボ対照試験で、ストレスを受けた健康な成人において、アシュワガンダのストレス緩和作用と薬理作用が調査されました。

実験期間は60日間です。
この論文で引用されている先行研究では8週間以上の実験期間を設けている研究が無く筆者らは「研究期間の短さが所見の強さを妨げています。」と評しています。
対象者は軽度のストレスを持つ60人の成人で、18歳から65歳の男女です。
プラセボまたは240mgのアシュワガンダを1日1回摂取する群にランダムに割り振りました。
実験デザインとしてはランダム化比較かつ二重盲検法なのでかなり良いとは思います…がアシュワガンダの用量が少なく(多くの先行研究では500~600mgが摂取されている)、筆者らによってその点が指摘されています。

結果は、ハミルトン不安評価尺度、うつ病・不安・ストレス尺度、およびコルチゾール、デヒドロエピアンドロステロン硫酸、テストステロンのホルモンの変化で測定されました。

特筆すべき結果としては不安評価尺度とコルチゾールの変化が挙げられます。

不安評価尺度はアシュワガンダ群が41%減少したのに対しプラセボ群では24%減少していました。

コルチゾールはアシュワガンダ群では男女共に20%以上減少していたのに対しプラセボ群では統計的に有意な変化は認められませんでした。

また男性にのみテストステロンが増加する傾向が見られ、アシュワガンダ群ではおよそ10%増加していました。

そもそもコルチゾールにはテストステロンを減少させる作用があるのでテストステロンはコルチゾールの減少に伴い増加するのは当然と思っていましたが今回の研究では女性にはそのような変化は確認されませんでした。

また、それ以外にもコルチゾールには多くのデメリットがあります。

  1. 高血糖:コルチゾールには血糖値を上げる作用があります。慢性的に分泌されていると、高血糖の状態が続くので危険です。

  2. アレルギーの悪化:コルチゾールは免疫系の働きをおさえてしまうので、アレルギーの悪化やガンの発生につながります。

  3. 心臓病:コルチゾールには血管を収縮する作用があり、長く続くと高血圧のリスクや血管にダメージをあたえるリスクがあります。

  4. 老化:コルチゾールが多い状態が続くと、脳からサブスタンスPという神経ペプチドが出ます。全身の細胞に激しい炎症を起こし、その結果老化を引き起こします。

このようにコルチゾールには多くのデメリットがあり、そのデメリットが更なるデメリットを呼ぶという負のループに繋がりかねません。
そのためアシュワガンダにはメンタルヘルスの改善だけでなく身体的な健康の改善も期待できます。

まとめるとアシュワガンダの摂取によってメンタルヘルスは改善することがわかっており、今回の論文はそれを支持する内容でした。
またメンタルヘルスの改善に伴いテストステロンの増加も男性においては確認されています。
アシュワガンダには多くのメリットが確認されており今回の研究ではそれが更に支持される結果となりました。






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